IAEA と UNESCO の違いとは?− アクロニム(acronym)のはなし
海外の組織の名称には、単語の頭文字をつないで表記したものが多くあります。
最近よく耳にする IAEA(国際原子力機関)は、International Atomic Energy Agency の略。
一方、同じ国連の下部組織 UNESCO(国際連合教育科学文化機関)は、United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization の略なのだとか。
よく見ると、IAEA は「アイ・エー・イー・エー」と一文字ずつアルファベット読みをしているのに対して、UNESCO は「ユネスコ」と一つの単語であるかのように読んでいます。
この違いに関して、前者を initialism(イニシャリズム)、後者を acronym(アクロニム)と呼んで区別することがあります。
*広義には、両方を合わせて acronym と呼ぶこともあり。
どういう理由で initialism になったり acronym になったりするのかはわかりませんが、UNESCO のように、ほどよい間隔で母音と子音が並んでいれば、単語読みをしたくなるというのはよくわかります、IAEA では単語読みをしようと思っても、ちょっと難しいですね。
単語読みができるというのはやはりハードルが高いのか、initialism に比べて acronym の数はかなり少ないようです。
それでも探してみると、次のような例がありました。
- AIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)
- AMeDAS(アメダス)
- NASA(ナサ、アメリカ航空宇宙局)
- NATO(ナトー、北大西洋条約機構)
- OPEC(オペック、石油輸出国機構)
- scuba(スキューバ)
- SUICA(スイカ)
- UFO(ユーフォー、未確認飛行物体)
いったい何の略なのか、わかるものはありますか? なかなか難しいですね。正解は下記のとおり。
AIDS | Acquired Immune Deficiency Syndrome |
AMeDAS | Automated Meteorological Data Acquisition System |
NASA | National Aeronautics and Space Administration |
NATO | North Atlantic Treaty Organization |
OPEC | Organization of Petroleum Exporting Countries |
scuba | Self Contained Underwater Breathing Apparatus |
SUICA | Super Urban Intelligent Card |
UFO | Unidentified Flying Object |
scuba(スキューバ)が acronym だというのは、今回調べるまで知りませんでした。あまりにも一般化すると、一般的な語彙の一部になってしまうんですね。
AMeDAS の成り立ちについては、Wikipedia にこんな説明がありました。
「地域気象観測システム」の英語訳が “Automatic Meteorological Data Acquisition System” であった時代にその略称を考えた際、単にAMDASとするのではなく、AMeDAS(雨出す)としたほうがおもしろいとの提案が採用され、略称を “AMeDAS”、その読みを「アメダス」とすることとなった。
Wikipedia「アメダス」より
ちょっとした工夫で、親しみのある acronym ができたというおもしろい例だと思います。
以上、今回は英語の acronym をいくつか紹介してみました。
単なる initialism よりも acronym になっている方が、名称が一般に定着しやすいような気がするのですが、果たしてどうでしょう?