「ず」と「じ」の違いによって

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ことばというのは生き物なので、すべてが理屈で割り切れる訳ではありません。

日本語にも「そうなっているから、そうなっている」としか言えないような、不思議な決まりごとがたくさんあるように思います。

例えば、次のような表現。

こうずか【好事家】

〔「ず」は「事」の唐音〕普通の人には何の興味も無いような物事に関心を寄せる人

「新明解国語辞典 第七版」

こうじ【好事】

  1. 幸先(サイサキ)がいいと思われる事。「ー魔多し〔=好事にはとかくじゃまが入りやすいものだ〕」
  2. よい行い。「ー門をいでず〔=世間に広まるのは悪い評判やつまらないうわさばかりで、人の善行などはとかくニュースにはなりにくいものだ〕」

「新明解国語辞典 第七版」

「ず」と「じ」の違いによって、すっかり意味が変わってしまいます。

同じ漢字を当てているのに、母音の微妙なずれによって、こんなに意味が変わってしまう単語というのも珍しいのではないでしょうか。

なお辞書によっては、こうず【好事】という読み方ものっていますが、こうじか【好事家】という読み方はのっていません。

よって漢字の読みテストで、好事を「こうず」としても間違いではありませんが、好事家を「こうじか」とすると間違いになってしまいます。

日本語を外国語として学んでいる人にとっては、ある意味ひっかけ問題のようなものかもしれません。

 
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