フィンランド語学習記 vol.55 − 分格のつくり方

フィンランド語教室22週目は、仕事の都合でお休みしてしまいました。

この週に扱った内容は「分格」のつくり方。

これがなかなか難しく、参考書を読みながら独学で理解するのにかなり苦労しました。

頭を整理するため、以下に理解した内容をまとめてみたいと思います。

 

1)分格とは?

フィンランド語の「分格」とは、おもに日本語の「〜を」に当たる語形変化の形です。例えば、こんなイメージ。

[主格]kukka(花は)
[分格]kukkaa(花を)

これだけだと英語の代名詞の目的格に似ていますが、フィンランド語の分格にはより幅広い用法があり、様々な表現で使われます。

すべてを見ていくことはできないので、まずは骨子となる部分を理解したいと思います。

また分格には、単数と複数の形がありますが、今回は単数に絞って見ていきます。

 

2)数詞+分格

2以上の数詞の後ろに置く名詞は分格の形になります。

yksi talo(1軒の家)
kaksi taloa(2軒の家)
*yksi(1)、kaksi(2)

「なぜ2以上だと分格になるのか?」は気になるところですが、はっきりとした答えは見つかりませんでした。ここで考えていても仕方ないので、次にすすみます。

 

3)分格のつくり方

単数主格(辞書形)の形によって、分格のつくり方は変わります。以下に見ていきましょう。

 

3ー1)一つの母音で終わる語

語尾に[-a/-ä]を付けます。このパターンが一番多いようなので、これを基本形として覚えておくようにします。

talo ⇒ taloa
päivä ⇒ päivää

*もとの単語に[a, u, o]が含まれていれば[-a]、含まれていなければ[-ä]を付けます。

 

3ー2)二つの母音で終わる語(長母音、二重母音)

語尾に[-ta/-tä]を付けます。

radio ⇒ radiota
puu ⇒ puuta
tie ⇒ tie

*もとの単語に[a, u, o]が含まれていれば[-ta]、含まれていなければ[-tä]を付けます。

 

3ー3)[i]で終わる語

おもに、語尾の[i]を落として[-ta/-tä]を付ける語と[i]を[e]に変えて[-a/-ä]を付ける語があります。

kieli ⇒ kiel
suomi ⇒ suomea

この違いについては、まずは下の表をご覧ください。

kieli ⇒[子音語幹]kiel ⇒ kiel
kieli ⇒[母音語幹]kiele ⇒ ×
suomi ⇒[子音語幹]×
suomi ⇒[母音語幹]suome ⇒ suomea

 

子音で終わる子音語幹を持つ語は、子音語幹に[-ta/-tä]を付けます。

子音語幹を持たず、母音語幹が一つの母音で終わる語は、母音語幹に[-a/-ä]を付けます。(これは3ー1のルールと同じ)

<子音語幹/母音語幹とは?>
ある単語の語幹をもとめるとき、母音で終わる母音語幹と子音で終わる子音語幹の2種類があります。上の例で言うと、kieli は子音語幹と母音語幹の両方を持っているのに対して、suomi は母音語幹しか持っていません。

ただし!

語尾が[-si]で終わる語は[-si]を[-te]に変えて、[e]を落として[-ta/-tä]を付けます。

vesi ⇒ vet

 

3ー4)子音で終わる語

子音で終わる語は、だいたい語尾に[-ta/-tä]を付けます。

mies ⇒ mies

ただし!

語尾が[-nen]で終わる語は[-nen]を[-s]に変えて[-ta/-tä]を付けます。

nainen ⇒ naista

この他にも例外はあるようですが、枝葉に入りすぎるため、今回は省略いたします。

 

3ー5)[e]で終わる語(母音語幹が[ee]で終わる語)

語尾に[-tta/-ttä]を付けます。

kappale ⇒ kappaletta
pääte ⇒ päätettä

ただし!

tee のようにもともと二つの母音の語は「3ー2」のルールが適用され、語尾に[-ta/-tä]を付けて teetä となります。

 

4)まとめ

ここまでのポイントをまとめると以下のようになります。

  • 分格は、日本語の「〜を」に当たる語形変化の形である。
  • 2以上の数詞の後ろに置く名詞は分格の形になる。
  • 分格をつくる際には、語尾に[-a/-ä]を付ける語、[-ta/-tä]を付ける語、[-tta/-ttä]を付ける語の3種類があり、その中では[-a/-ä]を付ける語の数がもっとも多い。

ここまで覚えるのもなかなか大変ですが、この先はさらに日本語の「〜を」に当たる格には「分格」のほかに「対格」という形もあります、という話につながってまいります。

to be continued…

[本稿の参考文献]
Suomea Suomeksi(SKS)
フィンランド語文法ハンドブック(白水社)
クラスメイトのノート

 

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