とうざい、とうざい!
ムーミンの小説作品の第三作『たのしいムーミン一家』の中に、ムーミンと仲間たちが山で魔法の帽子を拾ってくるというエピソードが出てきます。
魔法の帽子は、中に入れたものをすっかり他の姿に変えてしまう力を持っています。
拾ってきた当初ごみ箱代わりにしていた帽子にムーミンが投げ捨てた卵の殻は、五つの小さい雲に姿を変えました。
その雲に乗ったスノークのおじょうさんの様子を見て、いっしょにいたスニフは自分も乗ってみようとします。
「ぼくも乗ってみようっと」
こういってスニフは、べつの雲にとび乗ると、玉乗りでもする気になって、
「とうざい、とうざい!」
とさけびました。ところが、そうやって「とうざい」をいいかけたときに、雲はふわりと動いて、しずかに地の上からまいあがったのです。
「たのしいムーミン一家」P.29-30
このシーンの「とうざい」の意味が気になって、しばらく考え込んでしまいました。
こんな表現は辞書には出ていないだろうし、、、と思ったものの、引いてみるときちんと出ているではありませんか。国語辞書すごい!
とざいとうざい【東西東西】
観客のどよめきをしずめ、また、口上を述べる際に、「皆様お静かに」の意でかける言葉。とうざいとうざい。
「新明解国語辞典 第七版」
聞き慣れない表現ですが、「東のお客様から西のお客様まで、みなさまお静かに」というようなニュアンスのかけ声なんですね。
それにしてもムーミンの世界からこんな和風な言葉を拾うことができるとは思いませんでした。
原書のスウェーデン語ではいったいどのような表現だったのでしょう?
新明解国語辞典 第七版 公式アプリ
価格: ¥1,900(記事公開時)
カテゴリ: 辞書/辞典/その他, 教育
App Storeで詳細を見る
講談社 (2011-04-15)
売り上げランキング: 34,292