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日本語

じゃんけんの仲間たち

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「じゃんけん」を国語辞書で引いてみたら、次のような意味が出ていました。

じゃんけん[じゃん(拳)](名・自サ)

拳の一つ。片手で石・紙・はさみの形をまねて勝負する遊び。「じゃんけんぽん」とかけ声をかけてする。

「三省堂国語辞典 第七版」

ここで気になったのは最初の「拳の一つ」という記述。

拳の一つということは、この世界にはじゃんけん以外にも多くの〇〇拳があり、じゃんけんはその中の一つということなのでしょうか?

??

まずは辞書の「拳」の項目を見てみましょう。

けん[拳](名)

①手・指などで いろいろの形を作って勝負を争う遊び。例、きつねけん。

②拳法。

「太極ー」

「三省堂国語辞典 第七版」

さっそく、きつねけんという言葉が出て来ました。これは何でしょう?

きつねけん[(×狐)拳](名)

拳の一種。両手で、キツネ・庄屋・鉄砲のまねをして勝ち負けを争う遊び。

「三省堂国語辞典 第七版」

調べてみると、この狐拳というのはじゃんけんと同じような三すくみの拳遊び。

キツネは庄屋に勝ち、庄屋は鉄砲に勝ち、鉄砲はキツネに勝つというルールになっているのだそう。

また新明解国語辞典にはこんな「拳」ものっていました。

むしけん【虫拳】

「じゃんけん」の一種。手の親指をカエル、人さし指をヘビ、小指をナメクジにたとえて勝負を争う。

「新明解国語辞典 第七版」

この虫拳では、カエルはナメクジに勝ち、ヘビはカエルに勝ち、ナメクジはヘビに勝つというルールになっているとのこと。

しかしカエルがナメクジに勝ち、ヘビがカエルに勝つのはわかりますが、ナメクジがヘビに勝つ理由がよくわかりません。ナメクジはヘビの弱点を押さえているのでしょうか?

ただそんなこと言ったら、じゃんけんで紙(パー)が石(グー)に勝つというのもやや強引なルールではあります。よってこのようなルールは「そうなっているからそうなっている」ということにして、それ以上追求しないのが賢い態度と言えるでしょう。

なお調べてみると、今回紹介した「狐拳」「虫拳」以外にも様々な拳があることがわかります。興味のある人はお気に入りの拳を探してみてください。

 
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黒染め

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大阪の高校生が生まれつき茶色い髪の毛を「黒染め」するよう何度も指導され、精神的な苦痛を受けたとして大阪府を相手に訴訟を起こしたというニュースが報じられています。

今回のニュースを聞いたときに、この「黒染め」という言葉が、三省堂国語辞典の編者である飯間浩明さんの著書『辞書には載らなかった 不採用語辞典』に取り上げられていたことを思い出しました。

この本で「黒染め」の用例として紹介されているのは、著者がバスの中で聞いた大学生の会話。彼らは就職活動のために黒染めした友人について話しています。

また本書には、著者が「黒染め」を実際に辞書の見出し語として採用するとしたら、こんな感じになるのではないかという語釈も紹介されています。

いったん脱色したり、別の色に染めたりした髪を、黒に染め直すこと。また、その染料。

この本はあくまで不採用語を紹介する本なので、この黒染めという単語は実際の辞書(三省堂国語辞典)には掲載されていません。

ただこのような意味における黒染めという表現を耳にしたり、使ったりしたことがあるという人は案外多いのではないでしょうか。

私も職場にアルバイトで来ている大学生の子が「黒染めしましたよー」なんて言っているのを聞いたことがあります。

しかし今回の大阪の高校生のニュースにおける「黒染め」は、黒に染め直すという意味ではなく、もともと黒ではないものを黒に染めるという意味で使われています。

よってその意味も含めるならば、

黒以外の髪を黒に染めること。

あるいは、

黒以外の髪を黒に染めること。学校における指導の一環として強制されることもある。

などという語釈を付け加える必要があるのかもしれません。

いずれにせよ、黒染めという言葉がこれほど公の場に登場したことはこれまでなかったように思います。良くも悪くも、これから市民権を得ることになるのでしょうか?

 

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船の性別

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She is a fine ship.

立派な船だ

「ランダムハウス英和大辞典 第2版」

英語では船に対して代名詞 she を使うことがあります。

現在では it を使う方が普通のようですが、船に愛着のある人(船員さんなど)は she を選ぶこともあるとのこと。

なぜ船が女性なのか? これには諸説あって、例えば「維持費がかかるから」とか、ハラスメントになってしまいそうな説も多々あるのであまり深入りはしないでおきます。

その優美な姿を女性に例えたくらいのところで何となく納得しておくのがベストかもしれません。

この「船=女性」というのは勝手に万国共通のイメージかと思っていたのですが、先日読んだ北村太郎さんの詩集にこんな一節がありました。

船は

アメリカやヨーロッパでは女性だが

ニホンでは、丸、というくらいだからおとこなのか

あの貨物船

どうみてもうつむいている老いたる浮浪者だった

北村太郎『港の人』P.50

言われてみれば、日本語ではたしかに船の名前に「丸」を付けることがよくあります。

まる[丸]

,,,

三(接尾)男の子・刀・船などの名前にそえることば。「牛若ー」

「三省堂国語辞典 第七版」

三国によれば「丸」というのは「男の子・刀・船」などの名前に添える言葉となっています。

もちろん「〇〇丸」は現代においてよくある男の子の名前とは言えませんが、歴史上有名な人物の幼名が「〇〇丸」というケースはよくあります(梵天丸→伊達政宗とか)。

それにしても「船=女性」というイメージを、まさか日本語に覆されるとは思いませんでした。先入観というのは怖いものですね。

 

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忘れん坊

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先日、ある約束を忘れてしまった知り合いの人が「私、忘れん坊なんですよ」と言っていました。

忘れん坊って何だか素敵な日本語ではないでしょうか。

これは辞書にのっている言葉なのだろうか?と思い、調べてみるときちんと出ていました。

わすれんぼう[忘れん坊](名)

〔俗〕ものごとを忘れやすい人。わすれんぼ。

「三省堂国語辞典 第七版」

日本語にはこの「忘れん坊」の他にも[ーん坊]の付く言葉がたくさんあります。

辞書からざっと拾ってみました。

  • あかんぼう[赤ん坊]
  • あばれんぼう[暴れん坊]
  • あまえんぼう[甘えん坊]
  • あわてんぼう[慌てん坊]
  • いやしんぼう[卑しん坊]
  • おこりんぼう[怒りん坊]
  • かくれんぼ[隠れん坊]
  • きかんぼう[利かん坊]
  • くいしんぼう[食いしん坊]
  • くろんぼう[黒ん坊]
  • けちんぼう[けちん坊]
  • さくらんぼ[桜桃・桜ん坊]
  • しわんぼう[吝ん坊]
  • たちんぼ[立ちん坊]
  • とおせんぼ[通せん坊]
  • わすれんぼう[忘れん坊]

これらの[ーん坊]に共通する意味は何でしょう?

三国ではこの[ーん坊]という造語成分そのものも見出し語になっているので、そちらを参照してみました。

ーんぼう[(ん坊)](造語)

①困った性質の人を呼ぶことば。

「あまえー・あわてー・けちー・忘れー」

②そういうすがたやかっこう、行動(をしている人)。

「赤ー〔=赤ちゃん。赤いから言う〕・はだかー・立ちー・かくれー」

③動植物をしたしんで言うことば。

「あめー・さくらー・つくしー」

▽んぼ。

「三省堂国語辞典 第七版」

さきほど並べた[ーん坊]の付く言葉の多くは、上記の分類で①の「困った性質の人を呼ぶことば」に当たります。

ただ「怒りん坊」と言われると「短気な人」より柔らかい感じがしますし、「慌てん坊」と言われると「そそっかしい人」より愛嬌があるような気がします。

そういう意味で[ーん坊]というのは、私たち人間のマイナスな一面を暖かく受け入れてくれる、貴重な日本語なのではないでしょうか。

 
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とうざい、とうざい!

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ムーミンの小説作品の第三作『たのしいムーミン一家』の中に、ムーミンと仲間たちが山で魔法の帽子を拾ってくるというエピソードが出てきます。

魔法の帽子は、中に入れたものをすっかり他の姿に変えてしまう力を持っています。

拾ってきた当初ごみ箱代わりにしていた帽子にムーミンが投げ捨てた卵の殻は、五つの小さい雲に姿を変えました。

その雲に乗ったスノークのおじょうさんの様子を見て、いっしょにいたスニフは自分も乗ってみようとします。

「ぼくも乗ってみようっと」

こういってスニフは、べつの雲にとび乗ると、玉乗りでもする気になって、

「とうざい、とうざい!」

とさけびました。ところが、そうやって「とうざい」をいいかけたときに、雲はふわりと動いて、しずかに地の上からまいあがったのです。

「たのしいムーミン一家」P.29-30

このシーンの「とうざい」の意味が気になって、しばらく考え込んでしまいました。

こんな表現は辞書には出ていないだろうし、、、と思ったものの、引いてみるときちんと出ているではありませんか。国語辞書すごい!

とざいとうざい【東西東西】

観客のどよめきをしずめ、また、口上を述べる際に、「皆様お静かに」の意でかける言葉。とうざいとうざい。

「新明解国語辞典 第七版」

聞き慣れない表現ですが、「東のお客様から西のお客様まで、みなさまお静かに」というようなニュアンスのかけ声なんですね。

それにしてもムーミンの世界からこんな和風な言葉を拾うことができるとは思いませんでした。

原書のスウェーデン語ではいったいどのような表現だったのでしょう?

 
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presentator(プレゼンテーター)

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先日あるプレゼンテーションの研修に参加したときのこと。

講師の先生がプレゼンテーションをする人のことを繰り返し「プレゼンテーター」と呼ぶのが気になりました。

プレゼンテーター?

違和感があるなあと思い、英語の辞書を引いてみたもののやはり presentator という単語は出ていません。プレゼンをする人はプレゼンテーター(presentator)ではなく、プレゼンター(presenter)のはず。

おそらくプレゼンテーションという語感に引っ張られてプレゼンテーターになってしまったのだろうとその場では解釈していました。

しかし帰宅後もこのプレゼンテーターという表現が気になってしまい、念のため国語辞書を引いてみたら何と掲載されているではありませんか。

プレゼンテーター(名)〔和製 presentator〕

プレゼンテーションをする人。

「三省堂国語辞典 第七版」

もちろん和製英語のラベルが貼ってありますので、英語の語彙に presentator が存在しないことは間違いありません。ただ国語辞書に掲載されているということは、

  • セミナーの先生が話したのは英語ではなく日本語である。
  • よってプレゼンテーターという表現は間違っていない。

という理屈も成り立つのでしょうか?

和製英語だからダメということになれば、サラリーマンやビジネスホテルのような日本語もダメということになってしまいます。

ここでのポイントはその言葉がどこまで日本語に浸透しているかということ。プレゼンテーターはすでに日本語の市民権を得た表現なのでしょうか?

 
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