えび茶色のカシミアのマフラー

photo credit: Grape stalk via photopin (license)

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翻訳小説を読んでいると、ときどき思いがけない色の名前に出会うことってありませんか?

先日、サリンジャーの『フラニーとズーイ』を読み返していたら、こんな一節に目が留まりました。

えび茶色のカシミアのマフラーを首に巻いていたが、そんなものは寒さを防ぐ足しにはまるでならなかった。

『フラニーとズーイ』P.13

うーむ、えび茶色っていったいどんな色なんでしょう?

頭の中でえびと茶色を重ね合わせてみたものの、具体的にイメージできません。

新明解を引いてみると、次のような説明がのっていました。

えびちゃ【えび茶】

〔「えび」は山ぶどうの意〕黒みがかった赤茶色。「ー袴(バカマ)」

表記 「{葡萄}茶」と書く。「{海老}茶」は借字。

「新明解国語辞典 第七版」

ぶどうの色と言えばわかりやすいですが、なぜ「えび=山ぶどう」なのでしょう?

調べてみると、ぶどうの古名はえびと言うらしく、そこから付いた名前なのだそう。

いずれにしても、いかにも日本的な色の名前。サリンジャーの原文では果たしてどのようになっているのでしょう?

He was wearing a maroon cashmere muffler which had hiked up on his neck, giving him next to no protection against the cold.

原文で使われていたのは maroon という単語。

maroon

a dark brownish-red colour

「Oxford Advanced Learner’s Dictionary」

OALD では「茶色がかった赤」と定義されています。

それでは Wikipedia にのっているカラーコードを用いた「えび茶色」と「maroon」を並べてみると、、、

えび茶色 maroon
16073102 16073103

 

えび茶色の方がちょっとくすんでいますが、たしかによく似ていますね!

 

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