ホーホーお兄さんに会った話

16101901

近所のモスバーガーへ行ったときのこと。

注文を受けてくれたのは「研修中」の名札をした若いお兄さん。この人がホントにすごかった。

「ご注文の方は」
「お飲物の方は」
「ミルクとお砂糖の方は」
「お会計の方が」
「お釣りの方が」

このようにほぼ全てのフレーズに「方」が付いているのです。

もちろん過去にもこういう表現に接したことはありますが、ここまでのレベルは初めて。

なぜこれほどまでに「方」を使わなくてはならないのか? この「方」の正体とは何なのか? ということが気になったので、改めて国語辞書で「方」を調べてみました。

ほう【方】

  1. 方角。方向。「南のー/右のー/下ー・後ー・四ー」
  2. 大体その方向に当たる所。〔直接指すのを避けた言い方に用いる〕「中野のーに住む/日銀のーに勤めている/ー面・遠ー(ポウ)・先ー(ポウ)」
  3. 物を幾つかに分け(て考え)た場合に、条件に合うものとして選ばれた一つ。「もう一つのーが大きい/先に着いたーが勝ちだ/好きなーを取れ/食べるー〔=ことに関して〕では負けない」
  4. 大小・高低・優劣など相対する観点から物事をとらえたとき、条件に合うどちらかの部類に属すること。「どちらかと言えば好きなーだ/このクラスでは背が高いーだ/あの学生は、よく勉強しているーだ」
  5. 〔「・・・ーがいい」の形で〕相手に、そうするよう勧める(しないよう忠告する)意を表わす。「君もこの本を読んでおく(おいた)ーがいい/あまり夜ふかしはしないーがいい」

「新明解国語辞典 第七版」

コンビニやファストフードのお店でよく聞く「方」は、2番の語義に近いものだと推察します。

それにしても「ご注文」や「お飲物」や「ミルクとお砂糖」に対して直接の言及を避けなければならない理由とは何でしょう?

調べてみると、これは一種の丁寧表現なのだという説もあるようです。

ただそれ以上に、あらゆるものに「方」というベールをかけることによって話し手自身が安心感を得ているということはないでしょうか?

いずれにしても簡単には黙殺できない、感情を揺さぶる表現の一つであることはたしかです。

 
新明解国語辞典 第七版 公式アプリ 新明解国語辞典 第七版 公式アプリ
価格: ¥1,900(記事公開時)
カテゴリ: 辞書/辞典/その他, 教育
App Storeで詳細を見る