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日本語

七夕と棚機

今日は7月7日の七夕。

子供の頃には大きなイベントの一つだったと思うのですが、ある年齢を過ぎてからはあまり意識することがなくなってしまいました。

とはいえ、大人になった今も気になるのは「七夕」というその表記について。

7月7日の夜に願い事をするのだから「七夕」というのはわかります。

しかしなぜ「七夕」を「たなばた」と読むのでしょう?

短冊に願い事を書く代わりに、今日はその疑問を解決してみたいと思います。

まずは国語辞典から調べてみました。

たなばた【七夕】

〔棚機の意という〕

  1. 〔←たなばたつめ〕機を織る女性。〔狭義では、七月七日の夜、年に一度だけ彦星(ヒコボシ)と会うという星の名。琴座のいちばん目立つ星を指す。織姫星〕
  2. 〔←たなばた祭り〕五節句の一つ七夕(しちせき)の俗称。七月七日の夜、織姫星にあやかって女児の手芸の上達を祈った祭り。織姫星の祭り。

「新明解国語辞典 第七版」

七夕というと七夕祭りのイメージが強いですが、新明解の語義ではお祭りの意味は二番目。

一番目には、機を織る女性(=たなばたつめ)という意味が出ています。

調べてみると、七夕をたなばたと読むヒントはこの「たなばたつめ」という言葉にありました。

「たなばたつめ」というのは、昔の日本において、秋の豊作を祈願し、着物を織って神様に捧げる仕事をしていた女性の名称。

「たなばたつめ」は漢字で書くと「棚機つ女」で、「棚」は神棚の棚、「機」は機織の機。たしかに「棚機」なら「たなばた」と読むことができます。

一方、私たちに馴染みのある彦星・織姫の話はもともと中国の伝説です。この話が日本に伝わり、いつのまにか織姫のイメージとたなばたつめのイメージが重なって、「七夕=たなばた」になったのだそうです。

七夕(たなばた)という不思議な読み方が生まれた裏にはこんな経緯があったんですね。

なお余談ながら、七夕の英訳としてよく用いられるのは Star Festival という表現。

これはこれでずいぶんと華やかな表現。祝祭のイメージがぱっと広がります。

 
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すごい大きい犬

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今日、学校へ行く途中で、すごい大きい犬を見たよ。

この文に違和感を感じる人も、違和感を感じない人もいるでしょう。

文法的には「すごい」は形容詞、「大きい」も形容詞ですから、正しくは連用形の「すごく」を使うべきということになります。

今日、学校へ行く途中で、すごく大きい犬を見たよ。

ただし「すごい」を「すごく」に変えることによって、失われてしまうものもあるように思います。

それは話し手の気持ちの部分。アクセントの置き方にもよりますが、「すごく」より「すごい」の方が話し手の驚きのようなものがダイレクトに伝わってくるような気がするのです。

あのピッチャーの球はすごい速い。
あのピッチャーの球はすごく速い。

すごいという形容詞は一語で強い気持ちを伝えますが、すごくに変わるとその気持ちはやや薄まってしまいます。

意識しているかどうかはさておき、「すごい◯◯い」と言いたくなる裏にはそのような気持ちが隠されているのかもしれません。

正直なところ「すごい速い、すごい大きい」という表現にはおさまりの悪さも感じます。それでも時間とともに少しずつ日本語の中に根付いていくのではないでしょうか。

さわりの部分を聴いてみましょう。

photo credit: Violin1t_3 via photopin (license)

photo credit: Violin1t_3 via photopin (license)

パッヘルベルのカノンと言えば、もっともよく知られたクラシック音楽の一つ。

例えば、このパッヘルベルのカノンのさわりの部分を聴いてみましょう。と言われたら、曲のどのあたりをイメージしますか?

「さわり」というのは、曲の最初の部分を意味するのかと思っていたのですが、実はこれが誤用だと知ってびっくり。

さわりというのは、本来、一番の聞かせどころを意味するというのです。

さわり

  1. さわること。また、その時の感じ。
  2. その義太夫節(ギダユウブシ)の中で、一番の聞かせ所(聞き所)とされる部分。〔広義では、一つの話の中で最も感動的な(印象深い)場面を指す。また、近年は歌の冒頭の部分を指して言う向きもある〕さわり文句。

「新明解国語辞典 第七版」

辞書によっては「さわり=最初の部分」は間違い!と言い切っているものもありますが、さすがに新明解、懐の深いところを見せています。

正しいかどうかはさておき、実際の用例においては「さわり=聞かせどころ」よりも「さわり=最初の部分」という意味で使われているケースの方が多いのではないかと思うのですが、、、どうでしょうか?

 
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キヤノンと富士フイルム

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カメラやプリンターで有名なメーカーの「キヤノン」は「キヤノン」であって「キャノン」ではありません。

同じ写真業界の「富士フイルム」も「富士フイルム」であって「富士フィルム」ではありません。

ただ「キヤノン」の読み方はキャノンであるのに対して、「富士フイルム」の読み方はあくまで富士フイルム。富士フィルムとは読みません。

なぜこのようになったのか、不思議な感じがしませんか。

もちろん会社の名前というのは固有名詞ですから、どのように書こうが基本的には自由。

ただキヤノンや富士フイルムについては、このビミョーな違いを知らず、キャノン・富士フィルムのように書いてしまう人も多いのではないでしょうか。

(このように入力するときも、ついついキャノン・富士フィルムと打ってしまいます。)

改めて調べてみると、このような「小文字→大文字」表記を使っている企業は他にも「オンキヨー」「キユーピー」「シヤチハタ」などがあるようです。

これらの読み方はオンキョー、キューピー、シャチハタとなりますので、キヤノンと同じく文字と読み方が異なるグループに属しています。

富士フイルムのようにアイウエオの場合は大きい文字として読んでもあまり違和感はありませんが、キヤノンのようにヤユヨの場合は大きい文字として読むとかなりの違和感があります。

もしもキヤノンが「今日からウチは読み方もキヤノンにします!」と宣言したならば、キヤノンに勤める人はちょっと大変かもしれません。

しゃかりき

photo credit: Buddha Blur via photopin (license)

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年を重ねるにつれて、一つのことに無我夢中で打ち込むような機会が減ってきました。

あきらめが早くなったのか、あるいは力の抜き方が上手になったのか。

そんなことを考えているときに、ふと脳裏に浮かんできたのが「しゃかりき」という日本語。

しゃかりき

全力を挙げて取り組むこと(様子)。「ーにそのことに取り組む」

「新明解国語辞典 第七版」

日常的に使う言葉ではありませんが、汗だくになって頑張っている人の絵が思い浮かぶ、強い日本語だと思います。

この「しゃかりき」の語源を調べてみると、

しゃかりき=釈迦力
ということで、もともとはお釈迦様の力という意味なのだそう。

この頃は「シャカリキ」とカタカナで書かれることも多いので、何となくオノマトペ(シャカシャカと音を立てて動いている?)のようなイメージもあったのですが、お釈迦様の力というのはずいぶん意外な語源でした。

しゃかりきという言葉の質感とお釈迦様の包み込むような力というのはイメージとして異なるようにも思います。

ただ全速力で走っている人間も所詮はお釈迦様の掌で踊っている存在にすぎないと考えれば、あるいは辻褄が合うのかもしれません。

 
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日本語の「ふ」の秘密

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ヘボン式のローマ字表記では、ハ行を次のように表します。

ha hi fu he ho

 

不思議なのは「は、ひ、ふ、へ、ほ」のうち、「ふ」だけが hu ではなく fu になるということ。

ここではまず、かなをローマ字に直すのではなく、ローマ字をかなに直すという逆の視点から見てみましょう。

「ha, hi, hu, he, ho」と「fa, fi, fu, fe, fo」というローマ字を用意して、それぞれをかなに直すとすれば、おそらく次のようになるのではないでしょうか。

ローマ字 ha hi hu he ho
かな
かな ふぁ ふぃ ふぇ ふぉ
ローマ字 fa fi fu fe fo

 

「ふぁ、ふぃ、ふぇ、ふぉ」というのは次のように外来語で使われる音。

  • ファミレス
  • フィンランド
  • フェンシング
  • フォーク

しかし「ふぅ」という音はないので、fu も hu もかなで表せば同じ「ふ」になってしまいます。

それなのに「は、ひ、ふ、へ、ほ」のうち「ふ」だけを異なる表記にする意味は何なのでしょう?

ヘボン式のローマ字というのは、もともと英語の発音を念頭に置いて作られた表記方法です。

「ふ」のところだけ[h]の代わりに[f]を使っているということは、英語の母語話者にとって hu の発音は難しいということ。

なぜかといえば、日本語の「ふ」というのは、国際音声記号(IPA)で表すと[hu]でなく[ɸɯ]という音になるため。

この[ɸ]という子音は現代の日本語において「ふぁ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ」の中で使われています。

発音記号 ha çi ɸɯ he ho
かな
かな ふぁ ふぃ ふぇ ふぉ
発音記号 ɸa ɸi ɸɯ ɸe ɸo

 

このローマ字、仮名、発音記号の関係を見ると、日本語のハ行の一筋縄ではいかない複雑さが見えてきます。

「ふ」だけではなく「ひ」の中にも見慣れない記号が見えていますが、それはまた別の話。

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