昨日の出来事
何気なくNHKのニュースを見ていたときのこと。
アナウンサーの人が「昨晩、北朝鮮が」と言っているのを聞いて、日本語には「昨晩・昨夜」という言い方はあるのに「昨朝」という言い方はないなと思いました。
もしもミサイルの発射が朝だった場合はどうするのか、、、まあ「昨日の朝」と言えばいいのでしょう。
いや、でも本当に「昨朝」という日本語はないのだろうか?と思い、辞書を引いてみると何とあっさり見つかりました。
さくちょう[昨朝](名)
〔文〕きのうの朝。(↔明朝)
「三省堂国語辞典 第七版」
とはいえ、文語を意味する〔文〕マークが付いていることからもわかるとおり、「昨晩・昨夜」のように日常会話の中で使われる表現ではありません。
ちなみに三省堂国語辞典には次のような表現も出ていました。
さくぎょう[昨暁](名)
〔文〕きのうの夜明け(がた)。
「三省堂国語辞典 第七版」
さくゆう[昨夕]ーユフ(名)
〔文〕きのうの夕方。
「三省堂国語辞典 第七版」
すなわち、昨日のどこかを意味する「昨◯」として三国に出ている単語は次の5つということになります。
- さくぎょう[昨暁]
- さくちょう[昨朝]
- さくばん[昨晩]
- さくや[昨夜]
- さくゆう[昨夕]
上記のうち日常会話で普通に使われるのは「昨晩・昨夜」の二つだけですが、この二つに関しては日付をさらにさかのぼって、
- いっさくばん[一昨晩]
- いっさくや[一昨夜]
という単語も出ていました。
こうしてみると、やはり「昨◯」のグループにおいて、晩と夜だけは特別な地位を占めているということがわかります。
理由を推測するに、これは人が昨日のことを振り返るとき、朝や昼の出来事よりも、夜の出来事を話題にすることが多いからでしょうか?
平日においては「朝は出かける、昼は働く」ことが中心でしょうから、わざわざ語るような出来事があるのは夜だけというのはわからなくはありません。
あるいは晩や夜を特別視する全く別の理由があるのか。日本語の気になる使い方の一つです。