除夜の鐘はなぜ108回なのか?
大晦日の今日はネルケ無方さんの『ただ坐る』という坐禅の本を読んでいました。
その中に、大晦日の除夜の鐘はなぜ108回なのか?についての説明があったので、紹介してみたいと思います。
二つの説があるようなので、一つずつ見ていきましょう。
四苦八苦
人間の「四苦八苦」を取り除くために撞かれる除夜の鐘。
四苦八苦=4×9+8×9=108
という語呂合わせから108回になったという説。
計算すると確かにぴったり108回になっています。これは「なるほど!」という説ですね。
なお、四苦八苦の「四苦」というのは、人が逃れることのできない「生・老・病・死」の四つの苦しみのこと。
「八苦」というのは、この「生・老・病・死」に、
- 愛別離苦(あいべつりく)(好きな人と一緒にいられないこと)
- 怨憎会苦(おんぞうえく)(一緒にいると好きでなくなること)
- 求不得苦(ぐふとくく)(好きなものが手に入らないこと)
- 五蘊盛苦(ごおんじょうく) (現在の自分に満足せず、落ち着きがないこと)
以上の四つの苦しみを加えたものなのだとか。
このような項目を見ていると、昔も今も人の本質というのは変わらないのだなあと思います。
煩悩の数
仏教には、人の感覚と意識を表わす六根(ろっこん)という概念があります。
六根とはすなわち、眼(げん)・耳(に)・鼻(び)・舌(ぜつ)・身(しん)・意(い)の六つ。
私たちに馴染みのある五感に意識を加えたものと考えればよいでしょう。
人の煩悩を数えるときには、この六根を「好・悪・平」(好き、嫌い、平気)の3つ、さらにそれを「浄・染」(清い、汚れ)の2つに分類します。
その上で、さらに前世・今世・来世の三世の煩悩があると考えるので、全部で6×3×2×3=108の煩悩があるということに。
この説を取るとすれば、除夜の鐘というのは前世や来世の煩悩にまで届いているということになりますね。
今年の鐘の音が聞こえるまであとわずか。
どんな思いで鐘の音を聞こうか考えているところです。
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