そぼ降るの「そぼ」とは何なのか?

冬が戻ったような一日。雨の中、傘をさして歩いていたら、はちみつぱいの「塀の上で」のメロディが頭に浮かんできました。

空は未だ群青色の朝

外はそぼ降る鈍色の雨

今日の雨は「そぼ降る」という言葉にぴったりの雨です。

そぼ降る雨

しめやかに、しっとりと降る雨。しょぼしょぼと降る雨。同意の古語に、そぼつ。

「雨のことば辞典」P.138

しめやかに、しっとりと、しょぼしょぼの意味はわかりますが、そもそもそぼ降る雨と言うときの「そぼ」とは何なのでしょう?

さきほどの文中に「同意の古語、にそぼつ」とあるので、日国で「そぼつ」を引いてみると、次のように出ていました。

そぼつ【濡】

(古くは「そほつ」 「そほづ」。「そおつ(づ)」の時代も)

一〘自タ上二〙

①雨、涙などによって、ぐっしょりぬれる。うるおう。

②(雨が)しめやかに降る。しとしとと降る。しょぼしょぼふる。そぼふる。

「精選版 日本国語大辞典」

かつては濡れることを意味する「そぼつ」という動詞があり、そこから「そぼ降る」という表現が生まれたということなのでしょう。

そぼつはもはや現代語では使われていないものの、そぼ降るという表現の中に生きている。そんな風に受け継がれていく言葉もあるんですね。

 

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