フィンランド語学習記 vol.572 − 時相構文に気付かない?

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先日のフィンランド語教室にて、フィンランドの歴史を扱った絵本を読みました。

スウェーデン王グスタフ1世を紹介するページはこんな文章で始まります。

Kustaa Vaasa oli Ruotsin Kuningas. Hän oli vahva hallitsija.

Ruotsi oli ollut katolinen maa niin kuin muutkin Euroopan maat, mutta valtaan päästyään Kustaa muutti maansa luterilaiseksi…

最初に読んだときは mutta の次に来る valtaan päästyään の意味がわからず。

??

先生によると、これは最近習った「時相構文」の形。

おさらいするとフィンランド語の時相構文には「第2不定詞内格」を使った形と「受動過去分詞分格」を使った形がありました。

第2不定詞内格 Mikon tullessa kotiin Leena oli jo nukkumassa.
(ミッコが家に帰ったとき、レーナはもう眠っていた。)
受動過去分詞分格 Mikon tultua kotiin Leena heräsi.
(ミッコが家に帰ったあと、レーナは起きた。)

 

フィンランド語学習記 vol.549 − 時相構文の作り方(2)

前者は「AのときB(時間差なし)」、後者は「AのあとB(時間差あり)」という意味を表します。

ここでもう一度、冒頭の文章を見てみましょう。

mutta valtaan päästyään Kustaa muutti maansa luterilaiseksi…

päästyään というのは「行く」などを意味する動詞 päästä の受動過去分詞 päästy の分格 päästyä に三人称単数の所有接尾辞[-An]が付いた形。(ややこしい。。。)

辞書形 päästä
受動過去分詞 päästy
受動過去分詞分格 päästyä
受動過去分詞分格
+所有接尾辞
päästyään

 

ということは、この部分は「AのあとB」という意味になっているはず。わかりやすくするため、接続詞 kun を使って書き換えてみました。

valtaan päästyään Kustaa muutti maansa luterilaiseksi
= kun hän oli päässyt valtaan, Kustaa muutti maansa luterilaiseksi
(権力を握ったあと、グスタフは彼の国をルター派に変えた。)

これでようやく文の形が見えました。人称代名詞の hän が主節の主語 Kustaa と同一人物なので省略されているという点も、この文の構造を見えにくくしていた一因でしょう。

改めて冒頭の文を全訳するとこんな感じになるでしょうか。

Kustaa Vaasa oli Ruotsin Kuningas. Hän oli vahva hallitsija.

Ruotsi oli ollut katolinen maa niin kuin muutkin Euroopan maat, mutta valtaan päästyään Kustaa muutti maansa luterilaiseksi.

(グスタフ1世はスウェーデンの王だ。彼は強い支配者だった。

スウェーデンは他のヨーロッパの国と同じようにカトリックの国だったが、権力を握ったあと、グスタフは彼の国をルター派に変えた。)

今回よくわかったのは、時相構文というのは「これから時相構文を扱います!」と予告してくれれば理解できるものの、いきなり出されるとなかなか気付かないということ。

もちろん実際の読解においてそんな予告をしてくれることはあり得ないので、慣れるしかありません。できるだけ様々なジャンルの文章を読んで、書き言葉のリズムに馴染んでいきたいですね。