Finnish as a third language − 第三言語としてのフィンランド語習得を考える

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最近、フィンランド語の単語を覚えているとき、日本語よりも、英語と結びつけた方が覚えやすいということがよくあります。
例えば、aina(いつも)という単語がありますが、「aina=いつも」よりも、「aina=always」の方が覚えやすいのです。
あるいはフィン・日辞書で、ainaを調べて「いつも」とのっていても何だかそれだけでは不安で、ついついフィン・英辞書を引き直し、そこに「always」とのっていると安心するということもあります。
もちろんこれはケースバイケースであり、いつも英語と結びつけた方が覚えやすい訳ではありませんが、ときどきこういった感覚に見舞われることがあります。
第三言語の習得に関する研究を見てみると、第三言語の習得に関して、母語より第二言語との親和性があるということは珍しいことではないようです。
特に日本語・英語・フィンランド語という関係で見てみると、英語とフィンランド語は全く異なる言語ですが、それでも共通のアルファベットを持っていますし、少なくとも表面的には日本語とフィンランド語よりは距離が近いと言えるでしょう。(本質的な部分では日本語とフィンランド語の方が近い点も多々あるのですが。。。)
第二言語習得理論の概説書である、Gass and Selinker(2009)には、Third language acquisitionという小チャプターがあり、そこではアラビア語を第二言語として学んだ英語の母語話者が、第三言語のポルトガル語を使用するとき、アラビア語とポルトガル語の混同が起こってしまうという例が紹介されています。
このような混同というのは、一般に言語習得を阻害するものとして理解されています。しかし混同するということはそれだけ結びつきが強いということですので、それを語彙の記憶に利用することもあるでしょう。
例えば、上記の Gass and Selinker には、オランダ語の母語話者がフランス語(第三言語)の impliqués と英語(第二言語)の involves を混同する例が出てきます。これなども「impliqués=involves」という回路ができていることの裏返しではないでしょうか。
私の場合は、日本語⇒英語⇒フィンランド語とすすんだので、英語とフィンランド語の結びつきが起こる訳ですが、例えば英語⇒日本語⇒フィンランド語とすすんだ人は日本語とフィンランド語の結びつきが起こるのでしょうか?
もしそうだとしたら非常に面白い現象だと思います。
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1月 26, 2014 @ 08:17:29
とても興味深く、遡って拝読しています。
私も英語と結びつけて理解することが多くあります。
フィン日、日フィン辞書の語彙が限られているという現実問題もありますし…。
私自身はフィン語でフィン語を勉強しているのですが
完了形になると英語で考える方が断然楽ですし、
実際、先生にも英語が出来れば理解しやすい部分もあるはずと言われました。
日本語で考え直そうとすると逆に混乱することもあるんですよね…
ただ、ほぼ完璧に理解した(だろう)ことを日本語で整理することはあります。
英語とフィン語で理解し、日本語で仕上げるという感じでしょうか。
どうしても難しく理解出来ない時は「そういうものだ」と丸暗記です(笑)
フィン語はとても難しいですが、はまると本当に面白い言語ですよね。
楽しく勉強を続けていきましょう!
1月 27, 2014 @ 11:29:02
コメントありがとうございます!
「フィン語をフィン語で勉強!」 早くその境地に辿り着きたいのですが、なかなか遠い目標です。
たしかに文法事項などは、(日本語の文法事項を意識的に学習していないせいか)英語と比較してしまいますよね。
単語についても、新出単語に出会ったときに「これは英語の何に当たるのだろう?」ということがどうしても気になってしまい、Wiktionary などで調べてしまいます。
果たしてそれが効率的なのか?と言われると自信はないのですが、気になってしまうので仕方ないという感じです。
5月 05, 2019 @ 23:35:58
めちゃめちゃわかります!
フィンランド語やエストニア語は、日本語より英語で学習した方がわかりやすいですよね。
勉強を始めた時、ネットなどの「日本語に似ている言語・フィンランド語」という安易な紹介に「どこがだよ!」と怒ったりしたものです。
正直、今でも怒っています笑笑
日本語とフィンランド語が似ているって、ダジャレレベルでの話ですもんね。
そもそもSVO型であるからして、まだ英語からの方が近い気がします。
それでも一概に、全ての面において英語の方が近い!と言い切れないのは、
フィンランド語の格変化と日本語の助詞の考え方が似ているからでしょうか。
格変化を学習している時は特に、「やっぱりウラル語族はアジアから来たのかな??」と古代のロマンにうきうきしてしまいます。
数年前の記事に、突然コメントしてしまい、すみませんでした。