フィンランド語学習記 vol.76 − 動詞の活用と語幹の変化(タイプ1)

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いよいよ動詞を本格的に覚えていくことに。
手元の文法書によると、フィンランド語の動詞は活用のパターンによって、6種類に分けられるとのこと。
今回はその中のタイプ1の動詞を見ていきたいと思います。このタイプは語末が[母音]+[a/ä]で終わっているもの。例えば、
- puhua(話す)
- nukkua(寝る)
教室では、このタイプを VA動詞と呼んでいました。
VA の V というのは vowel(母音)の V でしょうか。いや vowel は英語なので、フィンランド語を調べてみると vokaali(母音)でした。
フィンランド語の動詞の約80%はこのタイプなのだそうです。だとすれば、6種類の動詞があるとはいっても、まずこのタイプをしっかりマスターするのが効率的かと。
以下に活用形の求め方を見ていきましょう。
puhua(話す)
フィンランド語の動詞の活用形を求める際は、まず語末の[-a/-ä]を外します。
下拵えができたら、下記の活用語尾を付け足します。
[二人称単数]+t
[三人称単数]語幹の最後の母音を重ねる
[一人称複数]+mme
[二人称複数]+tte
[三人称複数]+vat
すると、こんな感じに。
[二人称単数]puhut
[三人称単数]puhuu
[一人称複数]puhumme
[二人称複数]puhutte
[三人称複数]puhuvat
なおフィンランド語の動詞の活用をまとめるときには、次のような2×3のマスに整理するとわかりやすいとのこと。
一人称単数 | 一人称複数 |
二人称単数 | 二人称複数 |
三人称単数 | 三人称複数 |
先ほど作った活用形をこのマスに当てはめると、次のようになりました。
puhun | puhumme |
puhut | puhutte |
puhuu | puhuvat |
この活用形を使って、例えば次のような文を作ることができます。
これだけならあまり難しいことはないのですが、そう簡単にはいかないのがフィンランド語の世界。次の例を見てみましょう。
nukkua(寝る)
まずは語末の[-a/-ä]を外しましょう。
そして下記の語尾を付け足します。
[二人称単数]+t
[三人称単数]語幹の最後の母音を重ねる
[一人称複数]+mme
[二人称複数]+tte
[三人称複数]+vat/vät
作った活用形を先ほどの2×3のマスに整理してみましょう。
nukun | nukumme |
nukut | nukutte |
nukkuu | nukkuvat |
出来上がり!と思いきや、ちょっとおかしなところがありますね。
はい。上の4マスでは nukku の k が一つ消えているのに対して、下の2マスでは kk がそのままです。
これはどこかで見たことがある。。。と振り返ってみると、フィンランド語の語形変化のルールの一つに kpt 交替というものがありました。
ある名詞や動詞の語幹を求めるとき、単語の最後の音節に[k, p, t]が含まれていると、こんな風に語幹が変化します。
kk | → | k | nukkua | → | nuku | 寝る |
---|---|---|---|---|---|---|
pp | → | p | loppua | → | lopu | 終わる |
tt | → | t | kirjoittaa | → | kirjoita | 書く |
これ以外の kpt 交替の一覧については、こちらのエントリーをご覧ください。
[参考]フィンランド語学習記 vol.75 − kpt/子音階程交替 | Fragments
動詞の活用形を作る際は、この kpt 交替のルールをきちんと押さえていなければなりません。
また kpt 交替のルールを適用する場合でも、上記のように三人称だけは適用外となります。
なぜ三人称だけは適用外なのか??
残念ながらその理由はわかりません。。。しかし理由を考えるより、その時間で動詞を一つでも覚えた方がよさそうです。頑張りましょう!