フィンランド語学習記 vol.66 − すみません/ありがとう
日本人は「すみません」というフレーズを使いすぎるとよく言われます。
「すみません」は字義どおりに解釈すれば、「済まない=自分の気持ちが片付かない」というお詫びの表現です。
しかし実際には、誰かに何かをしてもらったとき、感謝の表現として使うことも多いでしょう。
例えば、こんな会話。
B:あ、すみません。
例えば、ここでBさんの台詞を英語に直すとしたら、I’m sorry. や Excuse me. では何だかおかしくなってしまいます。
やはり Thank you. とするのが自然でしょう。
そうだとすると、日本語の「すみません」はお詫びの表現であるとともに、感謝の表現でもあると考えた方がよいのかもしれません。
前置きが長くなりましたが、今回はフィンランド語・英語・日本語の感謝とお詫びの基本表現を比較してみたいと思います。
フィン | 英 | 日 |
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Kiitos. | Thank you. | ありがとう。 |
Kiitos paljon. | Thank you very much. | どうもありがとう。 |
Kiitos(キートス)は、日常会話で気軽に使える感謝のフレーズです。
感謝を増量したいときは、Kiitos paljon。paljon は「たくさん」という意味の副詞です。
続いてお詫びの表現。
フィン | 英 | 日 |
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Anteeksi. | Excuse me. | すみません。 |
Anteeksi(アンテークスィ)は、道を尋ねるのに知らない人にちょっと声をかけたり、レストランで飲み物をこぼしてしまったときにお店の人に謝ったり、幅広い場面に応用できるフレーズです。
考えてみると、こんな基本表現でも言語によって応用の範囲が異なるというのは、興味深いことだと思います。
そして意味を伝える際には、ことばの選択に加えて、声のトーンや表情も大切になってくるのでしょう。
冒頭で触れた日本語の「すみません」には、悲しい表情を重ねることもできますし、場合によっては笑顔を重ねることもできます。
例えば旅の最中、笑顔で「すみません!」と道を尋ねても、不自然ではないでしょう。
他の言語と比較してみても、たった一言でこれほど応用力のあるフレーズは珍しいのかもしれない、と思った5月の末日でした。