フィンランド語学習記 vol.27 − ふたたび複数形、そしてその先へ

フィンランド語教室14週目のレポート。

そろそろ教科書の本文もぱっと見ただけでは意味が分からないことが多くなってきました。

予習・復習をきちんとしていかないと、大変なことになりそうです。

授業では、前回に引き続き、格変化を伴った文を読んでいくのですが、これがなかなか一筋縄ではいきません。

例えば、以前のエントリーで紹介した複数形。

フィンランド語学習記 vol.24 − たのしい複数形? | Fragments

kissa(猫)
kissat(猫たち)

フィンランド語の複数形は語尾に[-t]を付けてつくります。ここまではよし。

しかしこの日読んだ文章には、こんなのも出てきます。

tyttö(女の子)
tytöt(女の子たち)
poika(男の子)
pojat(男の子たち)

どうも語尾に[-t]を付けただけでは済まなさそうです。

この複数形をつくるに当たり、フィンランド語初心者は頭の中で次のようなルールを確認しなければなりません。

 

単語(辞書形)の末尾が[i, e]または「子音」で終わっているときは、語幹が変化することがある。

tyttö, poika は、語末が[o, a]ですのでここはスルーできます。

 

単語(辞書形)の最後の音節に[k, p, t]の文字が含まれるときは、語幹が変化することがある。

今度は、tyttö, poika ともに、最後の音節に[tt, k]を含んでいます。そこで手元の変化表を確認すると[tt ⇒ t][k ⇒ ×]とありますので、[tyttö ⇒ tytö][poika ⇒ poia]と変化させます。

ここに[-t]を付けて、tytöt, poiat で完成かと思いきや、ここで新ルールが登場。

 

語幹に三重母音が出来た場合は、そこから特殊な形に変化することがある。

ここでは、poiat が三重母音[-oia-]になっていますので、真ん中の[i]から足がにょきっと伸びて pojat となって出来上がり。

なお三重母音の避け方には共通のルールはなく、単語ごとの変化を覚えるしかないようです。

 

実際、辞書形から複数形をつくる作業はまだよいのですが、本文中に複数形の tytöt, pojat という形が出てきたときに、瞬時に tyttö, poika のことであると認識することの方がハードルが高いです。

またここで言う複数形というのは、あくまで「複数主格」のことですので、tyttö 一語を取ってみても他にまだまだたくさんの変化が。

単数 複数
主格(nominative) tyttö tytöt
属格(genitive) tytön tyttöjen
分格(partitive) tyttöä tyttöjä
対格(accusative) tyttö, tytön tytöt
内格(inessive) tytössä tytöissä
出格(elative) tytöstä tytöistä
入格(illative) tyttöön tyttöihin
接格(adessive) tytöllä tytöillä
奪格(ablative) tytöltä tytöiltä
向格(allative) tytölle tytöille
様格(essive) tyttönä tyttöinä
変格(translative) tytöksi tytöiksi
具格(instructive) tytöin
欠格(abessive) tytöttä tytöittä
共格(comitative) tyttöineen

 
よくよく見れば、辞書形(単数主格)の tyttö から著しく変化している訳ではないので、慣れてくれば何とかなるでしょうか。まずは目の前のことをコツコツと覚えていきましょう。