語学力の5段階評価 − ロンブ・カトー著『わたしの外国語学習法』より

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TOEICのような検定試験がなぜこれほど人気があるのかといえば、やはり自分の実力を客観的な数値で測ることができるということに本質的な魅力があるのだと思います。
TOEICで本当の英語力を測ることはできないというのは概ね事実だと思いますが、それでも語学力を点数化したいという欲求が消えることはないでしょう。
一方、マイナーな言語では検定試験の類がありませんので、学習者の語学力は主観的に判断するよりほかありません。
そんな言語の学習者にも役に立つ5段階の語学力評価方法が、ロンブ・カトーさんの古典的名著『わたしの外国語学習法』で紹介されています。さっそく見てみましょう。
5点
外国語の語彙が母国語のそれに等しく、発音、正字法、文章構築力が、その外国語のルールに、個人の言語に許される範囲に限ってだけ悖る人々
ある研究によると、英語のネイティブスピーカーは約20,000語の単語を理解できるそうです。そうだとすると、一般的な学習者がこのレベルを達成するのは、なかなか難しいと言えるでしょう。
4点
読んでいるテキストのすべての文体的、意味的ニュアンスがつかめる人。作者のイントネーション、つまり強調したいことが理解でき、かつ調べなければならない単語が20%以内である人。自分の教養範囲の口頭発言では、多くの誤りにもかかわらず、相手に最初から、こちらの意図を理解させられる人。
「すべて」のニュアンスがつかめるというのはかなりハードルが高いですね。一方、アウトプットにおいては「多くの誤り」が許容されているようですので、上級者なら達成可能なレベルではないでしょうか。
3点
言われたことの趣旨を、ゆっくりと、やっとのことで理解出来、しかし細部はつかめぬ人。街頭や店などで、その外国語で尋ねごとをした場合に、すみませんが、もう一度と尋ね返されるような人。
ぐっとハードルが下がりました。このレベルは一般的な学習者にとって現実的な達成目標になると思います。それにしても「すみませんが、もう一度と尋ね返されるような人」という括りには、何だか物悲しさがありますね。。。
2点
何度も聞き返したり、何度も読み返したりして、やっとのことで、それもどうにかこうにかテキストの理解にたどりつく人。書状のテキストが、分からないすべての単語を辞書で調べ上げた上でないと理解出来ず、それもやっとのことで理解できる人。
どんな言語であれ、どんな学習者であれ、半年も学習すればこのレベルに到達することはできると思います。必要以上に悲観することはありません。まずはこのレベルを目指しましょう。
1点
何も知らない者
何も知らなくても1点はもらうことができます! だとすると、私にとってハンガリー語やトルコ語は1点ですが、インドネシア語は1点ではありません。
Apa kabar?
以上、ロンブ・カトー著『わたしの外国語学習法』より、5段階の語学力評価方法をご紹介しました。
本書は、読み返すたびに新しい発見がある素晴らしい一冊です。何らかの外国語に取り組んでいる人は、ぜひ手元に置いて繰り返し読んでみてほしいと思います。
私が現在取り組んでいるフィンランド語はこの評価方法で見ると良くて2点といったところでしょうか。これからの1年で3点を目指して頑張りたいと思います。
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