0度の謎 − Water freezes at zero degrees Celsius.
水
水素と酸素との化合物。純粋なものは無色・無味・無臭で、常温で液体。1気圧ではセ氏零度で氷に、約100度(99.974度)の沸点で水蒸気になり、密度は4度で最大。他の物質に比べて比熱・融解熱・気化熱が大きく、さまざまな物質をよく溶かす。地球上に広く分布し、海洋・氷雪・湖沼・河川・地下水や大気中の水蒸気などとして存在し、自然界を循環する。動植物体の構成成分としても大きな割合を占め、生命に不可欠。化学式H2O
『大辞泉』
私たちの生活に欠かせない水の氷点は摂氏0度。小学校の理科でそのように習いました。
それを英語で表すと、
となります。
ここで気になるのは、温度を表す degree が複数形であるということ。
zero に続く名詞の単数/複数というのは、いったいどのようなルールになっているのでしょうか?
まずは『ロイヤル英文法』の説明を見てみましょう。
否定の場合の数 − ゼロの場合
① no の後に続く可算名詞は、一般には複数形。
That tree has no leaves.(あの木には葉がない)
*複数で存在するのが自然と感じられる。② 1つしかないのが自然と思われる場合は単数形。
My father has no room of his own.
(父には自分の部屋がないのです)[注] zero+名詞:
zero に続く名詞も単・複両様あるが,次の場合は複数形。
Water freezes at zero degrees Celsius.(水は摂氏0度で凍る)
①と②の説明は分かるものの、「zero+名詞」の説明はどうもはっきりしません。
考えてみると、no というのは何かが「ない」ことを表していますが、zero degrees というときには温度が「ない」訳ではありません。単に物差しの相対的な一点を示しているにすぎないのです。
『ジーニアス英和大辞典』は、このあたりの違いを次のように説明しています。
zero
[形]ゼロの、ゼロ番目の<修飾される名詞は単数形>;(量・大きさ・程度などの点で)無の、ないに等しい<修飾される名詞は複数形>
- zero hour(0時)
- zero hours(ゼロ時間)
この説明は大変わかりやすいのですが、この定義に従うと zero degrees よりも zero degree の方が正しいように思えてきます。
やはり zero degrees だけは例外ということなのでしょうか?
Wikipedia の plural(複数)の項目には、こんな説明がのっていました。
Treatments differ in expressions of zero quantity: English often uses the plural in such expressions as no injuries and zero points, although no (and zero in some contexts) may also take a singular. In French, the singular form is used after zéro.
(量がゼロであることを表す方法はさまざまである。英語ではよく no injuries や zero points のような表現で複数形を用いる。ただし no は(文脈によっては zero も)単数形を伴うこともある。フランス語では、zéro の後には単数形を用いる。)
Wikipedia「plural」より
フランス語では、zero の後は単数形になるんですね。だとすると、この語法にはそもそもそれほど厳密な論理は存在しないのかもしれません。
とはいえ、どうもすっきりした説明が見つからないのが残念です。もし新しく何かわかったら、もう一度この問題を取り上げてみたいと思います。