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英語

冠詞 a の新用法 − from The New Yorker

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『The New Yorker』のウェブサイトに Merriam-Webster の辞書編纂者の回想録が掲載されています。

A Lexicographer’s Memoir of Merriam-Webster in the Internet Age | The New Yorker

記事の冒頭、辞書づくりで一番大変なのは do, run, about, take などの small word(=簡単な言葉)の語義を記述することだというエピソードが出てきます。

Merriam-Webster の担当者は take の項目を改訂するのに一か月かかり、Oxford English Dictionary の担当者は run の項目を改訂するのに何と九か月かかったとのこと。

たしかに辞書をつくる上では、簡単な言葉ほど記述が難しく、難しい言葉ほど記述が簡単なのだろうということは想像できます。

しかしその割に私たちは take や run の項目をじっくりと読むことはありません。ただひとたびそれらのページをめくってみれば、そこに割かれた労力の大きさを感じることはできるはずです。

そんな small word の究極はおそらく冠詞の a や the ではないでしょうか。

もし辞書の編纂に携わることになったとして「a の担当をお願いします」なんて言われたら、途方に暮れてしまいそうです。

ただ今回の『New Yorker』の記事で一番印象に残ったのは、ある編纂者が用例収集の過程で「a の新しい使い方」を見つけたことを自身のキャリアのハイライトとして挙げている部分でした。

ちょっと長くなりますが、そのまま引用してみたいと思います。

For Emily Brewster, one of Stamper’s colleagues, a career highlight was discovering a previously unrecorded sense for the indefinite article “a”: “used as a function word before a proper noun to distinguish the condition of the referent from a usual, former, or hypothetical condition.” Stamper gives as an example, “With the Angels dispatched in short order, a rested Schilling, a career pitcher 6-1 in the postseason, could start three times if seven games were necessary against the Yankees”: “a rested Schilling” tells us that, in contrast to his current rested state, he is not usually rested, or he had not been rested previously, but now he is.

引用文中の a rested Schilling という表現に注目してみてください。

Schilling というのは、アメリカのメジャーリーグで通算216勝を挙げた大投手カート・シリングのこと。

そのキャリアを通して hardworker の印象があったシリングですが、このポストシーズンでは休養十分。その普段とは違う状況を a rested Schilling と表現しています。

この a の使い方が既存の辞書には載っていないと気付いたときの編纂者の気持ちはどのようなものだったでしょう?

辞書をつくる人のロマンというのはこんなところにあるんだろうなあと感じさせられた素敵なニューヨーカーの記事でした。


overmorrow

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英語で「あさって」は the day after tomorrow。

。。。ということを初めて習ったときに、何だかまわりくどい表現だなと思った人はいませんか?

日本語なら「あさって」と一語で表すことができるのに、英語では4つも単語を並べなければなりません。(the は省略されることもあるので、その場合は3つ。)

ただ英語の歴史を振り返ってみれば、かつては一語の「あさって」も存在していたことがわかります。

overmorrow

(obsolete) On the day after tomorrow.

「Wiktionary」

overmorrow は「あさって」を意味する古い英単語。

tomorrow と overmorrow の構造を比べてみると、

  • to morrow(morrow に向かって)
  • over morrow(morrow を超えて)

となっています。さらに調べてみると、この morrow は「朝」を意味する古英語 morgen に由来するとのこと。

つまり朝に向かっていくのが明日、朝を超えていくのがあさってということなんですね。

ちなみにフィンランド語で「あさって」は ylihuomenna と言いますが、これはさきほどの overmorrow とほぼ同じ構造の単語。

「明日」を意味する huomenna に「〜を超えて」を意味する接頭辞 yli が付いた形になっています。

現役の単語である日本語の「あさって」やフィンランド語の ylihuomenna に対して、英語の overmorrow はなぜ使われなくなってしまったのでしょう?

日本語ネイティブの感覚としては、あさってくらいは語彙として備えておいた方が便利なのではないかと思ってしまいます。そのあたりの感覚は果たして?


procrastination nanny

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英語の新語マニアのみなさんにおすすめなのが、Cambridge Dictionary のブログ About words の中で毎週更新されている New words というタイトルのエントリー。

About Words – Cambridge Dictionaries Online blog – Commenting on developments in the English language

ここでは Cambridge Dictionary への掲載が決まった単語ではなく、Web上などから拾った、一般にはまだ定着していない表現を主に紹介しています。

またそれぞれの項目に対して私たち読者も以下の三択から投票できる仕組みになっています。

  • Yes! I’ve heard/read this term a lot.
  • Definitely not!
  • Let’s wait and see. Maybe people will start using it.

先日のエントリーでは、こんな表現が取り上げられていました。

procrastination nanny

a person whose job is to encourage you to do tasks that you have been putting off

procrastination は「ぐずぐずすること」、nanny は「乳母」の意味。

procrastination nanny というのは「先延ばしにしているタスクに取りかかるよう励ます仕事の人」という意味。

今日できることを今日やらない、いわゆる先延ばしというのは人類に共通の宿痾なのかもしれません。

リマインダーやタスク管理のアプリケーションは、ある意味 procrastination nanny の一種と言えるでしょうし、今後人工知能が発達すればロボット型の procrastination nanny が登場する可能性もあるでしょう。

究極の procrastination nanny というのは、もしかしたらドラえもんみたいな存在なのかもしれないなと思ったりもします。


How do you spell ライチ?

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この前の蒸し暑い日に、駅のホームの自動販売機で「ソルティライチ」のペットボトルを買ったときのこと。

何気なくボトルのラベルを見ると SALTY LITCHI と書いてあります。

「へえー、ライチって litchi って綴るんだ。」

「でも、予備知識なしにこの綴りを見たらリッチって読んでしまいそう。」

「そもそも、litchi って英語らしくない綴りだな。」

などと考えて、Wikipedia を見てみると「ライチ(ライチー)」というのは広東語、または台湾語・閩南語の発音に基づくと書いてあります。

*標準中国語では「リーチー」という音になるとのこと。

そのように言われてみると、たしかに中国語っぽいような気もしてきます。

また英語では「ライチ(ライチー)」と「リーチー」の発音が併用されているとも書いてありました。

そこで英語辞書を引いてみると、このように見出し語が出ています。

lychee (also lichee, litchi)

NOUN

A small rounded fruit with sweet white scented flesh, a large central stone, and a thin rough skin.

Oxford Dictionaries

つまり英語のライチには、ソルティライチのボトルに書いてあった litchi 以外にも複数の綴りがあることになります。

おそらくは外国語の音を表すのに適した綴りが模索された結果なのでしょうか。

個人的には「ライチー」なら lychee、「リーチー」なら lichee に一票を投じたいように思います。

でも「ライチー」なら liechee の方がいいかなとか、「リーチー」なら leechee の方がいいかなとか色々考えてしまったり、、、英語の綴り字と発音の関係は本当に複雑ですね。


abibliophobia

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怖いものというのは人それぞれ。

例えば、高いところが怖い(=高所恐怖症)、狭いところが怖い(=閉所恐怖症)、尖ったものが怖い(=先端恐怖症)という自覚のある人は多いでしょう。

あるいはそういったメジャーな恐怖症以外に、自分でも自覚していないようなマイナーな恐怖症が心の奥底に潜んでいることもあるかもしれません。

私は次の単語を見つけたときに「これは自分のことだ!」と思わずにはいられませんでした。

abibliophobia (uncountable)

(humorous) Fear of running out of things to read.

「Wiktionary」

abibliophobia は「読むものがなくなることの恐怖症」の意味。

一つの悪夢を描写してみましょう。

  • 国際線の飛行機に本や雑誌を一冊も持たずに乗ってしまう。
  • スマホはうっかり預け入れ荷物の方に入れてしまった。
  • 機内の雑誌・新聞・パンフレットはすべて未知の言語で書かれている(グルジア語とか)。

この状況が10時間以上続く、、、自分にとってこれほど恐ろしい状況はありません。

もちろん現在の国際線において、英語が読めないなどということは現実にはありえないものの、状況を想像するだけで怖くなってしまいます。

みなさんにとっての怖いものは何でしょう?


scapegoat(スケープゴート)

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scapegoat

a person who is blamed for something bad that somebody else has done or for some failure

「Oxford Advanced Learner’s Dictionary」

スケープゴート(名)〔scapegoat= いけにえのヤギ〕

ほかの人の身代わりに罪・責任をかぶせられる人。

「ーにされる」

「三省堂国語辞典 第七版」

英語でも日本語でも使われる scapegoat(スケープゴート)というのはもともと「いけにえのヤギ」のこと。

先日書店で見つけた『はじめての聖書』という本を読んでいたら、冒頭の「羊」という章にこの表現の由来が出ていました。

羊ではなく山羊ですが、「贖罪の山羊」(スケープゴート)の習慣もありました。年に一回、雄の山羊をクジで選び出し、祭司が山羊の頭に手をおいて、人びとの罪をなすりつけます。そして、荒野に放つ。罪のない山羊が、人びとの犯した罪を背負って身代わりになるのです。

「はじめての聖書」P.16

いけにえとは言っても、屠られてしまうのではなく、頭を触られるだけなんですね。

ただ荒野に放たれた山羊がその後どうなってしまうのかは気になります。。。

ところでこの scapegoat に限らず、英語には聖書に由来する表現が数多くあります。

また言葉だけでなく英語圏の文化をよりよく理解するためにも、キリスト教についての基礎知識を持っておくメリットはあるでしょう。

さきほど引用した『はじめての聖書』はいきなり聖書そのものを読むのはハードルが高いという人におすすめの入門書。

誰でも名前だけは聞いたことがあるような聖書のトピックを39の短いストーリーにまとめてあります。

内容が分かりやすく、すーっと頭に入ってくるので、毎晩寝る前に少しずつ読み進めているところです。気になる人はぜひ書店で手に取ってみてください。

 

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