tomato の複数形は「tomatoes」なのに、piano の複数形が「pianos」になるのはなぜか?
英語の複数形には[-s]を付けるものと[-es]を付けるものがあります。
そこにはもちろん何らかの法則があるのですが、[o]で終わる単語だけは一筋縄では行かないようです。
この単語群には potatoes、tomatoes など[-es]を付けるものと、pianos、radios など[-s]を付けるものが混在しています。ここにはいったいどのような法則があるのでしょう?
以下に場合分けをしつつ、その法則を探ってみたいと思います。
1)語尾が[母音+ o]の単語
この場合はすべて、語尾に[-s]を付けます。
bamboo | bamboos | 竹 |
cameo | cameos | カメオ |
cuckoo | cuckoos | カッコウ |
radio | radios | ラジオ |
studio | studios | スタジオ |
trio | trios | トリオ |
zoo | zoos | 動物園 |
2)語尾が[子音+ o]の単語
語尾に[-s]を付けるものと[-es]を付けるものに分かれます。
2−1)語尾に[-es]を付けるもの
こだまや英雄はともかく、じゃがいもやトマトなど日常使う単語も含まれています。
echo | echoes | こだま |
hero | heroes | 英雄 |
negro | negroes | 黒人 |
potato | potatoes | じゃがいも |
tomato | tomatoes | トマト |
veto | vetoes | 拒否権 |
2−2)語尾に[-s]を付けるもの
[-es]より、こちらの方が単語の数は多いようです。ただし使用頻度が低そうな単語も多いですね。
auto | autos | 自動車 |
commando | commandos | 特別奇襲部隊 |
concerto | concertos | 協奏曲 |
dynamo | dynamos | 発電器 |
Eskimo | Eskimos | エスキモー |
ghetto | ghettos | 特別居住区 |
kilo | kilos | キロメートル |
logo | logos | ロゴ |
photo | photos | 写真 |
piano | pianos | ピアノ |
solo | solos | 独唱・独奏 |
soprano | sopranos | ソプラノ |
torso | torsos | トルソー |
さて[2−1]と[2−2]のグルーピングに何らかの法則はあるのでしょうか?
以下に見ていきましょう。
2−2−1)省略形
もともと長い単語が省略された場合には、[-s]を付けることが多いようです。
- auto ← automobile
- dynamo ← dynamoelectric machine
- kilo ← kilometer
- photo ← photograph
- piano ← pianoforte
pianoforte というのはもともとイタリア語で、 piano は「弱音で」、forteは「強音で」という意味なのだとか。すなわち弱い音でも強い音でも弾くことができる楽器ということなのでしょう。
2−2−2)新しい単語(外来語)
比較的新しい単語(外来語)には、[-s]を付けることが多いようです。特に多いのは、さきほどの piano のようなイタリア語。例えば、
- concerto
- piano
- solo
- soprano
など。どれも音楽関連の単語ですね。
こうしてみると、piano は省略形であり、かつイタリア語起源の単語であるため[-s]を付けるのが道理ということになります。
ただしこの二つの法則で全ての単語を分類できる訳ではありません。そこにはやはり例外も存在します。
このあたりの「ゆらぎ」については『ロイヤル英文法』の説明がわかりやすかったので引用してみます。
[参考] -osと-oes:
英語は他国語からの借入語が多いが,-o で終わる名詞は特にそうである。その中でも古くから英語に入り,複数形もよく使われて完全に英語化した語(potato, tomato, hero など)は-esをつけるが,比較的新しく英語に入ったものは-sだけをつける。最近は後者の語が増えてきているので,-oで終わる語にはふつうは-sがつくと言ってよい。ただ,完全に英語化している前者の語は日常よく使われるため,全体としては-esの出現頻度は高い。
こうして見ると、学習者にとってはなかなか厄介なルールではあります。ただし間違えたとしても、誰かが不幸になる(?)ようなことはないと思いますので、おおらかに構えていきましょう。
[参考文献]
- 『ロイヤル英文法』
- 『Practical English Usage』
- 『楽しみながらボキャブラリーが増える 英語の語源のはなし』
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8月 06, 2019 @ 14:16:26
とても良い説明だと思いました。
私が知りたい内容だったので、とても嬉しいです。