ひしめくもの

久しぶりに渋谷のスクランブル交差点を歩いたら、ひしめく人の山に圧倒されてしまいました。

学生時代は最もよく遊んだ街だったのに、今ではめったに足を踏み入れません。年を重ねるごとに人混みが苦手になっているような気がします。

なお渋谷のスクランブル交差点にひしめいているのはもちろん人間ですが、ひしめくという漢字は次のように書きます。

ひしめく[(×犇めく)](自五)

人がおしあいへしあい、大ぜい集ま(ってさわぎ立て)る。

「ひしめきあう」

「三省堂国語辞典 第七版」

ひしめくという漢字は牛を三つ重ねて書くんですね。

いったいどんな由来の漢字なのか知りたくなり、漢和辞典も引いてみました。

㋐多くの牛が驚かされて一斉に走り出す。「犇響ホンキョウ(=牛が一斉に走っている音)」

㋑急いで走る。「犇馳ホンチ

㋒逃げる。亡命する。

日本語用法 ひしめく。多くの人や牛馬が、密集している。

「全訳 漢辞海 第三版」

犇というのはもともと「走っている牛」のイメージなんですね。

調べてみると馬を三つ重ねた「驫」や人を三つ重ねた「众」という漢字もあるようなのですが、当然「驫めく、众めく」などという表記はありません。

驫 众

なぜ牛がひしめく代表に選ばれたのか、不思議といえば不思議ですね。

 
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