フィンランド語学習記 vol.486 − 分詞構文の作り方(2)

17070601

昨日に続いて、フィンランド語の分詞構文について。

フィンランド語学習記 vol.485 − 分詞構文の作り方(1)

昨日のエントリーでは、こんな文を扱いました。

Seppo sanoi Pekan olevan kotona.
= Seppo sanoi että Pekka on kotona.
(セッポは、ペッカが家にいると言った。)

今回のエントリーでは、こんな文を扱います。

Antti uskoo tekevänsä oikein.
= Antti uskoo että hän tekee oikein.
(アンッティは、彼が正しいことをしていると信じている。)

同じ分詞構文なのですが、よく見ると1か所だけ構造が違っています。

Seppo の文はこのような構造。

että 節の文 Seppo sanoi että Pekka on kotona.
分詞構文 Seppo sanoi  × Pekan olevan kotona.

 

Antti の文はこのような構造。

että 節の文 Antti uskoo että hän tekee oikein.
分詞構文 Antti uskoo  × × tekevänsä oikein.

 

Seppo の文では että 節の主語 Pekka が Pekan という属格の形になっているのに対して、Antti の文では että 節の主語 hän が消えてしまっています。

ここで1つ目のルール。

että 節の主語が人称代名詞(minä, sinä, hän, me, te, he)のときは、分詞構文ではその属格の人称代名詞(minun, sinun, hänen, meidän, teidän, heidän)を省略することができる。

その場合は分詞に必ず所有接尾辞[-ni, -si, -nsA, -mme, -tte, -nsA]を付ける。

この場合は tekevänsä に三人称単数の所有接尾辞[-nsA] が付いています。

ところで、省略することが「できる」ということは、hänen を省略せずにそのまま置いても間違いではないのでしょうか?

これが実は少々難しい問題で、さきほどの文においては hänen の有無によって次のような意味の違いが生じてしまいます。

Antti uskoo tekevänsä oikein.
(アンッティは、彼が正しいことをしていると信じている。)
[彼=アンッティ]
Antti uskoo hänen tekevänsä oikein.
(アンッティは、彼が正しいことをしていると信じている。)
[彼=アンッティ以外の人]

つまり上の文では、Antti は自分のことを信じているのですが、下の文では、Antti は自分以外の誰かを信じていることになります。

ここで2つ目のルール。

että 節の主語が人称代名詞(minä, sinä, hän, me, te, he)で、主節の主語と同じ人を表すときには、分詞構文ではその属格の人称代名詞(minun, sinun, hänen, meidän, teidän, heidän)を必ず省略しなければならない。

その場合は分詞に必ず所有接尾辞[-ni, -si, -nsA, -mme, -tte, -nsA]を付ける。

フィンランド語では主語が省略されるケースは多々ありますが、省略しないと別の意味が伝わってしまうというケースは珍しいのではないでしょうか。

気を付けておきたい文法事項です。