フィンランド語学習記 vol.300 − 多くの年配の人々は

photo credit: Helsinki Central Railway Station Clock Tower via photopin (license)
フィンランド語教室で使っているテキスト「suomea suomeksi」の Kappale 24 は次のような一文で始まります。
一文が長い! 格変化も多い!
ということで、この一文を読み解くだけで、かなりの時間がかかってしまいました。
以下、いくつかのパーツに分けて、文の構造と意味をひもといていきたいと思います。
1)Monilla vanhoilla ihmisillä
フィン | 日 |
---|---|
moni | たくさん |
vanha | 古い、年配の |
ihminen | 人 |
Monilla vanhoilla ihmisillä は「多くの年配の人々」を意味する Moni vanha ihminen の複数接格[-i+llA]の形。
主格 | Moni | vanha | ihminen |
---|---|---|---|
↓ | ↓ | ↓ | |
複数接格 | Monilla | vanhoilla | ihmisillä |
「接格+on+〜」は、フィンランド語の所有文と呼ばれる形で「〜を持っている」という意味になります。
年配の人々はいったい何を持っているのでしょう?
2)on tapana puhua samoista vanhoista asioista monta kertaa
フィン | 日 |
---|---|
tapa | 習慣 |
puhua | 話す |
sama | 同じ |
vanha | 古い、昔の |
asia | 物事 |
monta kertaa | 何度も |
tapana は「習慣」を意味する tapa の様格[-nA]の形。
「tapana+動詞の原形」で「〜する習慣がある」の意味になります。
ここでは後に puhua が来ているので「話す習慣がある」の意味に。
年配の人々は何を話す習慣があるのでしょう?
続く samoista vanhoista asioista は「同じ昔の物事」を意味する sama vanha asia の複数出格[-i+stA]の形。
主格 | sama | vanha | asia |
---|---|---|---|
↓ | ↓ | ↓ | |
複数出格 | samoista | vanhoista | asiosta |
「puhua+出格」で「〜について話す」の意味になります。
年配の人々は同じ昔話を何度もする習慣があるということなのでしょう。
文はさらに続きます。
3)huomaamatta tai muistamatta
フィン | 日 |
---|---|
huomata | 気がつく |
tai | または |
muistaa | 思い出す |
huomaamatta は「気がつく」を意味する huomata の第三不定詞欠格[-mAttA]の形。
辞書形 | huomata | tai | muistaa |
---|---|---|---|
↓ | ↓ | ||
第三不定詞欠格 | huomaamatta | tai | muistamatta |
フィンランド語の第三不定詞欠格は「〜することなしに」の意味になります。
年配の人々は「気がつくことも、思い出すこともなしに」同じ昔話を何度もする習慣があるということなのでしょう。
文はさらに続きます。
4), että toiset ovat kuulleet samat jutut jo monta kertaa.
フィン | 日 |
---|---|
että | 〜ということ |
toinen | 他の |
kuulla | 聞く |
sama | 同じ |
juttu | 話 |
jo | もう |
monta kertaa | 何度も |
että は「〜ということ」を意味する接続詞。英語の that に当たる単語です。
toiset は「他の」を意味する toinen の複数主格[-t]の形。
ovat kuuleet は「聞く」を意味する kuulla の現在完了形。
現在完了形になっているのは、昔からずうっと聞いているというニュアンスでしょう。
samat jutut は「同じ話」を意味する sama juttu の複数対格[-t]の形。
主格 | sama | juttu |
---|---|---|
↓ | ↓ | |
複数対格 | samat | jutut |
フィンランド語の対格は「〜を」の意味になります。
すなわち年配の人々は「他の人がもう何度も同じ話を聞いたということに」気がつくことも、思い出すこともないということなのでしょう。
文はこれでおしまい。
5)まとめ
そんな訳で全文(というか一文)を一気に訳してみると、
(多くの年配の人々は、他の人がもう何度も同じ話を聞いたということに気がつくことも、またそのことを思い出すこともなく同じ昔話を何度もする習慣がある。)
こんな感じになるでしょうか。
。。。疲れたので、コーヒーを一杯。