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フィンランド語学習記 vol.259 − takaisin

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このブログでは時々フィンランド語の表現に英訳を付けていますが、フィンランド語と英語は全く別系統の言語。お世辞にも似ているとは言えません。

それでもフィンランド語の表現の中には、英語と比較することによって、理解しやすくなるものもあると思います。

例えば、先日のフィンランド語教室で習ったこんな表現。

フィン
tulla takaisin come back 戻ってくる
soittaa takaisin call back 電話をかけ直す
maksaa takaisin pay back 返金する

 

見ての通り、三つの表現に共通する takaisin という副詞は、英語の back に当たります。

日本語ではこの back の意味が動詞の中に吸収されてしまうので、日本語との対応で覚えるよりも「takaisin=back」というイメージを介して覚えた方がわかりやすいと思います。

なおフィンランド語の辞書アプリ『MOT Finnish-English』で takaisin を調べたらこんな表現がのっていました。

Diana hymyili hänelle, ja hän hymyili takaisin.(Diana smiled at him, and he smiled back.)

こういう表現を見ると、フィンランド語の takaisin や英語の back というのは、実に豊かなイメージを生み出すことのできる副詞なのだということがわかります。

takaisin「単なるおまけじゃないよ!」

という心の声が聞こえてきそうです。

 
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フィンランド語学習記 vol.258 − 過去形の否定文の作り方(2)

photo credit: massproduction via photopin cc

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今回は昨日に続いて、過去形の否定文の作り方を見ていきたいと思います。

フィンランド語学習記 vol.257 − 過去形の否定文の作り方(1) | Fragments

昨日はタイプ1の動詞を扱いました。

タイプ1 2つの母音で終わる動詞
タイプ2 [dA]で終わる動詞
タイプ3 [lA, nA, rA, stA]で終わる動詞
タイプ4 [AtA, OtA, utA]で終わる動詞
タイプ5 [itA]で終わる動詞
タイプ6 [etA]で終わる動詞

 

今回はタイプ2〜6の動詞を順番に見ていきましょう。

 

過去分詞の作り方 − タイプ2の動詞

タイプ2は[dA]で終わる動詞。

このタイプは、語尾の[dA]を外すと現在語幹が得られます。

[辞書形]syödä(食べる)
→[現在語幹] syö

この現在語幹に、主語が単数なら[-nut/-nyt*]、複数なら[-neet]を付けると過去分詞のできあがり。

*動詞に[a, u, o]が含まれていれば[-nut]、含まれていなければ[-nyt] 。

syödä(食べる)
[現在語幹]syö
[過去分詞]syönyt / syöneet

現在 過去
肯定 否定 肯定 否定
minä syön en syö söin en syönyt
sinä syöt et syö söit et syönyt
hän syö ei syö söi ei syönyt
me syömme emme syö söimme emme syöneet
te syötte ette syö söitte ette syöneet
he syövät eivät syö söivät eivät syöneet

 
*過去分詞の語尾の形は、タイプ1と同じですね。

 

過去分詞の作り方 − タイプ3の動詞

タイプ3は[lA, nA, rA, stA]で終わる動詞。

このタイプは、語尾の[lA, nA, rA, stA]を外して、次の語尾を付けると過去分詞のできあがり。

単数 複数
lA -lut/-lyt* -leet
nA -nut/-nyt* -neet
rA -rut/-ryt* -reet
stA -sut/-syt* -seet

 

*動詞に[a, u, o]が含まれていれば[-ut]、含まれていなければ[-yt] 。

[辞書形]ajatella(考える)→[過去分詞] ajatellut / ajatelleet
[辞書形]mennä(行く)→[過去分詞] mennyt / menneet
[辞書形]purra(噛む)→[過去分詞]purrut / purreet
[辞書形]nousta(上がる)→[過去分詞] noussut / nousseet

ちょっと長くなりますが、各動詞の変化をまとめておきます。

ajatella(考える)
[過去分詞]ajatellut / ajatelleet

現在 過去
肯定 否定 肯定 否定
minä ajattelen en ajattele ajattelin en ajatellut
sinä ajattelet et ajattele ajattelit et ajatellut
hän ajattelee ei ajattele ajatteli ei ajatellut
me ajattelemme emme ajattele ajattelimme emme ajatelleet
te ajattelette ette ajattele ajattelitte ette ajatelleet
he ajattelevat eivät ajattele ajattelivat eivät ajatelleet
mennä(行く)
[過去分詞]mennyt / menneet

現在 過去
肯定 否定 肯定 否定
minä menen en mene menin en mennyt
sinä menet et mene menit et mennyt
hän menee ei mene meni ei mennyt
me menemme emme mene menimme emme menneet
te menette ette mene menitte ette menneet
he menevät eivät mene menivät eivät menneet
purra(噛む)
[過去分詞]purrut / purreet

現在 過去
肯定 否定 肯定 否定
minä puren en pure purin en purrut
sinä puret et pure purit et purrut
hän puree ei pure puri ei purrut
me puremme emme pure purimme emme purreet
te purette ette pure puritte ette purreet
he purevat eivät pure purivat eivät purreet
nousta(上がる)
[過去分詞]noussut / nousseet

現在 過去
肯定 否定 肯定 否定
minä nousen en nouse nousin en noussut
sinä nouset et nouse nousit et noussut
hän nousee ei nouse nousi ei noussut
me nousemme emme nouse nousimme emme nousseet
te nousette ette nouse nousitte ette nousseet
he nousevat eivät nouse nousivat eivät nousseet

バリエーションはあるものの、規則的なので、何とか覚えてしまいましょう!

 

過去分詞の作り方 − タイプ4〜6の動詞

タイプ4は[AtA, OtA, utA]で終わる動詞。

タイプ5は[itA]で終わる動詞。

タイプ6は[etA]で終わる動詞。

このタイプは、語尾の[tA]を外して、主語が単数なら[-nnut/-nnyt]、複数なら[-nneet]を付けると過去分詞のできあがり。

【注】タイプ1・2と比べると[n]が一つ多いです!

tykätä(好む)
[過去分詞]tykännyt / tykänneet

現在 過去
肯定 否定 肯定 否定
minä tykkään en tykkää tykkäsin en tykännyt
sinä tykkäät et tykkää tykkäsit et tykännyt
hän tykkää ei tykkää tykkäsi ei tykännyt
me tykkäämme emme tykkää tykkäsimme emme tykänneet
te tykkäätte ette tykkää tykkäsitte ette tykänneet
he tykkäävät eivät tykkää tykkäsivät eivät tykänneet

 
*tykännyt(テュカンニュット?)は発音しにくいですね!

 

まとめ

以上、前回と今回のエントリーで、過去形の否定文の作り方をまとめてみました。

改めて、動詞のタイプごとに語尾の処理方法と過去分詞の語尾の形を整理すると次のようになります。

 語尾 語尾の処理 過去分詞
(単数)
過去分詞
(複数)
T1 VA [A]を外す -nut/-nyt -neet
T2 dA [dA]を外す -nut/-nyt -neet
T3 lA [lA]を外す -lut/-lyt -leet
nA [nA]を外す -nut/-nyt -neet
rA [rA]を外す -rut/-ryt -reet
stA [tA]を外す -sut/-syt -seet
T4 AtA [tA]を外す -nnut/-nnyt -nneet
OtA [tA]を外す -nnut/-nnyt -nneet
utA [tA]を外す -nnut/-nnyt -nneet
T5 itA [tA]を外す -nnut/-nnyt -nneet
T6 etA [tA]を外す -nnut/-nnyt -nneet

 

ルール自体はシンプルなので、一旦慣れてしまえばそれほど混乱することもないでしょう。

あとは実践あるのみ!ということで。

フィンランド語学習記 vol.257 − 過去形の否定文の作り方(1)

photo credit: Daniele Zanni via photopin cc

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以前のエントリーで動詞の過去形の作り方について、三回に分けてまとめたことがありました。

フィンランド語学習記 vol.244 − 過去形の作り方(1) | Fragments

フィンランド語学習記 vol.247 − 過去形の作り方(2) | Fragments

フィンランド語学習記 vol.248 − 過去形の作り方(3) | Fragments

これで過去形はOK!と思っていたのですが、考えてみると否定の形については全く触れていませんでした。

前回のフィンランド語教室でそんな過去形の否定文の作り方を習ったので、以下にまとめておきたいと思います。

 

そもそも現在形の否定文の作り方

まずは現在時制の否定文について、おさらいをしておきましょう。

Minä asun Tokiossa.(私は東京に住んでいます。)
Minä en asu Helsingissä.(私はヘルシンキに住んでいません。)
*asua(住む)

現在時制の否定文は、否定動詞(en, et, ei, emme, ette, eivät)と現在語幹を組み合わせて作ります。

asua(住む)
[現在語幹]asu

肯定 否定
minä asun en asu
sinä asut et asu
hän asuu ei asu
me asumme emme asu
te asutte ette asu
he asuvat eivät asu

まずはこの否定動詞(en, et, ei, emme, ette, eivät)の形をしっかりと押さえておきましょう。

 

過去形の否定文の作り方

英語では、過去形の否定文を作るときに、動詞ではなく助動詞の部分が過去形になります。

I don’t live in Helsinki. Minä en asu Helsingissä.
  ↓    ↓
I didn’t live in Helsinki. Minä              Helsingissä.

 

よってフィンランド語の場合も、何となく否定動詞(en)の形を変えるのかな?と思ってしまいますが、さにあらず。

変化するのは現在語幹(asu)の方です。

I don’t live in Helsinki. Minä en asu Helsingissä.
  ↓    ↓
I didn’t live in Helsinki. Minä en asunut Helsingissä.

 

この asunut は過去分詞と呼ばれる形。

つまりフィンランド語の過去形の否定文というのは、否定動詞(en, et, ei, emme, ette, eivät)と過去分詞を組み合わせて作ります。

否定動詞は現在も過去も共通ですから、過去分詞の形さえ覚えれば、過去形の否定文を作れるということになりますね。

ただし過去分詞の作り方は動詞のタイプによってやや異なるので、タイプごとに場合分けしながら見ていきたいと思います。(といってもそんなに複雑ではありません。)

タイプ1 2つの母音で終わる動詞
タイプ2 [dA]で終わる動詞
タイプ3 [lA, nA, rA, stA]で終わる動詞
タイプ4 [AtA, OtA, utA]で終わる動詞
タイプ5 [itA]で終わる動詞
タイプ6 [etA]で終わる動詞

 

過去分詞の作り方 − タイプ1の動詞

タイプ1は2つの母音で終わる動詞。

このタイプは、語尾の[-a/-ä]を外すと現在語幹が得られます。

[辞書形]antaa(与える)
→[現在語幹] anta

この現在語幹に、主語が単数なら[-nut/-nyt*]、複数なら[-neet]を付けると過去分詞のできあがり。

*動詞に[a, u, o]が含まれていれば[-nut]、含まれていなければ[-nyt] 。

antaa(与える)
[現在語幹]anta
[過去分詞]antanut / antaneet

現在 過去
肯定 否定 肯定 否定
minä annan en anna annoin en antanut
sinä annat et anna annoit et antanut
hän antaa ei anna antoi ei antanut
me annamme emme anna annoimme emme antaneet
te annatte ette anna annoitte ette antaneet
he antavat eivät anna antoivat eivät antaneet

ここで面白いのは、肯定の過去形でポイントになっていた過去形の印[i]を使わないということ。

実際、過去形の否定を作るときに必要なのは現在語幹(anta)であって、過去語幹(antoi)ではありません。

また一点注意すべき点は、この過去分詞を作るときには kpt の変化が起こらないということ。
(=annanut / annaneet にはならない。)

楽と言えば楽なのですが、慣れるまでは少しこんがらがってしまうかもしれません。

以上、まずはタイプ1の動詞を使った過去形の否定文の作り方をまとめてみました。

長くなったので、タイプ2以降は明日のエントリーにて。

「年度」は英語で何と言う?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

とうとう12月に入りました。

2014年も残り一か月、しかし2014年度はまだまだ続きます。

新しい年を迎え、決意を新たにしたとしても、ほとんどの日本人にとって1月から生活が変わるということはあまりないでしょう。

やはり新しい生活が始まるのは4月というのが一般的なイメージ。

そのように私たちの暦感覚に深く関わっている「年度」というのはいったい英語で何と言うのでしょう?

さっそく辞書を調べてみました。

ねんど 年度

[会計年度]the fiscal[英 financial]year(日本・英国では4月1日、米国では前年の10月1日からの1年);

[学校の]the school year(米英では通例9月から6月まで)

『ウィズダム和英辞典 第2版』

企業などの会計年度は fiscal year、学校の年度は school year と言うようです。

あまり馴染みのない fiscal という単語は、会計・財政を意味する形容詞。

面白いのはアメリカの場合、会計年度は10月スタートなのに、新学期は9月スタートと微妙にずれているところ。

新学期が9月スタートなら、会計もそれに合わせてしまったらどうなのか?とも思いますが、会計を9月スタートにしてしまうと、四半期の区切りが中途半端になってしまいます。

アメリカと日本の会計年度における四半期は次のとおり。

1st quarter 10-12 4-6
2nd quarter 1-3 7-9
3rd quarter 4-6 10-12
4th quarter 7-9 1-3

 

こうして見るとアメリカと日本の会計年度はちょうど表裏の関係になるんですね。

日本ではまもなく4分の3が終わりますが、アメリカではやっと4分の1が終わり。

一口に「年度」とは言っても、それが指し示す期間は国によって違います。

「日、週、月、年」のような暦の定義は万国共通ですが、「年度」だけは国によって個性を出すことができるというのも面白いところ。

もし一年のスタートを自由に決めてよいと言われたら、何月からスタートしたいですか?

フィンランド映画祭2014で『水面を見つめて』を観てきました。

きのうに続いて、フィンランド映画祭2014のレポートです。

フィンランド映画祭

[昨日のエントリー]フィンランド映画祭2014で『コンクリートナイト』を観てきました。 | Fragments

16:30スタートの『コンクリートナイト』が終わり、18:45スタートの『水面を見つめて』が始まるまで少し時間があったので、近くのスターバックスでコーヒーを飲んで休憩。

一旦、頭をからっぽにしてから、次の映画に向かいました。

『水面を見つめて』の会場はさきほどより小さいアートスクリーン。100人くらいのキャパでしょうか。

『コンクリートナイト』の冷たいモノクロームの画面とはうってかわり、『水面を見つめて』は楽しげな家族の風景から始まります。

こちらも映画祭の公式ホームページにのっているあらすじをのせておきます。

水面を見つめて
原題:Tumman veden päällä
英題:Above Dark Waters

本作にも出演している俳優ピーター・フランゼンの同名小説の映画化。物語の舞台は1970年代のラップランドの小さな町。小学校入学直前の少年ペテは、酒を飲むと暴力をふるう義父に怯える生活を送っていた。ペテの母親は、既に離婚経験があり、小さな町の中で夫の暴力を隠そうとする。自身の面目を保つため、子供たちの幸福が危険にさらされるのであった。ペテは祖父母のもとに預けられ、そこで彼の人生は一遍する。祖父母に支えられ、元気を取り戻し、自分自身の目で物事を見る勇気を与えられることになるー。ラップランドを舞台にフィンランドの日常風景を描いたヒューマンドラマ。

映画の主人公はもうすぐ小学生になるペテ、そして妹のスヴィと両親。

どこにでもいるような普通の家族ですが、決して完璧な家族などないように、この家族にも暗い影が。

そしてその影がだんだんと大きくなって。。。

物語の鍵を握るのは、普段は温厚なのに、時に感情を制御できなくなってしまうお父さん。

去年のフィンランド映画祭2013のオープニング作品『旅人は夢を奏でる』で生真面目な主人公を演じていたサムリ・エデルマン(Samuli Edelmann)が、今回は人間のダークサイドを強烈に演じています。

このお父さんと母子の関係を軸に物語は展開します。

しかしそんなストーリーライン以上に印象に残ったのが、主人公ペテの行動とその眼に映る世界。

出来心で友達のコインを盗んだり、包丁でいたずらをしてお母さんに怒られたり。

そんなディテールの一つ一つから、自分の子ども時代を思い出して身につまされてしまうのです。

どうして子どもというのは、あんなに理不尽なことばかりしてしまうのでしょう?

またあれほど家族に怒りをぶつけた父親でさえも、ペテにとっては一方的な畏怖の対象ではありません。

そこにはアンビバレントな感情が渦巻いていて、私たちの安易な共感を撥ね付けるような強い眼差しがあります。

かつて子どもだったことがある人なら誰でも、このペテの姿から思い起こす記憶があるのではないでしょうか?

そんな訳で自分にとって、この『水面を見つめて』は何よりも子どもの映画として記憶されることになりました。

子どもの映画と言えば、

フランソワ・トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』とか、

ケン・ローチ監督の『ケス』とか、

ラッセ・ハルストレム監督の『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』とか、

これらの映画が好きな人なら、きっとお気に入りの一作になるのではないかと思います。

そして映画の最後にペテが家族の幸せを祈るモノローグが流れる場面では、じんわりと暖かい気持ちになりました。

誰もが幸せになりたいと思っているはずなのに、なぜこんなにも空回りしてしまうのでしょう?

様々な感情と余韻の中で、映画館を後にしました。

もしも一般公開されることがあれば、おすすめの一本です!

フィンランド映画祭2014で『コンクリートナイト』を観てきました。

photo credit: timo_w2s via photopin cc

photo credit: timo_w2s via photopin cc

11/29(土)よりフィンランド映画祭2014が始まりました。

フィンランド映画祭

さっそく初日に『コンクリートナイト』『水面を見つめて』の二本を観てきました。

会場の「TOHOシネマズ 六本木ヒルズ」に来るのは、去年に続いて二度目。

去年はものすごい人だかりの中、チケットを発券するだけでも一苦労だったのですが、今年はスイスイと手続きすることができました。

アイスティーを購入し、会場のスクリーン6へ。180席くらいのサイズのよう。

まずは最初に観た『コンクリートナイト』の感想から。

率直に言いますと、暗い! 難しい!

そんな映画ですので、普通に楽しい映画が観たいという人にはあまりオススメできません。

映画祭の公式ホームページにのっているあらすじは次のとおり。

コンクリートナイト
原題:Betoniyö
英題:Concrete Night

ヘルシンキの都心部に住む、年の離れた兄弟、イルッカとシモ。24時間後には刑に服することになる兄イルッカと、世間知らずの14歳の弟シモ。シモは、そんな兄のことを愛し、崇拝していた。残された最後の1日を、兄とともに過ごすことにしたシモ。その夜、兄弟は運命的な光景を目撃。シモはそれを理解することができずに、自分を欺くことができず、見たままを受け止めてしまう。ありのままの世界は、驚くべきものであった。そこを、偶然であったひとりの写真家が、彼らに別の受け止め方を提示してゆく──。

映画の冒頭は、主人公シモの悪夢から始まります。

川に架かった橋の上を走っていく電車。突如、橋が崩れ落ち、電車は頭から川の中に転落。車両の中に容赦なく注いでくる大量の水。そこから逃げようとするシモ。

凄惨な場面なのに、流れる水の描写がとても美しく印象的。

アンドレイ・タルコフスキー監督の『ストーカー』という、水の描写が有名な映画を思い出しました。

物語そのものはあまり説明的に描かれないため、いったい何が起こっているのかよくわからない場面も多々あり。

それでも印象に残ったのは、モノクロームの美しい映像と箴言的なセリフの数々。

「希望(toivo)のない人間こそが最強である」とか、

「人類が滅亡した後はサソリの時代になる」とか、

(サソリは放射能にも耐えられるというのは本当なのでしょうか?)

ネガティヴでありながら、イメージ喚起力の強いセリフが印象に残っています。

映画を貫くテーマは若者の絶望感ということになるのでしょうが、最終的に悲劇的な行動に至る主人公の心情をあまり理解できず、共感することのないままに映画は終了してしまいました。

そんな『コンクリートナイト』をおすすめするのは、

  • タルコフスキーの映画を好きな人
  • とんでもなく絶望している人(?)

といったところでしょうか。

*これから観たいという人は、12/2(火)の18:45より本作の上映があります。

また映画の上映後には、ピルヨ・ホンカサロ(Pirjo Honkasalo)監督と原作のピルッコ・サイシオ(Pirkko Saisio)さんによるティーチインもありました。

監督が女性だったのはびっくり!

そして監督曰く「この作品はやや難解なので、本来なら上映後に夜道を一人で歩きながら考える時間が必要なのに、その時間を奪ってしまってすみません」などとおっしゃっていたのも、さもありなんという感じ。

またちょっと残念だったのは、このティーチインが英語で行われていたこと。フィンランド語を通訳できる人がいなかったのでしょうか?

映画の中のフィンランド語については、さすがに去年の映画祭のときよりは理解できるセリフの数が増えた気がします。

まれにまるごとセリフが聞き取れたりすると、それだけで嬉しくなってニヤニヤしてしまいました。来年の映画祭に向けて、また精進しようと思います。

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