フィンランド語学習記 vol.352 − 所有接尾辞の使い方(3)

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引き続きフィンランド語の所有接尾辞について。
フィンランド語学習記 vol.350 − 所有接尾辞の使い方(1)
フィンランド語学習記 vol.351 − 所有接尾辞の使い方(2)
きのうまでのエントリーで扱った所有接尾辞は、みな単数主格との組み合わせでしたが、所有接尾辞はその他の格と組み合わせて使うこともあります。その場合は「語幹+格語尾+所有接尾辞」という並びになります。
Minä pidän pienestä kissastani.(私は私の小さなネコが好きです。)
語幹 | 格語尾 | 所有接尾辞 |
---|---|---|
kissa | +sta | +ni |
ここで問題になってくるのが次のルール。
所有接尾辞が、子音で終わる格に付くと、終わりの子音が消える。
子音で終わる格というのは、何があったかな?と振り返ってみると、
単数 | 複数 | ||
---|---|---|---|
主格 | 〜は/が | ystävä | ystävät |
属格 | 〜の | ystävän | ystävien |
対格 | 〜を | ystävän | ystävät |
分格 | 〜を | ystävää | ystäviä |
内格 | 〜の中で/に | ystävässa | ystävissä |
出格 | 〜の中から | ystävästa | ystävistä |
入格 | 〜の中へ | ystäväan | ystäviin |
接格 | 〜の表面で/に | ystävällä | ystävillä |
奪格 | 〜の表面から | ystävältä | ystäviltä |
向格 | 〜の表面へ | ystävälle | ystäville |
変格 | 〜に(なる) | ystäväksi | ystäviksi |
様格 | 〜として | ystävänä | ystävinä |
終わりが子音になっているのは、複数主格の[-t]、単・複属格の[-n]、単数対格の[-n]、複数対格の[-t]、単・複入格の[-n]。
つまり[t]か[n]の二種類しかありません。
と、シンプルなのはよいものの問題が一つ。次の文を比較してみてください。
Sinun ystäväsi on mukava.(あなたの友達は感じがよいですね。)
Sinun ystäväsi ovat mukava.(あなたの友達は感じがよいですね。)
『suomea suomeksi 2』P.15
Sinun ystäväsi ovat mukava.(あなたの友達は感じがよいですね。)
『suomea suomeksi 2』P.15
上の文の ystäväsi は単数、下の文の ystäväsi は複数なのですが、複数主格の印[-t]が取れたことによって、単数と複数が全く同じ形になってしまいました。
とはいえ、動詞の ovat が複数の形であることから、主語が複数であるという情報を読み取ることはできます。
めでたしめでたし。
ただこのルールを知ったときに、ふと思ったのは「それなら最初から[-t]って必要なかったのでは?」ということなのですが、そこは深く考えないようにしておきましょう。