2016年に読んで面白かった本10冊

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気が付けば2016年も大晦日になりました。どんな年の瀬をお過ごしでしょうか?
今回のエントリーでは今年読んで面白かった本10冊を紹介してみたいと思います。
今年発売された本ではなく、あくまで今年読んだ本ですので、古い本も入っています。
それではさっそくいってみましょう。
『正直』松浦弥太郎著
『暮しの手帖』の前編集長で現在は cookpad の「くらしのきほん」の編集長をされている松浦弥太郎さんのエッセイ集。今年はこの他にも松浦さんの本をずいぶんたくさん読みました。
松浦さんの本からは、日々の仕事や人間関係の迷いに対してどのように向き合ったらよいか、さまざまなヒントと原理原則を得ることができるように思います。
『今日も珈琲日和』鶴巻麻由子著
小金井界隈で「出茶屋」というコーヒーの屋台を出している鶴巻さんのエッセイ集。
屋台で出会った人のこと、これまでの人生のこと、何気ない日常のこと。波瀾万丈なドラマがある訳ではないのですが、描かれた一つ一つのエピソードがとても素敵なものに思えます。
人とかかわりながら生きていくことの面白さ・豊かさを感じられる一冊でした。
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『ユーコン川を筏で下る』野田知佑著
カヌーイストの野田知佑さんによる、北米ユーコン川の筏による川下りの記録。
昔から野田さんのエッセイを愛読してきた身としては、今も野田さんの新刊が読めるというだけで嬉しいこと。しかもユーコン川ふたたびというのですから、興奮せずにはいられません。
『まじめに生きるって損ですか?』雨宮まみ著
女性投稿者の愚痴に雨宮さんがとことん付き合うという体裁の人生相談風エッセイ集。
愚痴の内容は男性が読んでも共感できるものから、えっ?と思うものまで様々ですが、みなの心の底の底に降りていって、もやもやの本質を言葉にしてしまう雨宮さんの豪腕に驚嘆。
もっと新作を読みたかったのですが、雨宮さんは今年の10月にお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りいたします。
『コンビニ人間』村田沙耶香著
今年上半期の芥川賞受賞作。日常と紙一重の狂気の世界を描きつつ、それでも主人公が感じる周囲への違和感は私たちの中にも覚えのあるものではないでしょうか。
SF小説のような手触りに、学生時代によく読んでいた安部公房の小説を思い出しました。
『不屈の棋士』大川慎太郎著
現在、最もホットなトピックの一つである人工知能。
その人工知能に対して人間はどのように向き合っていくべきなのか? 将棋ファンにとっては現在の将棋界を通して理解するのがわかりやすい、そんなところもあります。
変わらざるをえないという気持ちと、変わってほしくないという気持ち。10年前にこんな時代が来るとは全く想像できませんでした。
『四人の交差点』トンミ・キンヌネン著
フィンランドでベストセラーになった、あるフィンランド人家族の年代記。ストーリー上のある謎が、物語の最終章で明かされる一種のミステリー仕立てになっています。全編読み終わった後に、また最初からページをめくりたくなる構成の妙。
そしてフィンランドの昔の暮らしを垣間見ることができるのも魅力の一つです。
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『ガケ書房の頃』山下賢二著
2015年まで京都にあった書店「ガケ書房」の店主で、現在は同じ京都にある「ホホホ座」の店主である山下さんのエッセイ集。
ガケ書房という書店経営の記録としても、書店論としても読めますが、それ以上に一つの青春小説として面白く読むことができました。
『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル著
ナチスの強制収容所から生還したオーストリア人精神科医の手記。
今年はこの本を読み、そしてアウシュヴィッツを訪れたということが一番のハイライトだったかもしれません。
「私たちが生きることからなにかを期待するのではなく、むしろ生きることが私たちから何を期待しているかが問題なのだ」という一節が心に残ります。
『かなわない』植本一子著
写真家の植本一子さんによるエッセイ集。今年はこの本にやられた!という人は多いのではないでしょうか。
子育てのこと、家族のこと、生きていくことのひりひりした痛みに身悶えしつつ、それでもページをめくる手が止められない。そんな生々しさに満ちた一冊。
本の後半、恋人との関係がおかしくなり、メールでカウンセリングを受けるくだりでは、人の心の深淵を突きつけられているような恐怖と、それでもその先を見たいという好奇心を両方抱えたまま、ぐいぐい引っ張られていきます。
まとめ
以上、今回のエントリーでは今年読んで面白かった本10冊を紹介してみました。
みなさんのおすすめ本などありましたら、コメント欄に書いていただけると嬉しいです。
それではよいお年をお迎えください。