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映画

フィンランド映画祭2016で『湖のものがたり』を観てきました。

photo credit: Tuomo Lindfors Iisalmi via photopin (license)

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11/4(金)〜11/8(火)の5日間、六本木の「TOHOシネマズ 六本木ヒルズ」で「フィンランド映画祭2016」が開催されています。

フィンランド映画祭 2016

初めてこの映画祭に来たのは2013年なので、今年でもう4年目。早い!

今回上映されている5作品のタイトルは次のとおり。

邦題 原題
湖のものがたり Järven tarina
ボドム Bodom
王となった少女 The Girl King
朝までの二夜 2 yötä aamuun
巨山 Jättiläinen

 

今年は『湖のものがたり』『王となった少女』の二作品を観る予定。

念のため、事前にインターネット予約で席を確保しておきました。

まずは最初に観た『湖のものがたり』について。

湖のものがたり
原題:Järven tarina
英題:Tale of a Lake
76分/2016年/カラー/デジタル上映

2016年1月、フィンランドで当初10館での公開だったが、翌週には114館に拡大公開される異例の大ヒット。氷河に削られて出来た無数の湖がある事で知られるフィンランドの、その湖を主役にしたドキュメンタリー。
この湖の物語は見る者を秘密や神話が存在する自然の宝庫に連れて行ってくれる。フィンランドの文化と古代の宗教の物語が、私たちの生きる世界の表面下の湖の水中にも存在することを、このスケールで初めて観客に公開。湖は海や川といった水の世界と同じく、生きた動物、植物、昆虫で構成され、季節の移り変わりは物語に変化をもたらす。6千年を超える湖の歴史を通じて、古いフィンランドの神話と変わらぬ信念について語られる貴重な作品。

本作品はフィンランドの美しい自然を捉えたドキュメンタリー。

CGではないかと目を疑ってしまうくらいのリアルな映像で、フィンランドの湖水地方に棲むさまざまな動物の生態を記録しています。

上映終了後のティーチ・インで撮影監督の方が語っていた話によると、撮影には全部で3年の期間をかけたとのこと。

たしかに一つ一つのシーンを思い返してみると、これを記録するのには相当な時間がかかっているのだろうなということは容易に想像できます。

ナレーターは以前に観たフィンランド映画『旅人は夢を奏でる』の主演俳優サムリ・エデルマン(Samuli Edelmann)が担当しています。あ、この声は聞いた事がある!という感じ。

映像を楽しみつつ、フィンランド語のナレーションにも必死に耳を傾けていたのですが、わかるところもあり、わからないところもあり。単語レベルでは理解できる部分も多かったので、進歩ありということにしておきたいと思います。

また完成した映像に合わせて作曲したという音楽も素晴らしく、76分間の非日常を楽しむことができました。映画館でこういったドキュメンタリーを見る機会はあまりないので、とても新鮮な体験ができたように思います。


ロッキーⅥ

久しぶりに『ロッキーⅥ』を見ました。

といっても、スタローンの方ではなく、フィンランドの映画監督アキ・カウリスマキの短編映画です。

この『ロッキーⅥ』は学生の頃に見て、しみじみ「いいなあ」と思った一本。

手持ちの「カウリスマキ Blu-ray BOX」に収録されているのを思い出して、引っ張り出してきました。

わずか8分のこの短編。ストーリーはあってないようなもの。

ロシアの寒村からは大男のイゴールが犬ぞりでボクシングの試合へ。

一方、アメリカからはやせっぽちのロッキーが試合へ向かいます。

試合では、体格差そのままにイゴールがロッキーをこてんぱんに打ちのめす。まあそれだけ。

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この突き放したようなユーモアに共感できる人なら、きっとカウリスマキ作品のファンになるのではないかと思います。

またこの映画から政治的・社会風刺的なメッセージを読み取るような解釈もあるようですが、そこまで考えていたのかな?というのが率直な感想。

この世界にたくさんの映画があるのなら、余ったフィルムを使って酔っ払いながらテキトーに作りましたという映画もあってよいのではないでしょうか。

何も全ての映画や芸術が偉大である必要はないと思うのです。

 

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『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』をめぐって

先日、新宿シネマカリテにて『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(God Help the Girl)』という映画を観てきました。

スコットランド・グラスゴー出身のバンド、ベル・アンド・セバスチャン(Belle and Sebastian)のフロントマン、スチュアート・マードックの監督第一作。

マードックが2009年に発表した同名のアルバム『God Help the Girl』がベースになっており、彼は本作で脚本やサントラも担当しているとのこと。多才!

これまで特にベル・アンド・セバスチャンのファンという訳ではなかったのですが、予告編を見て何となく惹かれてしまい、ふらふらと映画館へ。

偶然サービスデーだったこともあり、映画館は満員で、最後の一席に滑り込むことができました。

映画のストーリーはシンプル。心を病んで入院している主人公のイブという女の子が、病院から抜け出して、ジェームズとキャシーという二人の仲間に出会い、音楽活動を始めるというもの。

人間関係にまつわるドラマが前面に出てくることはなく、あくまでキラキラした音楽とファッションが映画の主役。

ディテールに至るまで監督の趣味が100%全開で、こんな映画を一本作ることができたら、もう思い残すことはないのではないかと。

ある一線を越えてしまうと、映画として優れているとかいないとか、そういうアーティスティックな価値観はどうでもよくなってしまい、ただ好きか嫌いかしか残らないという、そんなことを考えさせられた一本でした。(これは褒め言葉です。念のため。)

また監督が影響を受けたと公言しているザ・スミス(The Smiths)へのオマージュなのか、主人公のイブを演じるエミリー・ブラウニングがスミスの「Meat is Murder」のTシャツを着て、踊っているシーンもあったりします。

数年前に公開された『(500)日のサマー』もそうだったように、この頃スミスに言及する作品って多いなあという印象。

キャシーを演じたハンナ・マリーがスミスの「How soon is now?」のミュージックビデオに出てくる女の子にそっくりだと思ったのは私だけでしょうか?


フィンランド映画祭2014で『水面を見つめて』を観てきました。

きのうに続いて、フィンランド映画祭2014のレポートです。

フィンランド映画祭

[昨日のエントリー]フィンランド映画祭2014で『コンクリートナイト』を観てきました。 | Fragments

16:30スタートの『コンクリートナイト』が終わり、18:45スタートの『水面を見つめて』が始まるまで少し時間があったので、近くのスターバックスでコーヒーを飲んで休憩。

一旦、頭をからっぽにしてから、次の映画に向かいました。

『水面を見つめて』の会場はさきほどより小さいアートスクリーン。100人くらいのキャパでしょうか。

『コンクリートナイト』の冷たいモノクロームの画面とはうってかわり、『水面を見つめて』は楽しげな家族の風景から始まります。

こちらも映画祭の公式ホームページにのっているあらすじをのせておきます。

水面を見つめて
原題:Tumman veden päällä
英題:Above Dark Waters

本作にも出演している俳優ピーター・フランゼンの同名小説の映画化。物語の舞台は1970年代のラップランドの小さな町。小学校入学直前の少年ペテは、酒を飲むと暴力をふるう義父に怯える生活を送っていた。ペテの母親は、既に離婚経験があり、小さな町の中で夫の暴力を隠そうとする。自身の面目を保つため、子供たちの幸福が危険にさらされるのであった。ペテは祖父母のもとに預けられ、そこで彼の人生は一遍する。祖父母に支えられ、元気を取り戻し、自分自身の目で物事を見る勇気を与えられることになるー。ラップランドを舞台にフィンランドの日常風景を描いたヒューマンドラマ。

映画の主人公はもうすぐ小学生になるペテ、そして妹のスヴィと両親。

どこにでもいるような普通の家族ですが、決して完璧な家族などないように、この家族にも暗い影が。

そしてその影がだんだんと大きくなって。。。

物語の鍵を握るのは、普段は温厚なのに、時に感情を制御できなくなってしまうお父さん。

去年のフィンランド映画祭2013のオープニング作品『旅人は夢を奏でる』で生真面目な主人公を演じていたサムリ・エデルマン(Samuli Edelmann)が、今回は人間のダークサイドを強烈に演じています。

このお父さんと母子の関係を軸に物語は展開します。

しかしそんなストーリーライン以上に印象に残ったのが、主人公ペテの行動とその眼に映る世界。

出来心で友達のコインを盗んだり、包丁でいたずらをしてお母さんに怒られたり。

そんなディテールの一つ一つから、自分の子ども時代を思い出して身につまされてしまうのです。

どうして子どもというのは、あんなに理不尽なことばかりしてしまうのでしょう?

またあれほど家族に怒りをぶつけた父親でさえも、ペテにとっては一方的な畏怖の対象ではありません。

そこにはアンビバレントな感情が渦巻いていて、私たちの安易な共感を撥ね付けるような強い眼差しがあります。

かつて子どもだったことがある人なら誰でも、このペテの姿から思い起こす記憶があるのではないでしょうか?

そんな訳で自分にとって、この『水面を見つめて』は何よりも子どもの映画として記憶されることになりました。

子どもの映画と言えば、

フランソワ・トリュフォー監督の『大人は判ってくれない』とか、

ケン・ローチ監督の『ケス』とか、

ラッセ・ハルストレム監督の『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』とか、

これらの映画が好きな人なら、きっとお気に入りの一作になるのではないかと思います。

そして映画の最後にペテが家族の幸せを祈るモノローグが流れる場面では、じんわりと暖かい気持ちになりました。

誰もが幸せになりたいと思っているはずなのに、なぜこんなにも空回りしてしまうのでしょう?

様々な感情と余韻の中で、映画館を後にしました。

もしも一般公開されることがあれば、おすすめの一本です!


フィンランド映画祭2014で『コンクリートナイト』を観てきました。

photo credit: timo_w2s via photopin cc

photo credit: timo_w2s via photopin cc

11/29(土)よりフィンランド映画祭2014が始まりました。

フィンランド映画祭

さっそく初日に『コンクリートナイト』『水面を見つめて』の二本を観てきました。

会場の「TOHOシネマズ 六本木ヒルズ」に来るのは、去年に続いて二度目。

去年はものすごい人だかりの中、チケットを発券するだけでも一苦労だったのですが、今年はスイスイと手続きすることができました。

アイスティーを購入し、会場のスクリーン6へ。180席くらいのサイズのよう。

まずは最初に観た『コンクリートナイト』の感想から。

率直に言いますと、暗い! 難しい!

そんな映画ですので、普通に楽しい映画が観たいという人にはあまりオススメできません。

映画祭の公式ホームページにのっているあらすじは次のとおり。

コンクリートナイト
原題:Betoniyö
英題:Concrete Night

ヘルシンキの都心部に住む、年の離れた兄弟、イルッカとシモ。24時間後には刑に服することになる兄イルッカと、世間知らずの14歳の弟シモ。シモは、そんな兄のことを愛し、崇拝していた。残された最後の1日を、兄とともに過ごすことにしたシモ。その夜、兄弟は運命的な光景を目撃。シモはそれを理解することができずに、自分を欺くことができず、見たままを受け止めてしまう。ありのままの世界は、驚くべきものであった。そこを、偶然であったひとりの写真家が、彼らに別の受け止め方を提示してゆく──。

映画の冒頭は、主人公シモの悪夢から始まります。

川に架かった橋の上を走っていく電車。突如、橋が崩れ落ち、電車は頭から川の中に転落。車両の中に容赦なく注いでくる大量の水。そこから逃げようとするシモ。

凄惨な場面なのに、流れる水の描写がとても美しく印象的。

アンドレイ・タルコフスキー監督の『ストーカー』という、水の描写が有名な映画を思い出しました。

物語そのものはあまり説明的に描かれないため、いったい何が起こっているのかよくわからない場面も多々あり。

それでも印象に残ったのは、モノクロームの美しい映像と箴言的なセリフの数々。

「希望(toivo)のない人間こそが最強である」とか、

「人類が滅亡した後はサソリの時代になる」とか、

(サソリは放射能にも耐えられるというのは本当なのでしょうか?)

ネガティヴでありながら、イメージ喚起力の強いセリフが印象に残っています。

映画を貫くテーマは若者の絶望感ということになるのでしょうが、最終的に悲劇的な行動に至る主人公の心情をあまり理解できず、共感することのないままに映画は終了してしまいました。

そんな『コンクリートナイト』をおすすめするのは、

  • タルコフスキーの映画を好きな人
  • とんでもなく絶望している人(?)

といったところでしょうか。

*これから観たいという人は、12/2(火)の18:45より本作の上映があります。

また映画の上映後には、ピルヨ・ホンカサロ(Pirjo Honkasalo)監督と原作のピルッコ・サイシオ(Pirkko Saisio)さんによるティーチインもありました。

監督が女性だったのはびっくり!

そして監督曰く「この作品はやや難解なので、本来なら上映後に夜道を一人で歩きながら考える時間が必要なのに、その時間を奪ってしまってすみません」などとおっしゃっていたのも、さもありなんという感じ。

またちょっと残念だったのは、このティーチインが英語で行われていたこと。フィンランド語を通訳できる人がいなかったのでしょうか?

映画の中のフィンランド語については、さすがに去年の映画祭のときよりは理解できるセリフの数が増えた気がします。

まれにまるごとセリフが聞き取れたりすると、それだけで嬉しくなってニヤニヤしてしまいました。来年の映画祭に向けて、また精進しようと思います。


『カラマリ・ユニオン』アキ・カウリスマキ監督

photo credit: Novowyr via photopin cc

photo credit: Novowyr via photopin cc

フィンランドの映画監督アキ・カウリスマキの作品を集めた Blu-ray Box が3月に発売されました。

デビュー作の『罪と罰』から、2006年の『街のあかり』まで、何と長編16作品+短編8作品!

まずは未見の作品から観てみようと思い、最初に選んだのが1985年の作品で、デビュー二作目に当たる『カラマリ・ユニオン』。

物語の冒頭、カメラは場末のレストランに集まった15人の男たちを映し出します。男たちの名前は全員フランク(!)。

「我々はもうこの街では生きていけない」というリーダー格の男(もちろん名前はフランク)。

彼らは街の反対側にあるという理想郷エイラを目指して出発することを決意します。

打ち合わせが終わり、建物の外を歩いていく男たちの姿に音楽が重なるシーンは『レザボア・ドッグス』のオープニングシーンを思い出しました。

とにかく映像の切り取り方がスタイリッシュでかっこいい。

物語はその後、15人のフランクと1人のペッカが、それぞれのやり方で理想郷に向かう、そのおかしな道行きを、モノクロームの美しい映像で追いかけていきます。

全体を貫くストーリーはあってないようなもの。

この作品をナンセンス、笑えないコメディと称することもできるでしょうが、それ以上のキラリと光る何かが一つ一つのシーンに鏤められているような気がします。

笑ってしまったのは、物語の中盤、3日間飲まず食わずのマッティ・ペロンパーがスーパーのウインドウ越しに見た魚の缶詰について言うこんなセリフ。

死んだ魚は缶に守られ
缶はウインドウに
ウインドウは警察に
警察は恐怖に守られてる
たかが6匹のイワシにそれだけのバリケードだ

現実離れしたシークエンスから、物語に寓話的な意図を読み取ることもできると思いますが、それは観る人の自由に委ねられている感じ。

いずれにせよ映画の全編を通して、監督が好きなように撮っているということが、ひしひしと伝わってきます。

理想郷エイラへの道は険しく、フランクたちは途中一人また一人と脱落していきます。最後に残ったフランクたちはエイラに辿り着くことができたのか? それはぜひ本編でご確認ください。

ところで、タイトルのカラマリ・ユニオン(Calamari Union)いうのは、どんな意味なのでしょう?

これはフィンランド語ではなく英語で、calamari というのは「イカ」のこと。

calamari

[複数扱い]イカ(squid)<特にイタリア料理での呼び名>

『ジーニアス英和大辞典』

すなわち Calamari Union は「イカ同盟」という意味になります。

これだけだと全然意味がわからないのですが、おそらくは北欧の歴史に出てくるカルマル同盟(Kalmar Union)のもじりなのではないでしょうか。

カルマル同盟(カルマルどうめい)は、1397年にデンマーク・ノルウェー・スウェーデンの3王国間で締結された同盟(物的同君連合)。締結場所が現スウェーデンのカルマルであったので、カルマル同盟と呼ばれる。

Wikipedia「カルマル同盟」より

カルマル同盟とイカ同盟。

  • Kalmar Union
  • Calamari Union

並べてみると、たぶんこの説で間違いないと思うのですが。。。どうでしょう??

 

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