フィンランド語学習記 vol.569 − 世界ロマの日

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白水社の語学入門書「ニューエクスプレス」シリーズはかなりマイナーな言語までカバーしていて、これはすごい!と思うこともしばしば。

2018年に入ってからはロマ語とアムハラ語の入門書が出ています。

 

ニューエクスプレス ロマ(ジプシー)語《CD付》
角 悠介
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ニューエクスプレス アムハラ語《CD付》
若狭 基道
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このうちロマ語ってどんな言葉なんだろう?と思って、白水社のウェブサイトから見本のページを見てみました。

基本的には馴染みのあるラテン文字が使われているものの、その中に英語の発音記号で見かけるような、

Θ Ʒ

などの文字が混ざっていて、ユニークな印象。

値段はちょっと高いですが、一冊手に入れて読んでみたいという気にさせられます。

そんなロマ語に関する記事がフィンランド語学習者のためのやさしいフィンランド語によるニュースサイト「Yle Uutiset selkosuomeksi」に出ていました。

Romanien kansallispäivä

Sunnuntaina on vietetty romanien kansallispäivää.

Suomessa asuu noin 10 000 romania. Romaneita on asunut Suomessa 500 vuotta.

Romaneilla on oma kieli, romanikieli. Monet romanit eivät kuitenkaan enää puhu romanikieltä.

Romaneilla on myös oma kulttuuri. Esimerkiksi vanhempien ihmisten kunnioittaminen on tärkeää romaneille.

ロマの日

日曜に人々は世界ロマの日を祝った。

フィンランドには約10,000人のロマが住んでいる。ロマは500年の間フィンランドに暮らしている。

ロマは独自の言語であるロマ語を持っている。しかし多くのロマはもはやロマ語を話さない。

ロマはまた独自の文化を持っている。例えば、年をとった人への敬意はロマにとって重要だ。

フィン
kansallispäivä national day 国家の日
viettää celebrate 〜を祝う
romani Romani ロマ、ロマ語
enää any more もう〜でない
kunnioittaminen respect 尊敬
tärkeä important 重要な

 

昨日の4月8日は Romanien kansallispäivä。

英語に直訳すれば Romani national day となりますが、ロマは国家を持たない人々なので「ロマ国家の日」とは訳せません。

調べてみると英語では International Romani Day、日本語では「世界ロマの日」という名称で呼ばれているようです。

この世界ロマの日というのは、ロマの文化に目を向け、ロマの人々が直面している問題を考えようという目的で1990年に制定された記念日。

たださきほどの記事にもあるようにロマ語を話す人の数は減少の一途をたどっているようです。

そもそもロマが国家を持たない人々であるということは、ロマ語は世界のどの国の公用語でもないということ。そんなロマ語が衰退に向かうのは歴史の必然なのでしょうか。

それでもそんなロマ語の入門書がこの極東の島国でひょこっと出版される。案外そんなささやかなことが、声高に何かを叫ぶこと以上に、ロマの人々に対する敬意と連帯を表明しているような気もします。

 
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