世界は幸福へ向かっているか? − 幸福測定計『Hedonometer』

21世紀に突入し、人類全体の幸福度は上がっているのでしょうか? それとも下がっているのでしょうか?

米バーモント大学の研究チームが、そんな答えようのない質問に示唆を与えてくれる幸福測定計『Hedonometer』をウェブ上に公開しています。

Hedonometer

幸福度を測定する装置としての hedonometer という用語自体は19世紀に作られたとのこと。

現在公開されている21世紀の『Hedonometer』はツイッターのメッセージに含まれる単語を分析することで、幸福度を算出しています。

その算出方法が面白いので、以下に紹介してみます。

1)Google Books、New York Times、音楽の歌詞、ツイッターメッセージの4媒体をデータベースとして、それぞれ使用頻度の高い5,000語を抽出する。(5,000語×4媒体=20,000語)

2)重なる単語を除き、約10,000語の単語リストを作る。

3)Amazon の Mechanical Turk service(ウェブ上での内職システムのようなもの)を使い、参加者にそれぞれの単語の印象をもっとも悲しい(1)からもっとも幸福(9)まで9段階で評価してもらう。

4)採点者の平均点を取って、各単語の幸福度を決定。

5)世界のツイッターメッセージの10%程度をサンプリングし、1日ごとに上記の単語が含まれる割合を測定。

例えば、2013年5月11日に世界で発信されたツイートを分析し、悲しい単語が多く含まれていればその日は悲しい日、幸せな単語が多く含まれていればその日は幸せな日ということになります。

これを経年で見ていくと、幸福度の増減がわかるという具合。

現在、公開されているのは、2008年以降のデータで、こちらがそのスクリーンショット。ゆるやかに右肩下がりになっているのが、やや気になりますね。

3/11 や最近ではボストンでの爆破事件など、特筆すべき出来事があった日には幸福度がぐんと下がっています。

ところで実際に分析の対象になっている単語にはどのようなものがあるのでしょうか?

『Hedonometer』のウェブ上には単語の幸福度印象ランキングも掲載されていますので、順位が高いものと低いものをそれぞれ見てみましょう。

順位 単語
1 laughter
2 happiness
3 love
4 happy
5 laughed
6 laugh
7 laughing
8 excellent
9 laughs
10 joy
11 successful
12 win
13 rainbow
14 smile
15 won
16 pleasure
17 smiled
18 rainbows
19 winning
20 celebration
10216 cancer
10217 death
10218 murder
10219 terrorism
10220 rape
10221 suicide
10222 terrorist

 
上位は laugh の派生語が多いですね。笑う門には福来たるということでしょうか。一方、下位は。。。ノーコメントにしておきましょう。

幸福というのは、あくまで主観的なものだと思いますが、それだけにこうして客観的なデータを示されると説得力があるような気がします。

みなさんは右肩下がりのグラフをどう解釈されるでしょうか?