「毎年」と「例年」の違いとは?
先日、yearly という英単語を日本語に訳す際、「毎年」にするか「例年」にするかで迷ったことがありました。
yearly
ADJECTIVE & ADVERB
Happening or produced once a year or every year.
このときは何となく例年の方がしっくりくるような気がして、例年を選びました。
その後、毎年と例年の違いは何だろう?としばらく考えてみたのですが、これがなかなか難しい。
いつものように辞書を引いてみると、次のように出ていました。
まいとし[毎年](名)
一年ごと。としごと。まいねん。
「三省堂国語辞典 第七版」
れいねん[例年](名)
いつものとし。毎年。
「ーになく寒い・ーどおり」
「三省堂国語辞典 第七版」
「例年」の語釈中に「毎年」とあることからもわかるとおり、文脈によっては両者は交換可能な言葉なのだと思います。
しかし用例にある「例年になく寒い、例年どおり」を「毎年になく寒い、毎年どおり」と言い換えることはできません。
おそらくそれぞれの言葉の中に、
- 例年=繰り返し
- 毎年=積み重ね
というニュアンスがあるのかなと思います。
言葉としてはささやかな違いかもしれませんが、これは流れ行く時間をどのように捉えるかという人生観を反映していると言ったら言い過ぎでしょうか。
例えば、次のような例文。
1)私は毎年、富士山に登っています。
2)私は例年、富士山に登っています。
2)私は例年、富士山に登っています。
両者を頭の中で反芻してみると、1は頑張る人(自力本願)、2は委ねる人(他力本願)というニュアンスを読み取ることもできるのではないでしょうか。
これは言葉遊びのようなものですが、使う言葉一つにその人の価値観が現れるということはたしかにあるのだと思います。
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