フィンランド語学習記 vol.416 − どのくらいのペースなのかと言えば
フィンランド語教室のテキスト『suomea suomeksi 2』に次のような表現が出てきました。
Suomen opetusministeriö järjestää vuosittain useita suomen kielen kursseja,
(フィンランドの教育省は一年ごとに多くのフィンランド語のクラスを主催しています。)
*opetusministeriö(教育省)、järjestää(主催する)、usea(多くの)
(フィンランドの教育省は一年ごとに多くのフィンランド語のクラスを主催しています。)
*opetusministeriö(教育省)、järjestää(主催する)、usea(多くの)
「年」を意味する vuosi に[-ttAin]という語尾が付いているのがわかるでしょうか。
vuosi(年) | vuosittain(一年ごとに) |
この[-ttAin]は「〜ごとに」を意味する接尾辞。
テキストには他に次のような例が出ていました。
päivi(日) | päivittäin(一日ごとに) |
viikko(週) | viikoittain(一週ごとに) |
kuukausi(月) | kuukausittain(一月ごとに) |
。。。とここまで書いてきて思ったのは、昨日のエントリーで扱った[-isin]との違いは何なのだろう?ということ。
フィンランド語学習記 vol.415 − その時が来ればいつも
ilta(晩) iltaisin(毎晩) lauantai(土曜日) lauantaisin(毎週土曜日に) sunnuntai(日曜日) sunnutaisin(毎週日曜日に)
『フィンランド語文法ハンドブック』には、
[-isin]→「毎」
[-ttAin]→「〜ごとに」
という説明が出ているのですが、そもそも「毎」と「〜ごとに」の違いとは何でしょう?
[-ttAin]→「〜ごとに」
試しに Wiktionary で päivisin と päivittäin を調べてみると、次のように出ていました。
päivisin
In the daytime (habitually taking place during the day)
「Wiktionary」
päivittäin
daily
「Wiktionary」
[-isin]の方は繰り返しを強調する表現、[-ttAin]の方は間隔を伝える表現なのかなあというのが第一感。
似ているようで、微妙に異なるちょっと不思議な表現です。
Juokseva Nipsu
10月 28, 2016 @ 21:54:56
お久しぶりです。Whitebearさんの投稿を見て、私も調べてみました。
Kotimaisten kielten keskus のKielitoimiston sanakirjaとうオンラインのフィン-フィン辞典を使いました。それによりますと、
päivittäin:joka päivä, kunakin päivänä.
例文 Voimistella päivittäin. 毎日体操しなさい。
Perheeltä kului päivittäin kolme litraa maitoa. その家族は毎日牛乳を3リットル消費する。
päivisin:aina päiväsaikaan, (aina) päivällä.
例文 Olla päivisin pois kotoa. 昼間はいつも、家を離れている(外出している)
例文に見られるように毎日の習慣を表すときには”päivittäin”のほうが使われるのではないでしょうか。また、päiväsaikaanは英語のin the daytimeにあたりますので、päivisinは「日中いつも」というように昼間の行為を表すときに使うのでは…
と、思いますが、これは、私見です。ほんとうのところはネイティブの人しかわからないのかもしれません。
でも、こういったことを調べていくのは、高校生くらいの頃の暗記中心の学習(ちょっと古いでしょうか)よりおもしろいと思います。
おたがいにがんばりましょう。
くうっけり
10月 28, 2016 @ 22:34:01
はじめまして。
日常フィンランド語を使っているのに、この記事を読ませていただくまで、両者の違いについて考えたこともありませんでした。
今まで気にもとめなかったくせに、言われてみると気になるものです。そこで、私も調べてみました。
Iso suomen kielioppi (http://scripta.kotus.fi/visk/etusivu.php) に、次のような記述を見つけましたので、参考までに。
“(i)ttAin-johdosten merkityksen distributiivisuus on yleensä toisenlaista kuin ajankohtaa ilmaisevilla isin-adverbeilla: isin-johdos ilmaisee ajankohdan, jolloin tapahtuma aina toteutuu (esim. päivisin), (i)ttAin-johdos taas ajanjakson, jonka välein tapahtuma säännöllisesti esiintyy (päivittäin) tai sitä tarkastellaan: 67000 kuolee vuosittain puoskaroituun aborttiin .” (http://scripta.kotus.fi/visk/sisallys.php?p=380)
これからもブログを楽しみにしております。
whitebear
10月 30, 2016 @ 20:35:51
Juokseva Nipsuさん
お久しぶりです。情報ありがとうございます。
päivisin と päivittäin の場合はおっしゃるとおり、päivisin(昼間はいつも)と päivittäin(毎日)という使い分けになっているのだろうと思いました。
ややこしいのは日本語の「日」もフィンランド語の päivä も「一日」と「昼間」の両方の意味があることでしょうか。
aamuisin は「毎朝」、iltaisin は「毎晩」と訳せるのに、päivisin は「毎昼」と訳せないのも日本語の不便なところです。(「毎昼」という日本語はないですよね、、、たぶん。)
whitebear
10月 30, 2016 @ 20:48:18
くうっけりさん
初めまして。貴重な情報ありがとうございます。
いただいた引用をばっちり理解できている訳ではないのですが、おそらく 「いつも(aina)起こっている」のではなく「定期的に(säännöllisesti)起こる」のが[-ttAin]のポイントということでしょうか。
ネイティブの人なんかは感覚的に使い分けているのでしょうね。うーん、難しい。
くうっけり
10月 31, 2016 @ 02:27:29
補足をつければよかったのに、引用だけですみませんでした。
要は
-isin: 繰り返される ajankohta (time, point)を表す
-ttAin: 繰り返される ajanjakso (period)を表す
ということのようです。
päivä の場合はおっしゃる通り「昼間」という時間帯を表す場合と、「日」という間隔を表す場合があるので混乱しますが、他の単語で考えると、分かりやすいと思います。私もそれで納得できました。
例えば曜日です。曜日名に -isin をつけることはあっても、-ttAin をつけることはありません。曜日は限られた「時」を表すけれど「間隔」は表しませんから。
逆に viikko は「1週間」という「間隔」を表すわけですから、viikoittain とはいいますが、viikkoisin は不自然です。
他にも思いついた例を挙げると
aamuisin とはいっても aamuittain とはいわない
syksyisin とはいっても syksyittain とはいわない
逆に
vuosittain とはいっても vuosisin とはいわない
time なのか period なのかで考えれば、使い分けは難しくなさそうですよ。
この記事のおかげで、私も勉強になりました。ありがとうございました。