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辞書とセレンディピティ

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serendipity

the fact of sth interesting or pleasant happening by chance

「Oxford Advanced Learner’s Dictionary」

辞書と言えば電子辞書という時期もありましたが、最近また紙の辞書をめくるのが楽しくなってきました。

電子辞書に対して、紙の辞書を使うアドバンテージはいくつかあると思いますが、ことばが好きな人にとっては「偶然におもしろい単語に出会う」というのもその一つではないかと思います。

電子辞書の場合、目的の単語を調べたら、それで終わりということになりがちです。しかし紙の辞書を使うと、いやがおうにも周りの単語も目に入ります。

そのため「へえー、こんな単語があったんだ」という思いがけない出会いや、ひらめきにつながることも珍しくありません。

そういう意味では、電子辞書と紙の辞書の関係はオンライン書店とリアル書店の関係に似ているのかもしれません。

購入したい本が決まっているときにはオンライン書店は便利ですが、実際の店舗を歩いて思いがけない本に出会うというのも本好きにとっては欠かせない楽しみの一つです。

そんな訳で、最近、電子辞書一辺倒になっている人は、紙の辞書の良さを見直してみるというのはどうでしょう?

自分の場合は机上に少し傾斜のある棚を置いて、その上にいくつかの辞書を並べています。これだと気が向いたときにすぐに気になる一冊を手に取ることが出来るので、なかなか便利です。

 

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近来の近の字はどう書いたっけね

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子どもの頃に比べると、手書きの文字を書く機会というのはぐっと少なくなりました。

それでも手帳にスケジュールを書いたり、to do を書いたり、アナログの出番もない訳ではありません。

そんなときに困るのが、

  • 漢字が思い出せないこと
  • 漢字を書いてみるものの、その文字が正しいのか確信が持てないこと

特に最近多いのが後者のパターンで、漢字を書いても、

「あれ? この字で合っているかな?」

と心配になってしまい、ワープロソフトで変換して確かめるということがよくあります。

これは現代病のようでありながら、もしかしたら神経症の一種なのかもしれません。

漱石の『門』の冒頭に、主人公の宗助と妻の御米(およね)のこんな会話が出てきます。

「御米、近来の近の字はどう書いたっけね」と尋ねた。細君は別に呆れた様子もなく、若い女に特有なけたたましい笑声も立てず、

「近江のおうの字じゃなくって」と答えた。

「その近江のおうの字が分らないんだ」

そして「近」という字を書いてみせる御米。

「どうも字と云うものは不思議だよ」と始めて細君の顔を見た。

「何故」

「何故って、幾何容易い字でも、こりゃ変だと思って疑ぐり出すと分らなくなる。この間も今日の今の字で大変迷った。紙の上へちゃんと書いて見て、じっと眺めていると、何だか違ったような気がする。仕舞には見れば見る程今らしくなくなって来る。——御前そんな事を経験した事はないかい」

「まさか」

「己だけかな」と宗助は頭へ手を当てた。

「貴方どうかしていらっしゃるのよ」

「やっぱり神経衰弱の所為かも知れない」

この件を読んで「あー、この感じはよくわかるなあ」と深く共感。

実際に漱石の身に起きたことなのかどうかはわかりませんが、すごくリアリティのある描写だと思います。

さすがに神経衰弱というのは大げさですが、ちょっと疲れているのかもしれないなと我が身を振り返った小説の一場面でした。

 

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すっとこどっこい、おっちょこちょい

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この前、ある本を読んでいたら「すっとこどっこいな人」というのが出てきました。

なんとなくわかったような気になって読みすすめていたのですが、ふと立ち止まったときに、

あれ? すっとこどっこいってどんな意味だったかな?

とわからなくなってしまったので辞書を引いてみることにしました。

すっとこどっこい

  1. 馬鹿囃子(ばかばやし)のはやしことば。
  2. ののしっていう語。馬鹿野郎の類。

『広辞苑 第五版』

あー、すっとこどっこいというのは「ばか」の意味だったんですね。

何となく、おっちょこちょいくらいの軽いニュアンスを想像していたので、使うときには気を付けなければ。

せっかくなので、おっちょこちょいの意味も調べてみました。

おっちょこちょい

ちょこちょこしていて考えの浅いこと。軽薄。また、そういう人。

『広辞苑 第五版』

なるほど。おっちょこちょいの「ちょこ」は、ちょこちょこの「ちょこ」なんですね。

それにしても、すっとこどっこいやおっちょこちょいというのはリズミカルでおかしな単語。

外国語として日本語を学んでいる人がこの「suttokodokkoi」や「occhokochoi」という単語を聞いたらいったいどのように感じるものでしょう。

もしかしたらおまじないのように感じてしまうかもしれません。

また語源については諸説あるようですが、はっきりしたことはわかっていないそう。

まあ、時にはそんな不思議な単語があってもよいのではないかと思います。

フィンランド語学習記 vol.267 − 語順と前置詞/後置詞の相性について

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フィンランド語を勉強していると、時々日本語に似ているなあと思う瞬間があります。

例えば、テキストに出てきたこんな文。

Pekka juoksee puun alle.(ペッカは木の下へ走る。)

一語ずつの意味を拾ってみると、次のようになります。

Pekka juoksee puun alle
ペッカは 走る 木の 下へ

 

puun は「木」を意味する puu の属格。

[主格]puu(木)
[属格]puun(木の)

alle は「下へ」を意味する後置詞。

alla 下で/に
alta 下から
alle 下へ

 

*フィンランド語の後置詞は原則として「属格+後置詞」という組み合わせで使います。

よってこの部分の

puun alle → 木の下へ

という流れは日本語と全く同じ。

一方、異なっているのは動詞(V)の位置。

フィン S V N 後置詞
S N 後置詞 V

 

さきほどのような文(Pekka juoksee puun alle.)の場合、動詞と後置詞が離れていると、意味がぱっとつかみにくいような気もするのですが、それは自分が日本語ネイティブだからでしょうか?

一般的には、フィンランド語のようなSVO型言語は前置詞と相性がよく、日本語のようなSOV型言語は後置詞と相性がよいと言われています。

相性よい? フィン S V 前置詞 N
相性悪い? フィン S V N 後置詞
相性悪い? S 前置詞 N V
相性よい? S N 後置詞 V

 

もっともフィンランド語には前置詞もありますし、いわゆる格の言語であるフィンランド語はそもそも語順において自由ということなのかもしれません。

なんだか細かい話になってしまいました。

(いつものことですが。。。)

雨が降る − 天候を表す文の構造について

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「雨が降る」という文について考えてみましょう。

  • 主語=雨
  • 述語動詞=降る

構造は非常にシンプル。

気温が下がり、雨が氷の結晶になった場合は主語を「雪」に置き換えます。

  • 主語=雪
  • 述語動詞=降る

当たり前!と思われたかもしれませんが、他の言語を見てみると、天候を表すのにこのような構造を用いている言語は案外見当たりません。

以下に見ていきましょう。

 

英語の場合

It rains.(雨が降る。)

英語の場合、主語のポジションに来るのはいわゆる天気の it。

「雨が降る」という情報は rain 一語に集約されています。

そのため「雪が降る」場合は、動詞を置き換えます。

It snows.(雪が降る。)

 

フィンランド語の場合

Sataa vettä.(雨が降る。)

フィンランド語の場合、「降る」を意味する sataa を最初に置き、その後に「水」を意味する vesi(vettä)を置きます。

ただしこの vettä は省略されて、sataa 一語で「雨が降る」という文を構成することも多いよう。

Sataa.(雨が降る。)

「雪が降る」場合は、水を雪に置き換えます。この場合の雪は省略できません。

Sataa lunta.(雪が降る。)

 

ラテン語の場合

Pluit.(雨が降る。)

ラテン語の場合、主語のポジションは空欄となり、pluit という動詞一語で「雨が降る」という文を構成します。

また「雪が降る」場合は、動詞を置き換えます。

Ningit.(雪が降る。)

 

まとめ

こうして見てみると、日本語・英語・フィンランド語・ラテン語のうち「雨が/降る」という構造を持っている言語は日本語以外にないことがわかります。

また「雨」が「雪」になったときの表現方法も言語によって異なります。

日本語 英語 フィンランド語 ラテン語
雨が降る。 It rains. Sataa (vettä). Pluit.
雪が降る。 It snows. Sataa lunta. Ningit.

 

もし新しく人工言語を作るとしたら、どのシステムを採用するのが一番合理的なのだろう?などとしばらく考えてみたものの、もちろんすぐに結論が出るはずもありません。

みなさんはどれがよいと思いますか?

フィンランド語学習記 vol.266 − あなたがいない寂しさ

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先週から再開したフィンランド語教室では、引き続き『suomea suomeksi』というテキストを読み進めています。

今、読んでいるのは、恋人のリーサに振られてしまったペッカがその想い(?)を綴ったという5つの詩。

詩の文章というのは、語順が特殊だったり、改行が多かったり、いつもとは違う印象があります。そんな中、おもしろいと思った表現がこちら。

odotin sinua, sinä et tullut.(私はあなたを待っていたが、あなたは来なかった。)
Minulla oli ikävä sinua.(私はあなたに会いたかった。)

後半の Minulla oli ikävä sinua. は、英語の I missed you. に当たる表現。

とはいえ、文の構造はずいぶん異なっています。試しに一語ずつ訳してみるとこんな感じに。

Minulla oli ikävä sinua
私の上に あった 寂しい あなたが

 

フィンランド語ネイティブの人がどのように感じているのかはわかりませんが、こうして一語ずつ日本語に置き換えてみると、切なさの伝わってくる表現だなあと思います。

そしてこれらの表現に日本語の「私はあなたに会いたかった。」を重ねてみれば、同じ感情を表すのにも様々な形式があるものだと感心させられます。

何だか他の言語の I miss you. も知りたくなってしまいました。

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