ほぼほぼ
A:あの書類はできた?
B:はい、ほぼほぼできています。
B:はい、ほぼほぼできています。
ここ数年、こんな表現をよく聞くようになりました。
「ほぼほぼ」というのは単なる「ほぼ」といったい何が違うのでしょう?
ほぼ【略・粗】
細かい点はともかく、大体においてそうであると判断される様子。
「新明解国語辞典 第七版」
手持ちの辞書を調べてみると、「ほぼ」はのっているものの、「ほぼほぼ」がのっているものは見つからず。
まだ辞書にのるほど市民権を得てはいないようです。
そこで「ほぼ」の代わりに「ほぼほぼ」と言いたくなる心理を考えてみたところ、二つの点に気が付きました。
一つ目は、完璧に近づけたいという心理。
「ほぼ」終わった仕事の完成度が95%だとすれば、「ほぼほぼ」終わったと表現することによって、話し手はその完成度を96%、97%、98%と100%に近づけていきたいのではないでしょうか。
二つ目は、言い訳をしたいという心理。
もうあの仕事は終わったんだろうね?と問い詰められたとき。「ほぼ」終わったと言うのではスキがあると思われてしまうので、「ほぼほぼ」終わったと言うことで、「ホントに、もう、まもなく完成なんです!」というニュアンスを込めているのではないかと。
そのあたりの裏のニュアンスを想像してみると、なかなか面白い表現だなあと思います。
この「ほぼほぼ」は将来、辞書に掲載されるほどの一般性を得ることができるのか? これから見守っていきましょう。
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カテゴリ: 辞書/辞典/その他, 教育
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