フィンランド語学習記 vol.24 − たのしい複数形?

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目の前に猫が何匹かいるとき、日本語では「猫」は「猫」のままですが、英語では「cat」が「cats」になりますね。

フィンランド語にも、英語と同様、名詞の複数形があります。さっそく一例。

kissa(猫)
kissat(猫たち)

ご覧のとおり、フィンランド語では、語末に[-t]を付けて複数形をつくります。

「以上おしまい。めでたしめでたし。」と言えればよいのですが、残念ながらそうはいかないようです。

次の例を見てみましょう。

musta(黒い)
mustat kissat(黒猫たち)

!! フィンランド語では、複数形の名詞を修飾する形容詞にも[-t]を付けなければなりません。

そもそも複数形が存在しない日本語を母語とする私たちにとっては、なかなかめんどうなルールですね。

なぜ繰り返し[t]を付けなければならないのか? 何か正当な理由はあるのか??

などと言っても仕方ないので、郷に入りては郷に従うほかありません。

一点疑問なのは、このルールを適用したとき、

kolme(3)
*kolmet kissat(3匹の猫)

と言ってもよさそうに思いますが、実際には「分格」という形を使って、

kolme kissaa(3匹の猫)

とするようです。このあたりのルールは勉強不足のため、まだよくわかっていません。

 

それはさておき、この前のフィンランド語クラスでは、先生がこのような文を紹介していました。

Pienet kivat kissat ovat pöydällä.(小さくてすてきな猫たちが、テーブルの上にいます。)

[t]のオンパレード。ここまで徹底するとはおそるべし、フィンランド語。

ところで、この「単数」と「複数」の二項方式というのは、英語を義務教育で学ぶ日本人にとっては比較的なじみやすいのですが、世界の言語にはもっと複雑なシステムを持ったものもあるようです。

例えばサンスクリットでは、単数(1)・両数(2)・複数(3以上)という三項方式になっているため、こんな風に変化します。

単数 mārjāraḥ (1匹の)猫
両数 mārjārau (2匹の)猫
複数 mārjārāḥ (3匹以上の)猫

 
しかもこれらを修飾する形容詞も両数・複数それぞれのルールで変化するのだとか。

世界には本当にいろんな言語があるものです。