フィンランド語の消えゆく隣人たち

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最近、英語の本をきちんと読んでいないなあと思うものの、フィンランド語の勉強にも時間を割きたいので、英語で書かれたフィンランド語の文法書を読んでみることにしました。

購入した本はこちら。

Finnish: An Essential Grammar (Essential Grammars)
Routledge (2013-02-01)
売り上げランキング: 22,634

 
こちらの本、本題に入る前の Introduction がなかなか面白く「フィンランド語と他の言語の関係」という冒頭の小チャプターには、こんな一節が出てきます。

The languages most closely related to Finnish are Estonian, Karelian, Ingrian, Vepsian, Olonetsian, Ludian, Votian and Livonian, which are all spoken around the south and east of the Gulf of Finland.

(フィンランド語に最も関係の深い言語は、エストニア語、カレリア語、イングリア語、ヴェプス語、オロネツ語、リュード語、ヴォート語、リヴォニア語で、それらはみなフィンランド湾の南部と東部で話されている。)

これまでの知識では、フィンランド語に似ている言語はエストニア語くらいだと思っていたので、こんなに似た言語があるとは驚きです。

[参考]フィンランド語の隣人「エストニア語」を少しだけ訪ねてみる | Fragments

とはいえ、ほとんどの言語は名前すら聞いたこともありません。上の翻訳を拵えるために、それぞれの言語の日本語表記(カタカナ表記)を調べるだけでもずいぶん苦労しました。

しかしイングリア語、オロネツ語、リュード語以外は、Wikipedia の日本語ページもありますので、興味のある方は下表のリンクから覗いてみてください。

それぞれの言語の詳細に分け入ることはできませんが、せめてどれくらいの話者がいるのか知りたいと思い調べてみました。

話者数
Estonian エストニア語 1,100,000
Karelian カレリア語 63,000
Ingrian イングリア語 150
Vepsian ヴェプス語 〜6,000
Olonetsian オロネツ語 〜27,000
Ludian リュード語 〜2,000
Votian ヴォート語 25以下
Livonian リヴォニア語 〜1

 
*エストニア語以外の話者数は The Endangered Languages Project による。

こうして話者数を見てみると、消滅の危機にある言語が多くを占めています。

リヴォニア語に至っては最後のネイティブスピーカーが2009年に亡くなり、それでもなお復興への努力が続いているとのこと。この最後のネイティブスピーカー(Viktors Bertholds)は Wikipedia の項目として登場しています。

このグループにおいてはフィンランド語は最大の勢力ですから、ある意味では希望の星と言えるのかもしれません。

ささやかながらフィンランド語を広めることに貢献できたら嬉しいのですが。