フィンランド語学習記 vol.551 − 鍋を火にかける
フィンランド語教室のテキスト『suomea suomeksi 2』にこんな例文が出てきました。
Panin pannun tulelle.(鍋を火にかけた。)
Panin perunat tulelle.(じゃがいもを火にかけた=茹でた。)
Panin perunat tulelle.(じゃがいもを火にかけた=茹でた。)
シンプルな文ですが、この文を自分で作れるか?と言われるとなかなか難しいところ。
細部を見てみましょう。
panin
Panin pannun tulelle.(鍋を火にかけた。)
Panin perunat tulelle.(じゃがいもを火にかけた=茹でた。)
Panin perunat tulelle.(じゃがいもを火にかけた=茹でた。)
panin は「置く」を意味する動詞 panna の一人称単数過去形。
タイプ3の動詞である panna の活用は次のとおりです。
現在 | 過去 | |
---|---|---|
一人称単数 | panen | panin |
二人称単数 | panet | panit |
三人称単数 | panee | pani |
一人称複数 | panemme | panimme |
二人称複数 | panette | panitte |
三人称複数 | panevat | panivat |
pannun
Panin pannun tulelle.(鍋を火にかけた。)
pannun は「鍋」を意味する名詞 pannu の単数対格[-n]の形。
単数主格 | pannu |
---|---|
単数対格 | pannun |
この対格には一つの鍋「全体」を火にかけるイメージ。
そしてその動作が途中ではなく終わっているイメージがあります。
perunat
Panin perunat tulelle.(じゃがいもを火にかけた=茹でた。)
perunat は「じゃがいも」を意味する名詞 peruna の複数対格[-t]の形。
単数主格 | peruna |
---|---|
複数対格 | perunat |
この対格には(複数ある)じゃがいも「全体」を火にかけるイメージ。
そしてその動作が途中ではなく終わっているイメージがあります。
tulelle
Panin pannun tulelle.(鍋を火にかけた。)
Panin perunat tulelle.(じゃがいもを火にかけた=茹でた。)
Panin perunat tulelle.(じゃがいもを火にかけた=茹でた。)
tulelle は「火」を意味する名詞 tuli の単数向格[-lle]の形。
単数主格 | tuli |
---|---|
単数向格 | tulelle |
向格なので「火の上へ」というイメージでしょうか。
ここは自分で作文すると「火の上に」という意味の接格[-llA]を使ってしまいそうです。
*Panin pannun tulella.
*Panin perunat tulella.
*Panin perunat tulella.
おまけ
さきほどの例文には次のような注釈が付いていました。
Tätä ilmausta voidaan käyttää myös silloin, kun on sähköhella.
(この表現は電気コンロのときにも使うことができる。)
*ilmaus(表現)、sähköhella(電気コンロ)
(この表現は電気コンロのときにも使うことができる。)
*ilmaus(表現)、sähköhella(電気コンロ)
実際には火が出ていなくても「火の上へ」という表現を使うことができるんですね。
まとめ
シンプルでありながら、一語一語の正しい変化形を選ぶのが難しい文だと思いました。
実際の用例にたくさん接して、インプットを増やして、自分の中の感覚を養っていくのが上達への早道かなと思います。