過去への前進、未来への後退

photo credit: spiegel via photopin (license)

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ぜんしん【前進】

  1. 前へ進むこと。
  2. 行動が積極的になったり活発になったりすること。

「新明解国語辞典 第七版」

こうたい【後退】

  1. 後ろへ下がること。
  2. 行動が消極的になったり衰えたりすること。

「新明解国語辞典 第七版」

前進とは前へ進むこと。後退とは後ろへ下がること。

しかし日本語では、例えば「50年後の世界」と言うとき、その視線は前を見据えているようでありながら、言葉としては「後」を使います。

また「100年前の日本」と言うとき、その視線は後ろを振り返っているようでありながら、言葉としては「前」を使います。

このことは「1時間後」「30分前」などという短い単位においても同じ。

一方、落ち込んでいる人に「前向きに行こう!」と言えば、そこにあるのは未来志向のメッセージ。「前向き」だからといって、1週間前、1か月前、1年前の出来事に向き合おう!という意味ではもちろんありません。

こうしてみると日本語の「前後」というのは、時間軸において奇妙なねじれ現象を起こしているように思えます。

いったいなぜこのようになってしまったのか、果たして合理的な説明はできるものでしょうか?

 
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