がましい

18062601

この前「おこがましい」という日本語の意味を確認したくなり、辞書を引いてみました。

おこがましい[(×烏×滸がましい)](形)

出すぎている。身のほど知らずだ。

「ー言い方ですが…」

「三省堂国語辞典 第七版」

なるほど。そういう風に説明するものなんですね。

このとき「おこがましい」以外に「〜がましい」と付く日本語には何があるだろう?と思い、辞書アプリの後方一致検索で探してみると、次のような表現が見つかりました。

  • うらみがましい[恨みがましい]
  • おこがましい[烏滸がましい]
  • おしつけがましい[押し付けがましい]
  • おんきせがましい[恩着せがましい]
  • かしがましい[囂しい]
  • さしでがましい[差し出がましい]
  • つらあてがましい[面当てがましい]
  • はれがましい[晴れがましい]
  • みだりがましい[猥りがましい]
  • みれんがましい[未練がましい]
  • わざとがましい[態とがましい]

日常よく使うものから、あまり聞いたことがないものまで、様々な表現があります。

そしてこのリストをよく見ると、この中に一つだけ仲間はずれの表現があるということに気が付きます。

それはこちら。

はれがましい[晴れがましい](形)

儀式などで、はなやかな「晴れ」の場所に出て、かたくなる感じだ。また、目立って光栄に思うようす。

「ー席」

「三省堂国語辞典 第七版」

他の「〜がましい」はどれもマイナスの意味なのに対して、この「晴れがましい」だけはプラスの意味になっています。

これはなぜなのでしょう? 特別の由来でもあるのでしょうか?

あちこち調べていると、日国の「がましい」の語釈の中に次の説明を見つけました。

がましい

…中世以降、「望ましくない。不快である」といった否定的な評価の意味を示す方向へ傾いてゆくが、中古には「はれがまし」 「ひとがまし」のように、肯定的な意味を表わす語もあり、否定的な評価の意味に偏っているものではなかった。

「精選版 日本国語大辞典」

なるほど。もともとは「がましい=否定的」という訳ではなかったんですね。

ちなみにここに出てくる「ひとがまし」は日国の見出し語になっています。

ひとがましい【人ー】

①一人前らしい。人並みらしい。人らしい。…

②相当の人物らしい。人にしられるほどである。…

「精選版 日本国語大辞典」

面白い言葉だと思いますが、こちらは日常使われている言葉ではありません。

だとすると「晴れがましい」は現代の日本語にただ一つ生き残った肯定的な意味の「〜がましい」ということになるのでしょうか?

他にそのような言葉を見つけた人がいたら、ぜひシェアをお願いいたします。

 
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