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映画

『希望のかなた』アキ・カウリスマキ監督

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今日12月6日はフィンランドの100回目の独立記念日。

だからという訳ではないのですが、渋谷のユーロスペースでアキ・カウリスマキ監督の新作『希望のかなた(原題:Toivon tuolla puolen)』を観てきました。

前作の『ル・アーヴルの靴みがき』を観たのは2012年のこと。前作の舞台はフランスだったので、フィンランドが舞台の作品ということになると、そのまた前作の『街のあかり』以来ということになります。

物語はシリアからの難民カーリドと彼を助けるレストランオーナーのヴィクストロムの二人を軸に進行します。

ストーリーだけを見れば、現在の世界を取り巻く不寛容への批判とヒューマニズムに満ちた、ストレートなメッセージ性のある映画ということになるのでしょう。

とはいえ、いつものカウリスマキ映画と同じように、物静かな登場人物たちが飄々と隣人のために行動する、その描写に押し付けがましさはありません。

物語はカーリドが妹のミリアムを迎えるハイライトから、ちょっと投げ出されたようにも感じるオープンエンディングまで流れるように進みます。

フィンランド歌謡曲(?)のバンド演奏やくすりと笑ってしまうようなユーモアなど、いつものカウリスマキ節も健在です。(詳細は伏せますが、すしとわさびの日本ネタのシーンがいちばんツボでした。)

また久しぶりに観た35mmフィルムの映像はとても美しく、映画館ならではの余韻に浸ることができました。ユーロスペースでのフィルム上映は12/17(日)までということなので、行く予定のある人はそれまでに行ってみてはどうでしょうか。


フィンランド映画祭2017で『ペット安楽死請負人』を観てきました。

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現在六本木で開催中の「フィンランド映画祭 2017」。

フィンランド映画祭 2017

二日目の昨日は13:30からの『月の森のカイサ』に続いて16:00より『ペット安楽死請負人』を観ました。ずいぶんと物騒なタイトルの映画ですが、いったいどんな内容なのでしょう?

あらすじは映画祭の公式ホームページより。

ペット安楽死請負人
Armomurhaaja/Euthanizer

今秋トロント国際映画祭でワールドプレミアを行い、第30回東京国際映画祭でも上映される「ワンダフル・ワールド」(Lovemilla フィンランド映画祭2015上映)監督の最新作。フィンランド本国では11月24日に公開される。製作ヤニ・ペセ、監督テーム・ニッキのコンビによる長編映画3作目にあたる本作は前作とは全く異なるジャンルに挑戦している。“痛みには常に理由がある”と語り、ペットの安楽死サービスを副業とするメカニックがペットを虐待する人々を処罰していくというストーリー。アキ・カウリスマキ監督の「浮き雲」「街のあかり」で知られるフィンランドで最も著名な名脇役マッティ・オンニスマーを主役に迎え、テーム監督自ら動物を抱えたダーティーハリーのような作品と語る。70年代カルト映画へスローバックしたノワール映画にして、スタイリッシュなグランジ・ムービー。

本作の主人公ヴェイヨは、フィンランドの小さな町で住人から報酬と引き換えにペットの安楽死を請け負っています。

安楽死という言葉の響きから、映画を観る前は、未来が見えないような重い病気にかかった動物が対象なのだろうと思っていました。

しかし実際には、獣医に連れて行くとお金がかかりすぎる、あるいは単に世話をするのが面倒になってしまった、そんな浅薄な理由でペットを連れてくる人もいます。安楽死云々というよりは単にペットを処分してほしいという人々です。

主人公のヴェイヨはそんな理不尽な依頼を淡々と請け負う、、、のではなく、それらの動物が抱えてきたであろう苦しみをちょっと過激な方法で飼い主に味わってもらったり、一度は処分を請け負った犬を愛情から自分の飼い犬にしてしまったり。どちらかといえば慈悲的なキャラクターとして描かれています。

この段階において、私たち観客は彼の行動を「正しい」ものとして理解しています。

ところが、末期の病で入院している父親との複雑な関係性が明らかになり、物語の後半で彼が暴走し始めるとき、彼の行動は依然として「正しい」ものの、正しい行動というのは現実の社会において必ずしも正しくはないという矛盾に気づき始めます。

スリリングな展開の中に、人間の業と偽善を暴いた一種の哲学的な映画になっているのかなと思いました。

なお映画が終わった後にはプロデューサーのヤニ・ペセさんによるティーチ・インがありました。

その中で印象に残ったのはランボーは映画の中で150人の人を殺しても問題にならないが、一匹の犬を殺したら問題になるだろうという言葉。

そこにある「矛盾」はこの映画のテーマとリンクしています。その理由を上手く言葉にすることはできないのですが、私たちが普段疑いなく信じているこの世界の前提のようなものを強く揺さぶってくる、そんな力のある作品だったと思います。


フィンランド映画祭2017で『月の森のカイサ』を観てきました。

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昨日から始まった「フィンランド映画祭 2017」の二日目。

フィンランド映画祭 2017

今日はまず13:30より『月の森のカイサ』という作品を観ます。こちらはスカンジナビア半島の先住民族であるサーミの人々についてのドキュメンタリー。

あらすじは映画祭の公式ホームページより。

月の森のカイサ
Kuun metsän Kaisa/ Kaisa’s Enchanted Forest

スイスの作家ロベール・クロットエ(1908 − 1987)は、1930年代、かねてより夢見てきたフィンランド北部のスコルト・サーミ部族に会うために、北に向かって旅に出る。彼の想いは部族に受け入れられ、スコルトの長老カイサと緊密な友情を育んでいく。カイサはクロットエに部族の豊かな伝説と伝記を外部に伝承することを許可する。これはクロットエと脆弱な部族との生涯にわたる関係の始まりでもあった。クロットエの書籍、写真、ビデオ、音声テープを使用して、カイサ自身の子孫カトゥヤ・ガウリロフによる本作は、異なる二つの文化の出会いと二人の友情についての詩的な探求である。それは真実とフィクションの境界にあり、スコルトの伝説とカイサの気まぐれな音楽をアニメーションで表現するなど、フィンランドの遥か北の地方にひっそりと生きる人々の暖かく愛に満ちたポートレートである。

あらすじによると本作はサーミの長老の子孫が記録したドキュメンタリーであるとのこと。どんな内容なのか俄然気になります。

映画の冒頭、スコルト・サーミ(Skolt Sami)の伝説がアニメーションで語られていきます。しかしその物語は完結せず、映画は本作の語り部である作家ロベール・クロットエ(Robert Crottet)のライフヒストリーへと移っていきます。

幼い頃に母親を亡くした彼がなぜ北の文化に惹きつけられたのか、その核心部分は語られることがないのですが、同じように北の文化に魅力を感じる自分のような人間にとっては理屈抜きに共感できる部分がありました。

物語はまだ平和な時代のスコルト・サーミの人々とクロットエの交流、そこから戦争の時代へと進んでいきます。

ちょうど今、読んでいる『物語 フィンランドの歴史』というフィンランド史の入門書にも詳しくは出てこなかったサーミの人々と戦争との関わりがリアリティを持って語られます。

 

物語 フィンランドの歴史 - 北欧先進国「バルトの乙女」の800年 (中公新書)
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中央公論新社
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本作の元になっている映像はクロットエのパートナーが私的に撮影した過去のフィルムが元になっているとのこと。その古いフィルムの質感とフランス語の静謐なナレーションがあいまって、ドキュメンタリー映画というより、私的な記録映画を見ているような気分になります。

またこれまでサーミの言葉をきちんと聞いたことがなかったので、その言葉の響きを味わうことができたのも、言葉好きの自分にとっては嬉しいことでした。

いわゆる「北」の歴史や文化に興味のある人にはオススメの作品だと思います。


フィンランド映画祭2017で『マイアミ』を観てきました。

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今日11月4日(土)から11月8日(水)までの5日間、六本木のTOHOシネマズにて「フィンランド映画祭 2017」が開催されています。

フィンランド映画祭 2017

今回の映画祭で上映される作品のリストは次のとおり。

フィン
ペット安楽死請負人 Armomurhaaja Euthanizer
マイアミ Miami Miami
リトル・ウィング Tyttö nimeltä Varpu Little Wing
月の森のカイサ Kuun metsän Kaisa Kaisa’s Enchanted Forest
ラップランドの掟 Armoton maa Law of the Land
希望のかなた Toivon tuolla puolen The Other Side of Hope

 

オープニング作品の『ペット安楽死請負人』は明日観る予定なので、今日は夕方16時からの『マイアミ』を観てきました。

あらすじは映画祭の公式ホームページより。

マイアミ
Miami/Miami

離れ離れに育った二人の姉妹の物語。姉のアンジェラはナイトクラブを周る奔放なショー・ダンサー。恥ずかしがりやの妹のアンナは小さな町のパン屋で働いている。父親の死後、不安が募るアンナはアンジェラを見つけ再会を果たす。魅惑的で自信に満ち溢れたアンジェラは彼女のツアーに同行するよう臆病なアンナに尋ね、二人の旅が始まった。アンナはアンジェラが過去からの苦悩を抱えていることなど知る由もなかった。旅は互いを必要としていたが、姉妹の絆が試される事態に直面する。監督はフィンランド映画界期待のザイダ・バリルート。彼女の他の監督作は「僕はラスト・カウボーイ」(フィンランド映画祭2010上映)、「グッド・サン」(フィンランド映画祭2011上映)がある。平和と安定を求めて葛藤する機能不全の家族を常に探求している。

若手の俊英として知られるザイダ・バリルート監督の名前は聞いたことがあったものの、作品はまだ見たことがなかったので、楽しみにして来ました。

事前情報なしに映画を観たので、何となく姉妹がフィンランドを旅するロードムービーなのかなと思っていたのですが、実際には事件が事件を呼ぶサスペンス映画。

物語の途中で起こる大事件からラストのどんでん返しまでは、一気に突き進むジェットコースタームービーという感じ。いつの間にか時間を忘れて映画の世界に入り込んでいました。

また主役の姉妹を演じた二人の女優、姉アンジェラ役のクリスタ・コソネン(Krista Kosonen)と妹アンナ役のソニア・クイッティネン(Sonja Kuittinen)のコンビがとても素敵で印象に残りました。

特に妹役のソニア・クイッティネンは映画の最初と最後では全く別人なのではないかと思うくらい表情がくるくると変わっていって、その一コマ一コマがとても魅力的。映画が終わった後に近くの席の人が「アンナ、かわいかったねー」と呟いていたので、心の中で思わず「うんうん」とうなずいてしまいました。

とりあえず初日はこの作品のみ。二日目の明日は二作品を観る予定です。


フィンランド映画祭2016で『王となった少女』を観てきました。

photo credit: Tuomas A. Lehtinen Photography Turku castle 2 via photopin (license)

photo credit: Tuomas A. Lehtinen Photography Turku castle 2 via photopin (license)

昨日に続いて、フィンランド映画祭2016のレポートを。

フィンランド映画祭 2016

今回はミカ・カウリスマキ監督の新作『王となった少女(原題:The Girl King)』を観てきました。

王となった少女
原題:The Girl King
106分/2015年/カラー/デジタル上映

スウェーデン女王で歴史上のアイコンの一人、フィンランド大公も兼ねた若きクリスティーナの物語。
17世紀前半、ヨーロッパ全土を揺るがした三十年戦争のさなか、父グスタフ・アドルフの跡を継ぎ6歳で即位したクリスティーナ。幼いころから少年のように育てられた彼女だったが、豊かな知性と教養に溢れる人物へと成長していく。しかし次第に権力や伝統に抑え込まれ、まるで迷宮に入り込んでいるような日々を過ごしていた。やがて美しくエレガントな女官エバ伯爵夫人と出会い愛を見出す。そして、聡明な彼女は自由を求めスウェーデンを現代化するため保守的な軍隊との戦いを決意するのだった。この劇的かつ絢爛たる女王の肖像を描くのはフィンランドを代表する偉才ミカ・カウリスマキ監督。

映画を見る前は、主人公のクリスティーナやこの時代についての予備知識は全くなかったのですが、映画が始まってすぐに物語の世界にぐっと引き込まれました。

何よりも主人公のクリスティーナのキャラクターがとても魅力的に描かれていて、そこがこの映画の最大の魅力になっているのではないかと思います。

人間関係に悩み、どうやったら自分の感情をコントロールできるのだろうと葛藤するシーンなどは、歴史映画というより、現代の人間ドラマのようでもあります。

一方、クリスティーナがカトリックへの改宗を考えるあたりは、彼女の心の動きがあまりよく理解できず。当時の時代背景や宗教・歴史についての知識がもう少しあれば、より深く映画を理解できたのかもしれません。

ただそのような知識がなくても、一人の女性の生き方を描いた人間ドラマとして、誰でも楽しむことができる映画だと思います。

劇中、クリスティーナは哲学者のルネ・デカルトをストックホルムに招きます。そのデカルトを演じている役者さんが一般に知られているデカルトの肖像画と瓜二つなのにびっくり。もともとそっくりな人を起用したのか、あるいはコスチュームやメイクで似せたのか。いずれにしても一見の価値ありです。

↓この肖像画

After Frans Hals (1582/1583–1666) [Public domain], via Wikimedia Commons

After Frans Hals (1582/1583–1666) [Public domain], via Wikimedia Commons

なお本作で使われている言語は英語とスウェーデン語なので、フィンランド語の響きを楽しむことはできません。ただ本編終了後のエンドクレジットによると、ロケ地はフィンランドのトゥルク(Turku)とドイツのいくつかの街となっていました。17世紀のお城やそこに暮らす貴族の生活様式なども映画の見所の一つだと思います。


フィンランド映画祭2016で『湖のものがたり』を観てきました。

photo credit: Tuomo Lindfors Iisalmi via photopin (license)

photo credit: Tuomo Lindfors Iisalmi via photopin (license)

11/4(金)〜11/8(火)の5日間、六本木の「TOHOシネマズ 六本木ヒルズ」で「フィンランド映画祭2016」が開催されています。

フィンランド映画祭 2016

初めてこの映画祭に来たのは2013年なので、今年でもう4年目。早い!

今回上映されている5作品のタイトルは次のとおり。

邦題 原題
湖のものがたり Järven tarina
ボドム Bodom
王となった少女 The Girl King
朝までの二夜 2 yötä aamuun
巨山 Jättiläinen

 

今年は『湖のものがたり』『王となった少女』の二作品を観る予定。

念のため、事前にインターネット予約で席を確保しておきました。

まずは最初に観た『湖のものがたり』について。

湖のものがたり
原題:Järven tarina
英題:Tale of a Lake
76分/2016年/カラー/デジタル上映

2016年1月、フィンランドで当初10館での公開だったが、翌週には114館に拡大公開される異例の大ヒット。氷河に削られて出来た無数の湖がある事で知られるフィンランドの、その湖を主役にしたドキュメンタリー。
この湖の物語は見る者を秘密や神話が存在する自然の宝庫に連れて行ってくれる。フィンランドの文化と古代の宗教の物語が、私たちの生きる世界の表面下の湖の水中にも存在することを、このスケールで初めて観客に公開。湖は海や川といった水の世界と同じく、生きた動物、植物、昆虫で構成され、季節の移り変わりは物語に変化をもたらす。6千年を超える湖の歴史を通じて、古いフィンランドの神話と変わらぬ信念について語られる貴重な作品。

本作品はフィンランドの美しい自然を捉えたドキュメンタリー。

CGではないかと目を疑ってしまうくらいのリアルな映像で、フィンランドの湖水地方に棲むさまざまな動物の生態を記録しています。

上映終了後のティーチ・インで撮影監督の方が語っていた話によると、撮影には全部で3年の期間をかけたとのこと。

たしかに一つ一つのシーンを思い返してみると、これを記録するのには相当な時間がかかっているのだろうなということは容易に想像できます。

ナレーターは以前に観たフィンランド映画『旅人は夢を奏でる』の主演俳優サムリ・エデルマン(Samuli Edelmann)が担当しています。あ、この声は聞いた事がある!という感じ。

映像を楽しみつつ、フィンランド語のナレーションにも必死に耳を傾けていたのですが、わかるところもあり、わからないところもあり。単語レベルでは理解できる部分も多かったので、進歩ありということにしておきたいと思います。

また完成した映像に合わせて作曲したという音楽も素晴らしく、76分間の非日常を楽しむことができました。映画館でこういったドキュメンタリーを見る機会はあまりないので、とても新鮮な体験ができたように思います。


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