フィンランド語学習記 vol.748 − 分格に関する素朴な疑問
フィンランド語の勉強を始めてかなりの年月が経つものの、時折よくわからなくなってしまうのが分格の使い方。
例えば『フィンランド語文法ハンドブック』の受動完了形に関する章にこんな例文が出ていました。
Ruoka oli syöty, kun isä tuli kotiin.
父が帰宅したとき食事は食べ終わっていた。Ruokaa ei ollut tehty, kun äiti tuli kotiin.
母が帰宅したとき食事は作っていなかった。「フィンランド語文法ハンドブック」 P.268 (太字は筆者)
ここで「??」と思ってしまったのが文頭の ruoka, ruokaa の形。
一つ目の文の ruoka は単数主格、二つ目の文の ruokaa は単数分格の形になっています。
単数主格 | ruoka |
---|---|
単数分格 | ruokaa |
ここで気になったのは、この ruoka, ruokaa は主語と目的語のどちらなのかということ。
おそらく分格の ruokaa は目的語なのでしょう。しかし主格の ruoka が目的語というのはおかしいのでこちらは主語と解釈すべきでしょうか?
ただ一つ目の文の ruoka は主語で、二つ目の文の ruokaa は目的語というのも非対称で不自然な感じ。今さらながらこのあたりのルールがよくわからなくなってしまったので、もう少し考えてみたいと思います。
6月 06, 2019 @ 21:24:54
私も年月ばかりが長くてしゃべる機会がそんなにないからか、一向に上達しませんが・・・どちらも目的語だけど2番目は否定形だから分格なのでは??
6月 13, 2019 @ 00:57:07
nitecokatuさん
コメントありがとうございます。
そうですよね。2番目は否定形だから分格なんですよね。
ただ1番目の ruoka も目的語であるのなら、対格の ruoan にはならないのかな?というのが本稿の疑問です。わかりにくくてすみません。
6月 22, 2019 @ 22:32:48
二つの問題で錯綜していたということなんですね。
1つ目は,nitecokatuさんの言う通り,否定文の中の目的語は,分格で表す,というルールです。このことについては,文法解説書や語学練習書の中で一項目設けて説明すべきですが,執筆しているフィンランド人たちは,余りにも当たり前すぎてここをスルーしがちです。
大学書林の「フィンランド語四週間」には,初めの方で(p.67あたり),「否定文における目的語は常に分格に置かれる」とあります。
2つ目の対格の問題ですが,最初の文を何の前触れもなく,
Ruoan oli syöty, kun isä tuli kotiin. と言うと,「父が帰宅したとき(世界中のあらゆる)食事は食べ終わっていた」という意味になってしまいます。
同様に,「フィンランド語学習記vol.404–本を買う」にありますように,何の前触れもなくいきなり,Minä ostan kirjan. と言うと,「私は(世の中にあるあらゆる)本を買う」となって,フィンランド人は目を丸くするか,大笑いするでしょう。
Tämä kirja on hyvä. Ja toinen on parempi kirja. Kumpi ostat? これはいい本です。でもう1冊はもっといい本です。どちらを買われますか?
Ostan tämän kirjan. この本を買います。
この様に前触れがあれば,(今問題になっている,目の前の)この本,と特定できます。従って本屋に行って何か物色しようかな,という時は,Minä ostan kirjaa.でしょう。
6月 23, 2019 @ 14:58:19
わかりやすい解釈を見つけました!私も使っている「フィンランド語文法ハンドブック」p177-178に「全体目的語が主格になる場合」という項目がありますが、上の2つの文はどちらもRuokaは目的語で不定人称ですよね。だから「父が帰った時食事は食べ終わっていた」つまり対格で表すべきところだけど主格になっているのではないでしょうか。(下は本来否定なので分格で表すものは不定人称でも原則どおり分格で表す)
6月 23, 2019 @ 22:03:32
やはりどちらも「目的語」なのですが、「フィンランド語文法ハンドブック」(私も使っています)p175-176にあるように不定人称が主語の場合、上は父が帰宅したとき食事は(全部)食べ終わっていたのだから本来なら対格になるところは主格になるというルールで主格かな。下は否定なので本来分格なのでそのまま分格ですね。
6月 29, 2019 @ 21:18:55
Jussiさん
丁寧な解説ありがとうございます。対格/分格の使い分けは文脈による部分も大きいんですね。フィンランド語の対格は英語の定冠詞 the と感覚が似ているような気もしますが、なかなか慣れません。もう少しいろんな文章に触れて感覚を養いたいと思います。
6月 29, 2019 @ 21:24:07
nitecokatuさん
「フィンランド語文法ハンドブック」読み直しました。このルールは難しいですね! もうどちらでも通じればいいのかなという気持ちになってきました。。。