業鏡(mirror of karma)

photo credit: New-Year’s Eve 2011-2012 via photopin (license)
先日、あじさい寺として知られる北鎌倉の明月院を訪れました。
あじさいはまだ満開ではなかったものの、それでも境内はテマリアジサイの青、青、青。
ちょっとした非日常の雰囲気を味わうことができました。
この明月院には鎌倉幕府の第5代執権北条時頼のお墓があります。
受付でもらったリーフレットには、わずか37歳で亡くなったという時頼の辞世の句が掲載されていました。
業鏡高懸
三十七年
一槌打碎
大道担然
いったいどんな意味だろう?と考えていたところ、隣に外国人観光客向けの英訳がのっているのに気が付きました。
For 37 years
I held the mirror of karma high.
Now with a smash I break it to pieces,
And the Great Path falls away.
不思議なもので、英文の方がイメージが湧いてきます。
調べてみると業鏡(mirror of karma)というのは、地獄において人間の生前の罪悪を映し出す鏡のこと。
政治の頂点にあった時頼の目に映っていた現世というのは、さながら業鏡の中の世界のようであり、生涯を共にしてきたその鏡を打ち砕いたら、そこには思いがけず大きな道が広がっていた。
そんな感じの解釈でしょうか。
どうもこの句自体は時頼のオリジナルではないようなのですが、若くして亡くなった時頼の人生と重ね合わせると、深い余韻を残します。