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ある仕事論 −『本屋になりたい』を読む

先日読んだ宇田智子さんの『本屋になりたい:この島の本を売る』という本を紹介したいと思います。

本屋になりたい: この島の本を売る (ちくまプリマー新書)

二年前に観光で石垣島に行ったとき、地元の書店で宇田さんの処女作『那覇の市場で古本屋 ー ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々』という本をたまたま購入して読み「これは面白い!」と思って、次の本を楽しみにしていました。

宇田さんは、沖縄・那覇国際通り近くの第一牧志公設市場の前で「市場の古本屋ウララ」という古本屋さんを営んでいる方。

本書では、そんな宇田さんの日常が綴られています。

序章 古本屋、始めました

一章 本を仕入れる

二章 本を売る

三章 古本屋のバックヤード

四章 店番中のひとりごと

五章 町の本を町で売る

普通に考えれば、本書は書店の仕事に興味がある人に読んでもらいたい本ということになるのかもしれません。

しかし読み進めながら思ったのは、これは書店で働く人だけではなく、その他の仕事に携わる人にも当てはまる一種の仕事論になっているということ。

宇田さんは新卒で書店への就職活動をした際、履歴書の志望動機の欄に「何かしたいと思っている人を、本を売ることで応援したい」と書いたそうです。

古書店の仕事というのは、おそらく他の多くの仕事と同じように、地道な作業が大半を占めるのだと思います。

本を仕入れる。重い本を運ぶ。値段を付ける。本をきれいにする。棚に並べる。本を売る。本を送る。そして絶え間ない本棚の整理。etc.

そんな一つ一つの仕事を、無理をする訳でもなく、手を抜く訳でもなく、淡々とこなしていくということ。

しかしそこには一本筋の通った自分なりの思いや哲学が流れているということ。

どんな仕事であっても、そこにきちんと向き合おうとすれば、自分自身のあり方が問われる瞬間があるということ。

本や書店に興味のある人だけではなく「仕事って何だろう?」とか「人はなぜ働くんだろう?」といった根源的な疑問に立ち止まってしまった人にもぜひ読んでほしい一冊です。

 

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My salad days

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シェークスピアの『アンソニーとクレオパトラ(Antony and Cleopatra)』には、次のようなクレオパトラのセリフが出てきます。

My salad days,

When I was green in judgment, cold in blood…

My salad days(私のサラダな日々)とはいったい何を意味しているのでしょう?

??

??

正解はこちら。

salad days

(文)[one’s 〜]青二才のころ、青年期

「ウィズダム英和辞典 第3版」

salad days というのは「青年期」を表す英語のイディオム。

緑と若々しさ・未熟さのイメージを結びつけたのはシェークスピアが初めてではないと思いますが、そこから飛躍して My salad days さらに When I was green in judgement と続けるあたりは言葉の魔術師の本領発揮といったところでしょうか。

そんな salad days が青年期を意味するなら、人生の後半は紅葉の色に重ねて orange days と呼んでみるのはどうでしょう?

人生の実りに深く感謝するような、オプティミスティックなイメージを喚起できるのではないかと思います。

 
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フィンランド語学習記 vol.303 − アメリカ合衆国

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フィンランド語教室で使っているテキスト『suomea suomeksi』に次のような文が出てきました。

Yrjö-setä oli ollut viisi vuotta Yhdysvalloissakin.(ユルヨおじさんは5年間アメリカ合衆国にもいました。)
*setä(おじさん)、Yhdysvallat(アメリカ合衆国)、-kin(にも)

フィンランド語で「アメリカ合衆国」は Yhdysvallat.(ユフデュスヴァッラット)。

yhdys は「統合された」を意味する接頭辞。

vallat は「権力」を意味する名詞 valta の複数形。

[単数主格]valta
[複数主格]vallat

英語の United States に当たる表現なので、複数形になっています。

この Yhdysvallat が冒頭の本文では内格の形になっています。

[複数主格]Yhdisvallat
[複数内格]Yhdysvalloissa

今回はこの Yhdysvalloissa という形を作る手順を見てみたいと思います。

ただし Yhdysvallat → Yhdysvalloissa と直接変化させることはできないため、vallat の単数形 valta からスタートします。

valta 1)音節の数をチェック 2音節
valta 2)複数の印[i]を置く valtai
valtai 3)2音節の単語で[i]の前に[a]が来るときは、単語の最初の母音をチェック [a]
valtai 4)単語の最初の母音が[u/o]以外のときは[i]の前の[a]が[o]に変わる valtoi
valtoi 5)内格語尾[-ssA]を付ける valtoissa
valtoissa 6)kpt 変化により[-lt-]が[-ll-]に変わる valloissa

 

以上の手順により Yhdysvallat の内格は Yhdysvalloissa という形になりました。

「私はフィンランドにいる」なら単に Olen Suomessa. でよいものの、「私はアメリカにいる」と言うためには、Olen Yhdysvalloissa. と複数内格の形を使わなければなりません。

これまでにさまざまな国の名前を習ってきましたが、その中にアメリカ合衆国が出てこなかった理由がよくわかりました。これはややこしい。。。

フィンランド語学習記 vol.302 − ライオンたち

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フィンランド語で「ライオン」は leijona(レイヨナ)。

この leijona の複数語幹はどのように作ったらよいでしょう?

『フィンランド語文法ハンドブック』には次のような記述が。

-a/-ä で終わる3音節以上の語では、原則として名詞であれば -a/-ä は -o/-ö に変化し、形容詞であれば -a/-ä は消えてしまいます。

『フィンランド語文法ハンドブック』P.143

具体的な単語とその変化を挙げてみましょう。

名詞 peruna
(じゃがいも)
perunoi
形容詞 ihana
(すばらしい)
ihani

 

名詞のときは[a/ä]が[o/ö]に変化し、形容詞のときは[a/ä]が消える。これはルールの通り。

しかし leijona の場合はどうでしょう?

名詞 leijona
(ライオン)
leijoni

 

名詞なのに[a/ä]が消える。これはさきほどのルールに反しています。

フィンランド語教室の先生曰く leijonoi としてしまうと、母音が多すぎて発音しにくくなってしまうのだそう。

ライオンというのはもともと「猛々しい」という意味の形容詞だったとか、そういった歴史的理由を思い浮かべたのですが、それは考えすぎだったようです。

この程度の例外はどんな言語にもあるのでしょうが、ノンネイティブにとってはちょっとやっかいなライオンの語形変化のお話でした。

 

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あらゆる物事に反対する20%の人々

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About one-fifth of the people are against everything all the time.

- Robert F. Kennedy

身の回りを振り返ってみると、あらゆる物事に反対する人というのが一人や二人はいるのではないでしょうか。

そういう人たちの意見というのは、一つ一つを取り上げてみれば真っ当なものなのかもしれません。

しかし人生を前向きに進めたり、組織を前向きに動かしたりしたいときには、マイナスに働くことがほとんどでしょう。

人間というのは習慣の生き物ですから、変化をもたらすような提案については元来批判的なのだと思います。

梅雨の季節、居心地の良い部屋にとどまっていたいという気持ちは理解できますが、いつかは玄関のドアを開けて雨空の下へ一歩を踏み出さなければなりません。

自分自身がいつも批判的なことを言っていると自覚のある人は、批判したくなる気持ちをぐっと抑えてみる、あるいはこうしたらもっと良くなるという改善点を述べてみる。そんなことを少しだけ意識してみてはどうでしょうか。

周囲の雰囲気も変わり、やがて新しい世界が見えてくるのではないかと思います。

フィンランド語学習記 vol.301 −[i]の文字と格闘する

photo credit: Aurinkolahti via photopin (license)

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このところフィンランド語教室のテキスト「suomea suomeksi」の内容がぐっと難しくなってきたと感じます。

その最大の原因はおそらく「複数形の格変化」。

もちろんこれまでにもフィンランド語の格変化というのは十分複雑だった訳ですが、複数形が出てきてから、より拍車がかかったような気がします。

例えば maissa という単語が出てきたときに、それが maa(国)という単語の複数内格[-i+ssA]であることに気付くのにずいぶん時間がかかってしまったり。

単数 複数
主格 maa maat
内格 maassa maissa

 

[i]の文字が複数形の印であるということはわかっているものの、あまりにもあちこちの単語に入り込んでいると頭の中の処理が追いつきません。

いっそ長い単語だとよいのですが、maissa のように短い単語となると逆に混乱してしまいます。

このあたりは理屈で覚えるよりも、インプットの量を増やすことで慣れていくしかないのでしょう。

まずは手元にあるテキストをしっかりと読み込むところから始めたいと思います。

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