カディブックス『馬語手帖』

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言葉についてあれこれ考えているときに思い浮かぶ疑問の一つは「動物に言葉はあるのか?」というもの。
人間のような言葉はないとしても、動物と動物の間に、あるいは動物と人間の間に何らかのコミュニケーションはあるはず。だとすれば、その仕組みはいったいどのようになっているのでしょう?
今回紹介する『馬語手帖』はそんな素朴な疑問に答えてくれるユニークな一冊。
多くの人にとって、馬の言葉と言うと、まず思い浮かぶのはあの「ヒヒヒーン」といういななき声かもしれません。
本書にはそのような馬の声についての解説もありますが、ページの多くが割かれているのは馬のさまざまなボディーランゲージについて。
馬という動物が、その身体を通してこんなにもさまざまな感情を表現していると知って、新鮮な驚きがありました。
その中でも特に面白いと思ったのは、馬の耳と馬の気持ちの関係について。
例えば、馬の耳が少し開いているときには馬はくつろいでいるとか、馬の耳がピクピク動いているときには馬の気持ちがざわめいているとか、馬の耳を見ると馬の気持ちがわかるのだそう。
そんな視点から馬を見たことはなかったので「なるほど」と思うとともに、人間もそんな風に耳を見るだけで相手の気持ちを推し量ることができたら便利なのに、などと考えてしまいました。
そんな『馬語手帖』を出版しているカディブックスは、日本の最西端、与那国島在住の河田桟さんという方が一人でやっている出版社。
よって、本書を取り扱っている書店はかなり限られているよう。自分は池袋のジュンク堂で入手しましたが、カディブックスのホームページから直接注文することもできるようです。
与那国島から本を送ってもらうというのも、考えてみるとめったにできない体験ではありますね。