zoanthropy

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カフカの「変身」は次のような一節で始まります。
ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。
フランツ・カフカ『変身』高橋義孝訳(新潮文庫)より
もしもこんな風にあなたが何かの動物に生まれ変わることができるとしたら、いったいどんな動物を選びますか?
コアラになって、ユーカリの木の上でのんびりするのもよし、
シロクマになって、北極の氷の上でのんびりするのもよし、
なぜか牧歌的な絵ばかりが浮かんでしまうのですが、もちろんコアラやシロクマにも彼らなりの悩みや苦労はあるのでしょう。
しかしある朝、目が覚めてグレゴール・ザムザのように本当に自分の姿がコアラやシロクマに変わってしまっていることに気が付いたなら、あなたは zoanthropy に罹患しているのかもしれません。
zoanthropy
NOUN
rare [mass noun] A form of madness involving the delusion of being an animal, with correspondingly altered behaviour.
zoanthropy は「獣化妄想」を意味する英単語。
精神障害の一種で、自分のことを動物だと思ってしまう妄想なのだそう。
まさに事実は小説より奇なり。人間をやめてしまった先にはいったいどのような世界が広がっているのでしょう? 小手先の想像力など及ばない圧倒的な狂気の世界がそこにあるのかもしれません。