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その他の言語

クロノスとカイロス

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例えば、上映時間が二時間の映画を見るとします。

「次はどうなるのだろう?」とストーリーに夢中になって、ハラハラドキドキしながら映画を見終えたとき、

あるいはドラマに入り込めずに、早く終わらないかなあと思いながら、やっとのことで映画を見終えたとき、

それぞれの二時間は同じ二時間と言えるのでしょうか?

??

これらはクロノス的には同じ時間、カイロス的には異なる時間と言うことができるでしょう。

クロノス(χρόνος)とカイロス(καιρός)というのは、どちらも「時間」を意味するギリシア語。

クロノス的な時間というのは、日本語の「時刻」に当たり、60秒=1分、60分=1時間、24時間=1日という客観的な時間の流れを表します。

一方、カイロス的な時間というのは「より主観的な時間」であり、そこではさきほどの映画の例のように、それぞれの人間が個別の時間を経験していると考えられています。

人類が誕生し、狩猟採集社会を形成し、農耕社会・工業社会を経て、現代の情報化社会へ。そんな文明の発達とともに失われたものの一つは、クロノス的な時間だったのかもしれません。

何かに夢中になって時を忘れたり、一瞬の喜びをどこまでも深く味わったり。

そんな贅沢な時間の使い方を少しだけでも取り戻すことが、現代社会をよりよく生きるための一つの方途なのだと思います。

雨が降る − 天候を表す文の構造について

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「雨が降る」という文について考えてみましょう。

  • 主語=雨
  • 述語動詞=降る

構造は非常にシンプル。

気温が下がり、雨が氷の結晶になった場合は主語を「雪」に置き換えます。

  • 主語=雪
  • 述語動詞=降る

当たり前!と思われたかもしれませんが、他の言語を見てみると、天候を表すのにこのような構造を用いている言語は案外見当たりません。

以下に見ていきましょう。

 

英語の場合

It rains.(雨が降る。)

英語の場合、主語のポジションに来るのはいわゆる天気の it。

「雨が降る」という情報は rain 一語に集約されています。

そのため「雪が降る」場合は、動詞を置き換えます。

It snows.(雪が降る。)

 

フィンランド語の場合

Sataa vettä.(雨が降る。)

フィンランド語の場合、「降る」を意味する sataa を最初に置き、その後に「水」を意味する vesi(vettä)を置きます。

ただしこの vettä は省略されて、sataa 一語で「雨が降る」という文を構成することも多いよう。

Sataa.(雨が降る。)

「雪が降る」場合は、水を雪に置き換えます。この場合の雪は省略できません。

Sataa lunta.(雪が降る。)

 

ラテン語の場合

Pluit.(雨が降る。)

ラテン語の場合、主語のポジションは空欄となり、pluit という動詞一語で「雨が降る」という文を構成します。

また「雪が降る」場合は、動詞を置き換えます。

Ningit.(雪が降る。)

 

まとめ

こうして見てみると、日本語・英語・フィンランド語・ラテン語のうち「雨が/降る」という構造を持っている言語は日本語以外にないことがわかります。

また「雨」が「雪」になったときの表現方法も言語によって異なります。

日本語 英語 フィンランド語 ラテン語
雨が降る。 It rains. Sataa (vettä). Pluit.
雪が降る。 It snows. Sataa lunta. Ningit.

 

もし新しく人工言語を作るとしたら、どのシステムを採用するのが一番合理的なのだろう?などとしばらく考えてみたものの、もちろんすぐに結論が出るはずもありません。

みなさんはどれがよいと思いますか?

ananas な世界

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フィンランド語で「パイナップル」は ananas(アナナス)。

おもしろい音の単語だなあーと思い、他の言語のパイナップルはどうなっているのだろう?と調べてみると。。。

チェコ語 ananas
ドイツ語 Ananas
デンマーク語 ananas
ギリシア語 ανανάς
フランス語 ananas
アイスランド語 ananas
イタリア語 ananas
オランダ語 ananas
ノルウェー語 ananas
ポーランド語 ananas
ポルトガル語 ananás
ルーマニア語 ananas
ロシア語 ананас
スウェーデン語 ananas
トルコ語 ananas

 

なんと!

まさかの ananas だらけ。

もしやあれをパイナップルだと思っているのは、英語話者と日本語話者だけなのでしょうか?

それならば、私たちは仲良くパイナップル同盟を結ぶことにしましょう。

いやしかし、他にもこの同盟に参加してくれそうな言語はないものか?と探してみると、

アフリカーンス語 pynappel
スペイン語 piña

 

心強いメンバーが見つかりました。

めでたしめでたし。。。と思いきや、

ananas

n.(pl. an-a-nas)パイナップル科アナナス属 Ananas の植物の総称

『ランダムハウス英和大辞典 第2版』

何と英語の語彙にも ananas が!

裏でしっかり手をつないでいたとは、油断のならないパートナーですね。

二進法のはなし

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コンピュータの記憶装置では、0と1の二進法によって数字を表します。

十進法 二進法
0 0
1 1
2 10
3 11
4 100
5 101
6 110
7 111
8 1000
9 1001
10 1010

 

集積回路において、あるピンに電流が流れていなければ0、流れていれば1を表わす。そのように二択にすることでエラーが少なくなるというのは、素人でも納得のできるところ。

しかしこの二進法を私たちの日常生活に採用してしまったら、どうなるでしょう?

さきほどの表で十進法の10は二進法では1010になっています。

これくらいならまだしも、十進法の100は二進法では1100100、十進法の1000は二進法では1111101000となり、いちいちこんなにたくさんの数字を書くのは非効率だということになるでしょう。

しかし世界の言語の中には、数の数え方において二進法を採用しているものもあるのだとか。

先日、千野栄一さんの『言語学フォーエバー』という本を読んでいたら、レビ・レオナルド・コナントの『数の起源と発達』という本からの引用として、二進法を採用しているトーレス・ストレート島のある方言が紹介されていました。

1 urapun
2 okosa
3 okosa urapun
4 okosa okosa
5 okosa okosa urapun
6 okosa okosa okosa

 

1は urapun、2はokosa、それ以上の数は全て urapun と okosa の組み合わせ。

ただ6くらいまでならこれで良いとしても、その後はどうするのでしょう?

さきほどの本によると、これ以上の数は全て ras(沢山)と呼ばれるのだそう。

「なるほど。昔の島の暮らしではそんなにたくさんの数は必要ないのか」と一瞬納得しそうになりましたが、考えてみると未開の生活であっても、6以上の数字を使う機会はあったはず。

A:魚が釣れたよー。
B:何匹くらい?
A:ras

とか、

A:敵が攻めてきた!
B:軍勢の数は?
A:ras

とか、

とにかく数の多いものは ras ということにしてしまうのも、一つの知恵なのかもしれません。

これを現代社会に応用して、

A:えーと、宴会の予約をしたいんですが。
B:何名様ですか?
A:ras

とか、

A:日本は少子化が進んでいるねー。
B:現在の日本の人口はどれくらい?
A:ras
B:50年後の日本の人口はどれくらい?
A:ras

なんて言えたら、もう少し牧歌的な生活がやってくるのかもしれません。

 

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空と青

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東京ではこの頃、冬晴れの空がきれいです。

せわしない日常の中でも、ふと空を見上げると気持ちが落ち着くことってありますよね。

そんな「空」は世界の言語ではどのように表すのでしょう?

English sky
Finnish taivas
French ciel
Greek ουρανός
Latin caelum
Russian небо

 

ギリシア語で「空」は ουρανός(ウラノス)、ラテン語で「空」は caelum(カエルム)。

当たり前ですが、言語によって響きはずいぶん異なるもの。

そんな空の色というのは、時刻によって青、赤、黒と変化します。

しかし「空は何色?」と聞かれたら、ほとんどの人は真っ先に青を連想することでしょう。

「青」はラテン語で caeruleus(カエルレウス)。

caelum
caeruleus

 

つまり2,000年前のローマでは、「青」という概念は「空の色」として共有されていました。

「Wiktionary」による caeruleus の語義は次のとおり。

caeruleus

  1. Of or pertaining to the sea.
  2. Of or pertaining to the sky.
  3. Of or pertaining to rivers or sea and river deities.
  4. dark colored, dark blue, dark green, cerulean, azure
  5. gloomy, sable, black

現代ではそこかしこに人工の青が散乱していますが、ローマの人にとって青というのは、海の色であり、空の色であり、川の色であったと。

そんな時代の人にとって、青という色は今よりもずっと新鮮で貴重なものとして映っていたのかもしれない。冬空を見上げながらそんなことを考えました。

Wikitongues − 世界の言語を記録する

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一説によると、現在、地球上で話されている言語の数は6,000〜7,000と言われています。

そして驚くべきことに、世界規模のグローバル化やその他の要因によって、そのうちの約半数は、今世紀のうちに消滅してしまうと予想されています。

この抗うべくもない潮流の中で、私たちにはいったい何ができるのでしょう?

この状況に対する一つのユニークな試みとして Wikitongues というプロジェクトが立ち上がっています。

Wikitongues

Wikitongues は、世界中の言語を Youtube の上に記録し、誰もがアクセスできるようにしようという野心的なプロジェクト。

失われゆく言語をこのような形で記録することができれば、未来に向けて何らかの遺産を残すことができるのかもしれません。

 

どんな動画がアップされているのかなと思い、まずはフィンランド語の動画を探してみたところ、二本の動画がアップされていました。(2014年11月現在)

こちらの Jenni さんの動画には、何と全文のスクリプトと英訳が掲載されています。
(もとの youtube.com のサイトで見てみてください。)

Jenni さんはアメリカ人とフィンランド人の気質の違いについて語っています。日本人なら共感できそうな内容ですね。

 

こちらの Pälvi さんの動画には、スクリプトはありません。フィンランド語の響きを楽しみましょう。。。

 

フィンランド語は話者約6,000,000人の小さな言語。

それでも数百年単位の未来において、フィンランド語が消滅するということはないでしょう。

ただし、もしある言語が消滅して、その言語の知識を持つ人がこの地球上から誰一人いなくなってしまったとしても、こんな風に動画でその言語の響きを味わうことができたら、それは素敵なことではないでしょうか?

前世紀においては、失われゆく言語を記録するのは訓練を積んだ言語学者の仕事でしたが、今世紀においては、思いのほかカジュアルな作業になっていくのかもしれません。

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