船の性別
She is a fine ship.
立派な船だ
「ランダムハウス英和大辞典 第2版」
英語では船に対して代名詞 she を使うことがあります。
現在では it を使う方が普通のようですが、船に愛着のある人(船員さんなど)は she を選ぶこともあるとのこと。
なぜ船が女性なのか? これには諸説あって、例えば「維持費がかかるから」とか、ハラスメントになってしまいそうな説も多々あるのであまり深入りはしないでおきます。
その優美な姿を女性に例えたくらいのところで何となく納得しておくのがベストかもしれません。
この「船=女性」というのは勝手に万国共通のイメージかと思っていたのですが、先日読んだ北村太郎さんの詩集にこんな一節がありました。
船は
アメリカやヨーロッパでは女性だが
ニホンでは、丸、というくらいだからおとこなのか
あの貨物船
どうみてもうつむいている老いたる浮浪者だった
北村太郎『港の人』P.50
言われてみれば、日本語ではたしかに船の名前に「丸」を付けることがよくあります。
まる[丸]
,,,
三(接尾)男の子・刀・船などの名前にそえることば。「牛若ー」
「三省堂国語辞典 第七版」
三国によれば「丸」というのは「男の子・刀・船」などの名前に添える言葉となっています。
もちろん「〇〇丸」は現代においてよくある男の子の名前とは言えませんが、歴史上有名な人物の幼名が「〇〇丸」というケースはよくあります(梵天丸→伊達政宗とか)。
それにしても「船=女性」というイメージを、まさか日本語に覆されるとは思いませんでした。先入観というのは怖いものですね。
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