おじいさんは山へしば刈りに
童話「桃太郎」の冒頭部分を思い出してみましょう。
むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。まいにち、おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
ここで取り上げたいのは「おじいさんは山へしばかりに」という一節。
おじいさんは毎日、山の芝生を刈りに行ったのでしょうか?
しばかり[芝刈り](名・自サ)
芝生などの芝を刈って、長さをそろえること。
「ー機」
「三省堂国語辞典 第七版」
芝刈り機のない時代に、芝生を刈るのは重労働だったでしょう。
ただなぜ山の芝生を刈らなければならないの?と思った人もいるかもしれません。
国語辞書を調べてみると、実はもう一つの「しばかり」が見つかります。
しばかり[(×柴)刈り](名・自サ)
たきぎに使う小枝を切り取る〈こと/人〉。
「おじいさんは山へーに」
「三省堂国語辞典 第七版」
「しばかり」というのは、たきぎに使う小枝を切り取ることだったんですね。
実際、桃太郎のストーリーを絵で思い浮かべてみれば、山で「柴刈り」をするおじいさんの絵が浮かぶ人も多いでしょう。
しかし現代においては、庭で「芝刈り」をする人はいても、山で「柴刈り」をする人はほとんどいないはず。
そういう意味で、柴刈りというのは昔話の中の単語になりつつあるのかもしれません。
三省堂国語辞典 第七版
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カテゴリ: 辞書/辞典/その他, 教育
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