さまざまな music

17061701

この頃、ちょっとした隙間時間にイギリスの言語学者 David Cristal の『The Story of English in 100 Words』という本を読んでいます。

これは100個の英単語を取り上げて、その単語の歴史や裏側にある物語を100編のショートエッセイにまとめた本。

例えば music を取り上げた章では、この単語が英語の歴史において40通りもの綴りで書かれてきたという話が紹介されています。

本書で紹介されているそのバリエーションは次の通り。

  • musiqe
  • musyque
  • musique
  • musyk
  • musik
  • musike
  • musice
  • mysycque
  • mewsycke
  • musick
  • musicke
  • musickque
  • moosick
  • mwsick
  • maisick
  • masic
  • meesic
  • misic

こうして見ると、現在のスタンダードである music とはかけ離れたものもあれば、一歩間違えれば music の代わりにこちらがスタンダードになっていたかもしれないと思えるものまで、さまざまな綴り字が並んでいます。

そもそも music /ˈmjuːzɪk/ の /k/ という音を表すのに、現在の英語では c, k, ck あるいは que という文字を使うケースもあります。その中で c という文字が選ばれたのは必然なのか偶然なのか。

たった一つの単語にも、私たちの想像力が及ばないような、さまざまなドラマが隠されているのかもしれません。

 

The Story of English in 100 Words
Profile Books (2011-10-13)