フィンランド語学習記 vol.75 − kpt/子音階程交替

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フィンランド語教室では、とうとう動詞の本格的な勉強が始まりました。

その前に動詞の人称変化に欠かせない kpt 交替のルールをまとめておきましょう。

 

kpt 交替とは?

kpt 交替(子音階程交替)とは、フィンランド語の格変化や人称変化に伴う、語幹の子音変化のこと。

百聞は一見に如かずということで、実際の例を見てみましょう。

1)Tämä on kirkko.(これは教会です。)
2)Minä olen kirkossa.(私は教会にいます。)

教会はフィンランド語で kirkko と言います。

1の文では、そのままの形で使われていますね。

一方、2の文では「〜の中に」という意味を表す格語尾[-ssa]が末尾に付いて、kirkossa という形になっています。

[単数主格]kirkko(教会は)
[単数内格]kirkossa(教会の中に)

今回のポイントは、それぞれの語幹部分。よくよく見ると、kirkko → kirko と[k]が一つ落ちているのがわかります。

これにより、発音も「キルッコ → キルコ」と促音のない音になります。

フィンランド語の場合、このような変化が子音の[k, p, t]について起こるため、このルールを kpt 交替または子音階程交替と呼んでいます。

いかがでしょう?

すでにブラウザのタブの×を押されてしまっているかもしれませんが、めげずに kpt 交替のパターン一覧を見ていきたいと思います。

 

kpt 交替のパターン一覧

① 単語の最後の音節に[kk, pp, tt]がある場合

[kk, pp, tt]は、縮まって[k, p, t]になります。

kk k kirkko kirko 教会
pp p kauppa kaupa
tt t matto mato マット

 
これはまあわかりやすいですね。

 

② 単語の最後の音節に[k, p, t]がある場合

単独の[k]は音が消えてしまいます。また[p, t]は、それぞれ[v, d]になります。

k × Turku Turu トゥルク
p v kylpy kylvy 浴槽
t d katu kadu 通り

 
[p, t]→[v, d]の変化は音が濁る感じです。正確ではないものの、カタカナで書いてみると感覚をつかみやすいかもしれません。

[プ → ブ][トゥ → ドゥ]・・・こんな感じです。

 

③ その他いろいろ

[k, p, t]の前後に特定の文字が来ると、前述の②とは異なる特別な変化をすることがあります。これはもう、わっせわっせと覚えてしまいましょう。

nk ng kaupunki kaupungi 都市
uku uvu luku luvu
yky yvy kyky kyvy 能力
lke lje kulkea kulje 歩く
rke rje rkeä rje 壊す
hke hje ? ?
mp mm kampa kamma くし
nt nn Islanti Islanni アイスランド
lt ll ilta illa 夕方、晩
rt rr kertoa kerro 説明する

 

④ 変化しないケース

[k, p, t]の前後に特定の文字が来ると、変化を伴わないというケースもあります。こちらも、わっせわっせと覚えてしまいましょう!

[k, p, t]の前後に[s]があるときは、変化なし。

ts ts metsä metsä

 
[tk]の組み合わせは、変化なし。

tk tk matka matka

 

まとめ

なかなか複雑なルールではありますが、幸いにしてパターンが限定されているので、時間をかければ何とか覚えられるでしょう。

これをマスターしておかないと、次の課題である動詞の人称変化に進むことができません。

コツコツ取り組んでいきましょう。

[おまけ]英語の文法書を見ていたら、この文法項目は Consonant Gradation と名付けられていました。なかなかイメージのつかみやすい名前だと思います。