フィンランド語学習記 vol.824 − 出格のとある用法
前回のエントリーでこんな例文を紹介しました。
Haluaisitko nähdä jonkin elokuvateattereissa parhaillaan esitettävistä elokuvista?
あなたは映画館で今上映されている映画のどれかを見たいですか?
文中の esitettävistä elokuvista(上映されている映画)は複数出格の形になっています。
複数出格 | esitettävistä | elokuvista |
---|---|---|
↑ | ↑ | |
単数主格 | esitettävä | elokuva |
ただなぜここで出格の形になるのかよくわからず、文法書を調べていたら次の記述に行き当たりました。
(1)出格
出格は「〜のうちで」という意味にもなります。
Meistä vain hän osaa japania.
私たち(me)の中では彼だけ(vain)日本語ができる(osata)。「フィンランド語文法ハンドブック」P.189
そうか、さきほどの esitettävistä elokuvista は「〜のうち」を意味する出格だったんですね。
これに即してさきほどの例文を訳し直せば「あなたは映画館で今上映されている映画のうち見たいものはありますか?」という感じになるでしょうか。
前回のエントリーを書いたときには何となく感覚で「あなたは映画館で今上映されている映画のどれかを見たいですか?」と訳してしまったのですが、いまいち腑に落ちていなかったのですっきりしました。
また文法書にはこんな記述もありました。
(3)分格
…
部分を表わす語と結びついて「〜のうち」という意味になります。この場合には出格と同じような働きをすることになります。
osa ihmisiä/ihmisistä
人々のうちの一部(osa)この例では ihminen「人間」の複数分格 ihmisiä は複数出格 ihmisistä と同様に「人々のうち」という意味を表わしています。
「フィンランド語文法ハンドブック」P.189
こちらもいつか osa ihmisiä という表現に出会ったときに「あれだ!」と思えるように頭の片隅にとどめておきたいと思います。